現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 日本ファーストがカギ!? 米国No.1クリーナー市場を築いたShark(シャーク)新作の機能性と「高速PDCA」戦略とは

ここから本文です

日本ファーストがカギ!? 米国No.1クリーナー市場を築いたShark(シャーク)新作の機能性と「高速PDCA」戦略とは

掲載 2
日本ファーストがカギ!? 米国No.1クリーナー市場を築いたShark(シャーク)新作の機能性と「高速PDCA」戦略とは

ユーザーの潜在ニーズを掘り起こす戦略

 連載「家電で読み解く新時代」第4回では、家電スペシャリスト・滝田勝紀が、米国発の掃除機ブランドShark(シャーク)の日本市場における急成長の裏側を探る。

【画像】シャーク最新クリーナーの実力を画像で見る(47枚)

 新型コードレス掃除機「Shark PowerClean 360」の発表会と、SharkNinja日本法人・古屋和輝マネージング・ディレクターへのインタビューを通じて、その戦略的背景と未来の展望に迫った。

 2018年、米国のフロアケア市場でシェアNo.1を誇るSharkが日本に初上陸した。当初、アメリカ仕様の掃除機「EVOFLEX」シリーズを製品の重量とサイズを日本向けに小さく改良したが、それでもなお、日本の消費者からは「重い」「扱いづらい」という声が上がった。

 ヘッド部分だけで約1kgもある掃除機は、日本の住環境やライフスタイルに合わなかったのである。

 こうした初動の苦戦を受け、シャークニンジャは戦略を一新。「日本向けモデルをゼロから開発する」という大胆な舵を切った。

 古屋氏は当時をこう振り返る。

「前社長のゴードン・トム氏は元々ダイソン日本法人の初代社長でもあったため、その経験も参考に、シャークニンジャとして独自に日本人の生活様式や掃除の習慣を徹底的に掘り下げ、ユーザー自身も気づいていない潜在ニーズを探りました」

 その結果生まれた2020年のモデル「EVOPOWER SYSTEM」は、日本の約40世帯で毎週ユーザーテストを実施し、量産開始直前まで改良を重ねた製品だ。

 古屋氏は「日本の消費者と向き合い、多くを学びながら開発した、一から携わった我が子のような製品です」と語る。

 このモデルは軽量化と高い操作性でヒットし、「掃除機は普段隠すもので、掃除のたびに出さないといけない」という日本市場の固定概念を覆した。

 さらに、最新世代のEVOPOWER SYSTEM NEOシリーズは韓国市場にもそのまま投入され、LGやサムスンといった強豪が君臨する市場に風穴を開ける成功を収めた。

 古屋氏は「日本市場は屈指のコードレス先進国であると思います。お客様の要望も厳しい。だからこそアジア展開の鍵を握ります」と述べ、日本で磨かれた製品力が世界市場においても競争力を持つことを実証した。

戦略の集大成「PowerClean 360」の誕生

 2025年6月、シャークは日本市場で培ったユーザー志向の集大成とも言える新製品「PowerClean 360」を発表した。

 この製品の最大の特長は、全方向からゴミを逃さず吸引する「360°クリーニング」。

「掃除機を前後に動かした時、後ろに引くとゴミが残る」という従来のコードレス掃除機の弱点を克服するため、ノズル後方に「アクティブフラップ」を新搭載した。

 掃除機を前方に押すときにはフラップが後方に倒れ、後ろに引くときにはノズル前方に倒れることで、空気の通り道を作り、空気の流れを作り出し、後方のゴミも吸引する仕組みだ。

 また、iQセンサーやエッジセンサーといった先進技術を搭載し、ゴミの量や壁際を自動検知して吸引力を調整することで、効率的かつ徹底的な掃除を実現した。

 発表会場で古屋氏はこう述べている。

「掃除性能を最優先に考え、ゴミを取り残さず、かつラクに掃除を済ませたいという理想を叶える製品です」

 シャークが日本で培ったユーザー視点の開発力が、この新モデルに凝縮されている。

シャーク躍進の原動力は「ユーザーファースト」の高速PDCA

 シャークニンジャ日本法人の歩みを振り返ると、「日本の声をとことん製品に反映する」という一貫した姿勢が浮かび上がる。

 外資系メーカーでありながら、製品やアフターサービスのあらゆる面で日本の消費者から信頼を得る必要がある──古屋氏の前任であるゴードン・トム氏(前社長)はそう各方面に説き、本社にも柔軟な対応を取り付けたという。

