現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【コンパクト・スポーツ3台の1番を選ぶ】M2 CS ✕ 718ケイマンGTS ✕ A110 S 前編

ここから本文です

【コンパクト・スポーツ3台の1番を選ぶ】M2 CS ✕ 718ケイマンGTS ✕ A110 S 前編

掲載 更新
【コンパクト・スポーツ3台の1番を選ぶ】M2 CS ✕ 718ケイマンGTS ✕ A110 S 前編

モンスター級のBMW M2 CSと並ぶ2台

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】718ケイマン/M2 CS/A110 S 全92枚

photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ピクサーのアニメ、モンスターズ・インクは、観たことのある読者も多いはず。今回の比較試乗は、そんなイメージだ。

ドアから顔を覗かせる、長い毛で覆われたブルーの大きなモンスター。小さなグリーンの1つ目モンスターと一緒に、こちらを覗き込む、アレだ。

ポルシェ718ケイマンGTS 4.0と、アルピーヌA110 Sの隣に、新しいBMW M2 CSを停める。筆者には、そのブルーのモンスター、サリーとイメージが重なってしまう。色は灰色で、BMWのエンブレムが鼻先に付いているが。

その横に並ぶのが、黄緑色のマイク・ワゾウスキー。ケイマンの方は、色も同じ。モンスターたちが、ここに揃ったらしい。

今回の比較は、小さいものと大きいものとの対決でもある。BMWが生み出した、最もコンパクトなMは、ステロイド剤で肉体改造されたかのように、CSへと姿を変えている。

筋肉質で堂々とした佇まいは、競合するミドシップ・スポーツカーを圧倒するよう。より小さく、軽く、低いミドシップを持ってきても、最高のドライビング体験を約束してくれる、FRのM2に分があるように思える。

MディビジョンがM2へ与えたパワーとノイズ、太いタイヤは、敏捷性の高いモデルへ対峙するため。718ケイマンGTS 4.0やA110 Sとは、対極的ともいえる。

この3台を直接比較し、勝者を決める。筆者にとっては、難解な試乗になりそうだ。古い親友へ、久しぶりに会ったようでもある。以前にそれぞれ会った記憶はあるものの、お互いにどこかよそよそしい。

理想的なケイマンのドライビングポジション

通常、AUTOCARの比較試乗では、1台は真新しいモデルが含まれている。だが今回は、3台ともに何度か取り上げられている。どんな展開になるのだろう。

1台づつ見ていこう。アルピーヌA110は、3年前の発売以来、称賛を集めてきた。ところが昨年導入された、より強力なA110 Sは、グループテストでの成績があまり奮わない。A110の方は、勝利を挙げているのだが。

以前の試乗レポートでは、グリップとパワーが高まったことで、天才ミドシップとしての輝きに陰りがでていた様子。A110には、必要としないものだったのだろうか。

新しいポルシェ718ケイマンGTS 4.0の方はどうだろう。ジュニア・スポーツカーに、ポルシェはフラット6を復活させた。パフォーマンスカーの階級付けが、再び整った。

ポルシェもアルピーヌも、運転せずして、その味わいを予感できる。個性が濃い。

ケイマンのドライビングポジションは、ほぼ理想的。ドライバーの正面中心にきれいに並び、足を伸ばせ、着座位置は低い。

シートもステアリングホイールも、必要なだけ位置調整ができる。ただし試乗車の場合、座面の長さ調整はなし。ランバーサポートも不足気味ではあった。

アルピーヌA110 Sのドライバーズシートは、標準のA110の記憶より、ヒップポイントが高くコンパクト。背もたれが固定式の、サベルト製シートのせいかもしれない。筆者の身長ではルーフが頭に近すぎる。ヘルメットを快適に被れないほど。

威勢が良いものの、格違いのエンジン

車内からの視界も、718ケイマンは全方向で優れる。一方でアルピーヌは、前方も横方向も、狭い窓から見渡すような気分になる。A110は、コンパクトであることを目指している。実際、小さい。

