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フェルスタッペンがF1テストで“中指”を立てた本当の理由。不適切な言動への厳罰化進めるFIAの対応は?

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フェルスタッペンがF1テストで“中指”を立てた本当の理由。不適切な言動への厳罰化進めるFIAの対応は?

 バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催された2025年のF1プレシーズンテスト。最終日となる3日目にはレッドブルのマックス・フェルスタッペンが、ウイリアムズのガレージ前を通過する際に中指を立て、パドック関係者は眉をひそめた。

 ここ最近、FIAはドライバーの不適切な言動に対する取り締まりを強化しており、フェルスタッペンの場合、ペナルティポイントが積み重なり、レース出場停止となる可能性も高い。

■ローソン、ペレスへの”中指”を謝罪「あれが僕の気質というわけじゃない……あんなことすべきじゃなかった。ごめんなさい」

 直近1年以内に計12ポイントを集めてしまったドライバーには、レース出場禁止処分が下されるが、現在フェルスタッペンの累積ペナルティポイントは8。マクラーレンのランド・ノリスとの小競り合いで科されたペナルティポイント2点が失効となるのは6月30日であり、あまりリスクを負えない状況にある。

 ただバーレーンテストの午前セッションでは、ピットのファストレーンを走っていたフェルスタッペンが、ウイリアムズのピットウォールの前で中指を立てる姿をカメラが捉えていた。

 当初、このフェルスタッペンの中指はウイリアムズのピットウォールにいたカメラマンに向けられていたと考えられ、レッドブルの2025年マシンRB21のディティールを収めようとしていることに不快感を示したのではないかとの憶測がすぐに広まった。

 しかし実際はその憶測とは全く異なり、motorsport.comの姉妹誌であるMotorsport-Total.com.からの情報によると、フェルスタッペンの中指は友人でありウイリアムズ育成ドライバーのルーク・ブラウニングに向けられたモノだったようだ。つまり、フェルスタッペンの行動は、カメラマンに向けた反抗的な態度ではなく、仲間内の“友好的な挨拶”だったのだ。

 FIAはテスト終了後、この件について調査を行なうことはないと認めており、今回の件でフェルスタッペンがレース出場停止に近づくことはないだろう。

 FIA関係者は今回の件について、フェルスタッペンが中指を立てたのはマシン乗車中であり、公式インタビューの場ではないため、静観する意向を示した。また、テストセッション中はFIAから正式に任命されるスチュワードはいない。

 ただ、ドライバーの不適切な言動に対するFIAの厳しい処分は、激しい議論を巻き起こしている。直近では、世界ラリー選手権(WRC)に参戦するヒョンデのアドリアン・フルモーがラリースウェーデン終了後のTVインタビューで「やらかした(We f****d up)」とFワードを発したことで、計3万ユーロ/約470万円の罰金(うち2万ユーロ/約310万円は執行猶予付き)の罰金が科せられた。

 フェルスタッペン自身も、言葉遣いをめぐってFIAと対立。2024年のシンガポールGPの公式記者会見でFワードを発したことで、年末にFIA年間表彰式が開催されたルワンダで「モータースポーツの社会奉仕活動」を行なうよう処分が下った。

 モハメド・ベン・スレイエム会長が主導するFIAのこうした強硬姿勢は多くのドライバーに受け入れられておらず、F1のドライバー組合であるGPDA、WRCのドライバー組合であるWoRDAは反対する姿勢を取っている。

 イギリス・ロンドンで開催されたF1の合同ローンチ・イベントで、司会のローラ・ウィンターがFIAについて言及した際に会場からブーイングが起こったのもこの姿勢のせいかもしれない。

 フェルスタッペンもFIAに対してより慎重なアプローチを求めている。

「正直なところ、このような形でレギュレーションを強制する必要はないと思う。必要なのは少しの常識だ」

 フェルスタッペンはそう語り、FIAのスタンスに対する世間の認識が物語っていると付け加えた。

「常に激しい言葉遣いをしているわけにはいかないことは理解している。ドライバーとして、それは理解している。でもインタビューを受けている時、まだマシンの中にいる時など、その場のアドレナリンに支配され、何か口を滑らせてしまうかもしれない」

「我々はみんな大人だ。(発言を)文字通りに捉えるべきじゃない」

 フェルスタッペンやフルモーのケースに見られるように、FIAはドライバーが誰かを侮辱するためではなく、単にマシンやパフォーマンスに対する不満をFワードで表す場合にも処分を下してきた。しかしこの点に関しては、取り締まり強化に比較的寛容なメルセデスのチーム代表トト・ウルフを含め、F1パドック内ではほとんど支持されていない。

「我々は誰もそのような言葉の使用を奨励していない」とウルフ代表は言う。

「我々は模範であり、みんな笑うかもしれないが、私は我々をある種の紳士的な側面を持つスポーツの代表だと考えている。我々は最先端技術と正確さの象徴であり、その意味で、我々は他の多くの人気スポーツとは異なる」

「私としては、このスポーツにはラグビーに似たエレガンスが内在していると思う。運営を侮辱することは考えられない。だから、運営を侮辱するようなことは慎むべきだ。FIAはこの点を守らなければならない」

「競技者、運営サイド、チーム内でも敬意を払うべきで、チームメイトやコース上のライバルを侮辱してはならない」

「同時に、特定の言葉の使われ方には決定的な違いがある。Fワードが自身のパフォーマンスに対するフラストレーションから発せられたり、突発的な感情的反応として発せられたりするのであれば、それはそれだ」

「しかし、それが他のドライバーや関係者、あるいは自身のチームに向けられたモノであれば、容認できないモノで禁止されるべきモノだ」

「もちろん、ドライバーの感情を抑制するつもりはない。記者会見やインタビューでは求められる基準が異なる。しかしコックピット内では、誰かに対する直接的な侮辱や非礼でもない限り、私なら放っておく。これは私の個人的な意見に過ぎないがね」

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