 その結果、グローバル標準に無理に合わせることなく、日本独自の戦略を展開できたことが現在の成功につながっている。

 実際、古屋氏自身も米国本社と密に連携し、日本チームの提案をスピーディーに製品へ落とし込んできた。開発段階でのユーザーテスト徹底も、その象徴だ。

 こうした高速PDCAの文化は社内に根づき、「ユーザーの課題発見→製品で解決→市場からの評価→さらなる改良」というサイクルが他社に比べ格段に早い。

 家電分野において、日本市場はしばしば「ガラパゴス」と形容されるほど独自のニーズが多いが、シャークニンジャはむしろそれをイノベーションの源として積極的に取り入れている印象を受ける。

 実際、日本生まれの技術やアイデアが本国モデルにフィードバックされた例も少なくない。シャークニンジャ全体として見ても、日本市場は単なる一国のマーケットに留まらず、アジア戦略のキー拠点と位置付けられているようだ。

 古屋氏の「日本市場は屈指のコードレス先進国でアジア展開の鍵である」という言葉通り、日本で成功するプロダクトを創ればこそ他のアジア地域でも戦える、という確信が同社にはある。

 古屋氏によれば、シャークニンジャは全世界で「我々は小型家電ブランドではあるが、お困りごとを解決する会社である」という考えが浸透しており、製品開発にあたっては消費者が意識していない課題にまで踏み込んでいる。

 掃除という行為のハードルを下げ、掃除後も心地よさが続く製品を目指すユーザー視点に徹底的に寄り添い、細かなニーズを迅速に製品へ反映する体制こそが、シャーク躍進の最大の理由なのだ。

競争激化のコードレススティック市場で、シャークが狙う地位

 コードレススティック掃除機市場は2025年には年間350~400万台、金額ベースで約1,200億円規模に拡大すると予測される激戦市場だ。

 市場にはダイソン、パナソニック、シャープなど強力な競合が並ぶ。その中でシャークは、「ユーザー本位の発明で差別化を図る」という独自戦略で、2025年以降も台数金額とも拡大方向に推移すると予測する。

 かつて「ダイソン一強」と呼ばれた市場で、シャークは着実に頭角を現しつつある。

 その背景には、日本市場に深く根ざした製品開発力があることは間違いない。私は、今後もシャークの動向を注視し続けたいと思う。日本発のイノベーションが、グローバル市場を席巻する日は決して遠くないのかもしれない。(滝田勝紀)