ケイマンGTSから降りて、アルピーヌA110 Sに乗り換える。これほど押し込まれたような感覚になるとは、想像もしなかった。

A110 Sのドライビング体験は、直接的で勢いがある。スポーツ・モードを選択すれば、292psを発生する1.8Lの4気筒ターボは唸り、エグゾーストは叫び、弾ける。とても威勢が良い。

シフトパドル付き7速デュアルクラッチATの、ショートレシオな中間ギアを使えば、みるみる速度を高める。一方で、心地よく回る718ケイマンの水平対向6気筒エンジンのサウンドや、豊かなフィーリングには及ばない。

高負荷時のアクセル操作に合わせて、回転数が100rpm増えるごとに、高まるエネルギーを感じ取ることは難しい。ポルシェで楽しめるように。

718ケイマンの、6気筒エンジンを味わい尽くすカギとなるのが、6速MTだ。だが、アルピーヌではMTが選べない。

アルピーヌが搭載するエンジンは、ホットなルノー・メガーヌ譲りの4気筒ターボ。一方で、718ケイマンの方は、4気筒ターボへの批判に答えるように新開発した、まったく新しい自然吸気の4.0L。その違いは、試すまでもないかもしれない。

標準のA110とは異なる、A110 Sの性格

フラット6は滑らかにパワーを高める。音響的な高まりも素晴らしい。一方でA110 Sの方は、率直にいって過去のフラット4と比較するべきユニットだと思う。

A110 Sは常に、車重の軽さや機敏な操縦性に依存している。速度を保った滑らかな走りは、コンパクトさが握っている。シャシーの本領を発揮させるには、コーナーへ積極的に立ち向かう必要がある。

攻め立てるほど、操縦性は引き締まり、敏捷性も高まる。同時に、フロントタイヤのグリップを見極める作業が、リアタイヤを操る以上に求められてもくる。

グリップレベルのバランスは、完璧というわけではない。アンダーステア傾向が強いようだ。

グリップ力は、明らかに標準のA110より高い。高速域での安定性にも優れる。それは、サーキットでの走行に焦点が向けられているから。Sの付かないA110とは、異なる性格だといえる。

標準のA110のようには、衝動的に道を走らせない方が良いだろう。Sへ与えられたステアリングの鋭さは、充分な重み付けや手のひらへ伝わる感触がなければ、扱いが難しい。標準のA110なら、そんな心配はいらない。

対してポルシェ718ケイマンは、ミツバチのようなアルピーヌA110 Sには備わらない、丸さと落ち着きがある。だが、路面からの垂直方向の強い入力があると、車重の重さは感じられる。完璧ではない。

