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見た目は旧車 中身は最新 ペンブルトンT24へ試乗 戦前スポーツカーへのオマージュ

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見た目は旧車 中身は最新 ペンブルトンT24へ試乗 戦前スポーツカーへのオマージュ

現代的なテクノロジーをあえて拒否

これは、クラシックカーのご紹介ではない。ペンブルトンT24は、れっきとした2023年の最新作だ。ただし写真でおわかりの通り、現代的なテクノロジーをあえて避けている。それこそ、このクルマが誕生した理由といえる。

【画像】見た目は旧車 中身は最新 ペンブルトンT24 クラシカルなモダン・スポーツたち 全107枚

ペンブルトン・モーター社がグレートブリテン島の中東部、ウスターシャー州に創業したのは1999年。三輪スポーツカー用のセルフビルド・シャシー製造でスタートし、これまでに約400台分を提供してきた。

創業者のフィル・グレゴリー氏は、その後に若き息子のガイ・グレゴリー氏へ経営を継承。近年は、2種類の公道用モデルを提供するまでに成長している。その1つがVスポーツという三輪スポーツカー。もう1台が、今回試乗した四輪のT24となる。

ワークショップは小さく、精鋭の技術者5名によるチームで、1台1台が手作りされている。彼らが許容できるT24の年間生産数は、10台ほどだという。

戦前のクラシックカーは信頼性がいまひとつで、運転が難しいと考える一方、クラシカルでピュアな運転体験を堪能したい。そう願うクルマ好きのための1台が、このT24だ。信頼できる現代の部品を用いながら、往年のデザインでまとめ上げられている。

モトグッツィの4ストロークV型2気筒

T24のカギとなるのが、パワートレインだろう。ボディの先頭で存在感を放つエンジンは、モトグッツィ社の4ストロークV型2気筒。バンク角が90度の空冷で、排気量は853ccのオートバイ用だ。ちなみに、穏やかな744ccも選べる。

フロントアクスルより前方に、完全にむき出し状態で搭載され、後方にシトロエンの4速マニュアル・トランスアクスル・ユニットが組まれている。ギア比はペンブルトン・モーター社が独自に設定したもので、コクピットへのリンケージもオリジナルとなる。

79psの最高出力は低く思えるが、T24の乾燥重量は僅か361kg。1t当たりの馬力は219psとなる計算で、不足ない。この軽さのおかげで、英国では車両認可の規則(IVA)が一般的なモデルほど厳しくないというメリットもある。

ボディは、オースチン・セブン・スペシャルに似たスタイリングのアルミ製で、職人が組み上げたチューブラー・フレームを覆っている。シャシー側もアルミ製。ボディフレームと溶接やリベットで固定され、高剛性のセミモノコック構造を実現させている。

サスペンションは前後とも独立懸架式。ダンパーはプッシュロッドを介して動かされ、ダンパーとコイルスプリングはシャシーのサイドシル側に組まれている。低重心化に貢献してもいる。

フロント側のディスクブレーキは、ドライブシャフトの付け根に組まれたインボード・レイアウトで、バネ下重量を軽減。前後の重量配分は51:49と、理想値といっていい。

ヴィンテージな雰囲気に溢れるコクピット

幅の狭いコクピットへ身体を落とすと、右腕は自然とボディの外側に来る。ステアリングホイールはシンプルな4スポークで、リム部分はレザー。エンジンターン模様が施されたアルミ製のダッシュボードに、小さなメーター類が並ぶ。

助手席側には、深いグローブボックスが備わる。ヴィンテージな雰囲気に溢れている。

大人2名が座れるベンチシートはレザー張り。背もたれの後方には、155Lの収納が用意されている。シートの座面は前後にスライド可能で、足は真っ直ぐ伸ばせる。運転姿勢も悪くない。

スターターボタンを押し、Vツイン・エンジンを始動させる。ペダルは軽く踏め、4速MTは1速が横に飛び出たドッグレッグ・パターン。シフトレバーがダッシュボードから飛び出ており、ゲートがタイトで、少々慣れが必要だと感じた。

カーブを描いて立ち上がったスカットル部分と、小さなアクリル樹脂製のスクリーンが、ドライバーを風雨から守ってくれる唯一の装備。ソフトトップの設定はない。

身長が170cmほどの筆者でも、走行中は顔に当たる風を避けるため身を屈める必要があった。それより背が高い場合は、ゴーグルとキャップは被った方が良いだろう。

すべてを忘れるくらい運転が面白い

細いスポークホイールは18インチ。クラシカルなクロスプライ・タイヤが巻かれ、路面からの入力やステアリングホイールの操作に合わせて動くのが見える。ケータハムのように、格上のスーパーカーを追い回せるほどではないにしろ、充分以上に活発だ。

低回転域で振動が目立つ2気筒エンジンは、常用の回転域では滑らかに変化。3500rpmから7750rpmのレッドラインまで、吸い込まれるように上昇する。少しこもった、聴き応えのあるサウンドを放ちながら。

乗り心地は素晴らしく、しなやかで落ち着いている。ラックアンドピニオン式のステアリング・ラックはギア比が低く、ハイスピードでヘアピンを回るような場面では、積極的に腕を動かす必要がある。

とはいえ重心が低く、敏捷に反応する。フロントタイヤのグリップが抜けるまで、コーナリング・スピードを追求できる。操縦性はクラシックカー然とはしていない。T24は、すべてを忘れるくらい運転が面白い。

試乗中、たまたま居合わせた男性が近寄ってきた。何年式のクルマで、レストアにどのくらい時間を要したのか、真面目に筆者へ尋ねるために。

T24の英国価格は4万2474ポンド(約684万円)から。安い金額ではないものの、戦前のスポーツカーへのオマージュとして、素晴らしい仕上がりにあると思う。この金額があれば、英国なら状態の良いMG TAが買えるとはいえ。

ペンブルトンT24 (英国仕様)のスペック

英国価格:4万2474ポンド(約684万円)
全長:3220mm
全幅:1600mm
全高:980mm
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:6.3秒(予想)
燃費:21.2km/L(予想)
CO2排出量:−g/km
乾燥重量:361kg
パワートレイン:V型2気筒853cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:79ps/7750rpm
最大トルク:8.1kg-m/5000rpm
ギアボックス:4速マニュアル

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みんなのコメント

4件
  • いいなー。
    日本も出して欲しい。
    でも安全性とかパスできずに販売できないのかなー
  • モーガンスリーホイラーもつい最近まで生産していたのだから4輪なら据わりもよくて楽勝だろう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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