文:VAGUE 滝田勝紀
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

スーパーフォーミュラ第7戦富士は坪井翔が本人も驚きのポールポジションを獲得。太田格之進、佐藤蓮が続く
スーパーフォーミュラ第7戦富士は坪井翔が本人も驚きのポールポジションを獲得。太田格之進、佐藤蓮が続く
AUTOSPORT web
スズキ初の電気自動車が本格参入!! 「e ビターラ」を今年度中に日本導入 世界戦略モデルの詳細は専用サイトで随時公開
スズキ初の電気自動車が本格参入!! 「e ビターラ」を今年度中に日本導入 世界戦略モデルの詳細は専用サイトで随時公開
バイクのニュース
富士マイスター坪井翔がポール獲得! 太田格之進が続く|スーパーフォーミュラ第7戦富士:予選結果
富士マイスター坪井翔がポール獲得! 太田格之進が続く|スーパーフォーミュラ第7戦富士:予選結果
motorsport.com 日本版
ANAの“貨物機”に肉薄できるぞ! 逆にレアかもしれない珍ツアー、9月に開催へ 内容トガりすぎて「同業者お断り」…?
ANAの“貨物機”に肉薄できるぞ! 逆にレアかもしれない珍ツアー、9月に開催へ 内容トガりすぎて「同業者お断り」…?
乗りものニュース
レクサスが「スゴいFRセダン」発表! 481馬力のV8エンジン×超高性能ブレーキ搭載! ベース車より“約100万円”高額な「IS クライマックスエディション」何が違う?
レクサスが「スゴいFRセダン」発表! 481馬力のV8エンジン×超高性能ブレーキ搭載! ベース車より“約100万円”高額な「IS クライマックスエディション」何が違う?
くるまのニュース
たったの180kmしか走らないBEVがブレイク!! 日本人の需要にドハマりした「日産 サクラ」コスパはどうなの?
たったの180kmしか走らないBEVがブレイク!! 日本人の需要にドハマりした「日産 サクラ」コスパはどうなの?
ベストカーWeb
トヨタの元WRC王者が首位ソルベルグの走りに太鼓判「同じように走れば、きっとうまくいく」/第8戦デイ3
トヨタの元WRC王者が首位ソルベルグの走りに太鼓判「同じように走れば、きっとうまくいく」/第8戦デイ3
AUTOSPORT web
えっ、なんでこんな金額に……30分200円じゃなかったの!? 夏のレジャーで気を付けたい駐車場トラブルあるある
えっ、なんでこんな金額に……30分200円じゃなかったの!? 夏のレジャーで気を付けたい駐車場トラブルあるある
WEB CARTOP
代役参戦の中上貴晶、もらい事故で右膝を負傷。MotoGPチェコGPの決勝レースは欠場に
代役参戦の中上貴晶、もらい事故で右膝を負傷。MotoGPチェコGPの決勝レースは欠場に
motorsport.com 日本版
「市民のクルマ」が400万円超え!? ホンダ新「シビック」意外な改良ポイントは?
「市民のクルマ」が400万円超え!? ホンダ新「シビック」意外な改良ポイントは?
乗りものニュース
シトロエンの商用バン『ジャンパー』、2026年型をブラジル発表…新エンジンで燃費8%向上
シトロエンの商用バン『ジャンパー』、2026年型をブラジル発表…新エンジンで燃費8%向上
レスポンス
満タン後の「ちょい足し給油」何が“ダメ”なの? 夏の「セルフ式ガソリンスタンド」は注意が必要! やってはいけない「NG行為」の数々とは
満タン後の「ちょい足し給油」何が“ダメ”なの? 夏の「セルフ式ガソリンスタンド」は注意が必要! やってはいけない「NG行為」の数々とは
くるまのニュース
輸入車でリッター23km超えは魅力すぎ!! ハイブリッド違いのグレード分けってHVに力入れすぎ! イメージ一新「ルノー キャプチャー」の魅力は
輸入車でリッター23km超えは魅力すぎ!! ハイブリッド違いのグレード分けってHVに力入れすぎ! イメージ一新「ルノー キャプチャー」の魅力は
ベストカーWeb
【BYD】この先はどうなる!? EVの最先端を走るBYDが持つバッテリー技術とSDV時代の到来
【BYD】この先はどうなる!? EVの最先端を走るBYDが持つバッテリー技術とSDV時代の到来
Auto Prove
ここ東京メトロ?都営?「どっちもです!」な区間とは 首都圏“複雑すぎる直通運転網”の象徴的な「カオス駅」の不思議
ここ東京メトロ?都営?「どっちもです!」な区間とは 首都圏“複雑すぎる直通運転網”の象徴的な「カオス駅」の不思議
乗りものニュース
車高ダウン時のリアスタビを適正化、ブリッツ「スタビリンク・アジャスター」に『LBX MORIZO RR』の適合を追加
車高ダウン時のリアスタビを適正化、ブリッツ「スタビリンク・アジャスター」に『LBX MORIZO RR』の適合を追加
レスポンス
旅のプロに訊く、長時間フライトを快適に過ごすコツとお勧めアイテム
旅のプロに訊く、長時間フライトを快適に過ごすコツとお勧めアイテム
GQ JAPAN
32年前に誕生した“国産スーパーカー”の価値はどこまで上がる!? ピュアスポーツの原点とされるホンダ初代「NSX-R」が米国オークション登場
32年前に誕生した“国産スーパーカー”の価値はどこまで上がる!? ピュアスポーツの原点とされるホンダ初代「NSX-R」が米国オークション登場
VAGUE

みんなのコメント

2件
  • ********
    何の「業界ニュース」なんでしょうねぇ。
  • zoo********
    扱いやすく高機能なんでしょうけど、ハンディタイプで10万はなかなかの価格。
    価格競争が起きて手頃になったら試してみたい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村