この続きは後編にて。

こんな記事も読まれています

優勝逃したギヤボックストラブル、ブレーキと燃料消費の関係/MotoGPの御意見番に聞くポルトガルGP
優勝逃したギヤボックストラブル、ブレーキと燃料消費の関係/MotoGPの御意見番に聞くポルトガルGP
AUTOSPORT web
ポルシェ パナメーラ 新型、E-ハイブリッドの予約開始…価格は1669万円より
ポルシェ パナメーラ 新型、E-ハイブリッドの予約開始…価格は1669万円より
レスポンス
【所さんの世田谷ベース】懐かしの「コポルシェ(スバル360改)」はママチャリより遅かった!? 【幸せのひきがね】
【所さんの世田谷ベース】懐かしの「コポルシェ(スバル360改)」はママチャリより遅かった!? 【幸せのひきがね】
LE VOLANT CARSMEET WEB
若き日にヨーロッパ中を走りまわったルノー5が崖下へ…… 【ドラマチックな愛車との別れ 石橋 寛編】
若き日にヨーロッパ中を走りまわったルノー5が崖下へ…… 【ドラマチックな愛車との別れ 石橋 寛編】
WEB CARTOP
まだまだ現役だけどいつかくる「終車活」はどうする? 一生消えない「車欲」を満たす「庶民の終のクルマ」を真剣に考えてみた
まだまだ現役だけどいつかくる「終車活」はどうする? 一生消えない「車欲」を満たす「庶民の終のクルマ」を真剣に考えてみた
WEB CARTOP
ウイリアムズF1のアルボン、貴重ポイントのチャンス逃し悔しさ「上位リタイアを活かさなきゃだけど、できなかった」|F1オーストラリアGP
ウイリアムズF1のアルボン、貴重ポイントのチャンス逃し悔しさ「上位リタイアを活かさなきゃだけど、できなかった」|F1オーストラリアGP
motorsport.com 日本版
F1オーナーのリバティ・メディア、MotoGPも約6500億円で買収へ?
F1オーナーのリバティ・メディア、MotoGPも約6500億円で買収へ?
motorsport.com 日本版
三菱新型「パジェロ」登場か!? 復活するなら「武骨なデザイン」は絶対欲しい! 全面刷新で何を求める?
三菱新型「パジェロ」登場か!? 復活するなら「武骨なデザイン」は絶対欲しい! 全面刷新で何を求める?
くるまのニュース
【MotoGP第2戦ポルトガルGP】Moto2佐々木歩夢選手は腕上がりにより80%のレースに。手術を受けて次戦へ臨む
【MotoGP第2戦ポルトガルGP】Moto2佐々木歩夢選手は腕上がりにより80%のレースに。手術を受けて次戦へ臨む
バイクのニュース
F1オーナーのリバティ・メディア、MotoGPも約6500億円で買収へ?
F1オーナーのリバティ・メディア、MotoGPも約6500億円で買収へ?
motorsport.com 日本版
F1 Tokyo Festival、イベントスケジュール&申し込み詳細が発表。角田裕毅らF1ドライバーは2日目
F1 Tokyo Festival、イベントスケジュール&申し込み詳細が発表。角田裕毅らF1ドライバーは2日目
motorsport.com 日本版
ソフト99、洗車用品の新シリーズ「アラウネン」 コンセプトは楽しい洗車体験
ソフト99、洗車用品の新シリーズ「アラウネン」 コンセプトは楽しい洗車体験
日刊自動車新聞
バイク界のテスラになれるか? イタリア、エネルジカの電動バイク「EXPERIA」は航続距離420kmを実現も、価格もスゴイ!【東京MCS2024】
バイク界のテスラになれるか? イタリア、エネルジカの電動バイク「EXPERIA」は航続距離420kmを実現も、価格もスゴイ!【東京MCS2024】
くるくら
まるでスポーツクーペなトヨタ「プリウス」どんな人に“刺さる”? 顧客層に変化アリ? 営業マンが感じるジレンマとは
まるでスポーツクーペなトヨタ「プリウス」どんな人に“刺さる”? 顧客層に変化アリ? 営業マンが感じるジレンマとは
くるまのニュース
Juju、フォーミュラEの物流を担当するDHLのアンバサダーに就任「いつかDHLのカラーでレースに」/2024 Tokyo E-Prix
Juju、フォーミュラEの物流を担当するDHLのアンバサダーに就任「いつかDHLのカラーでレースに」/2024 Tokyo E-Prix
AUTOSPORT web
高齢者にやさしい「お花見タクシー」、国際自動車が予約開始
高齢者にやさしい「お花見タクシー」、国際自動車が予約開始
レスポンス
日産自動車がフォーミュラE継続参戦を表明。2029-2030年のシーズン16まで戦い続け、電動車技術に磨きをかける!
日産自動車がフォーミュラE継続参戦を表明。2029-2030年のシーズン16まで戦い続け、電動車技術に磨きをかける!
カー・アンド・ドライバー
自動車ディーラーの9割が集客に危機感、カーシェアに期待…エニカ調べ
自動車ディーラーの9割が集客に危機感、カーシェアに期待…エニカ調べ
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

958.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

296.01048.0万円

中古車を検索
M2 クーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

958.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

296.01048.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村