■かつてのライバルから「エンツォ」の派生モデルが誕生した!
2002年のパリ・サロンでオフィシャルデビューを飾った「エンツォ フェラーリ」は、「F50」、あるいは「F40」といったプレミアム・フェラーリの前作と同様に、世界の熱狂的なフェラリスタから高い支持を得ることとなった。
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限定生産のカスタマーリストは一瞬でそれが埋め尽くされ、転売は認めないという条件で、そのカスタマーを厳選したフェラーリの意思にもかかわらず、市場では高価なプレミアムを投じてでも、エンツォを手に入れようというカスタマーも多かった。それはフェラーリのプレミアムモデルが、いかに魅力的な商品であるのかを証明する、他社では考えられない事情だった。
だがエンツォを生み出したフェラーリの戦略というものは、これでは終わらなかった。エンツォが発表されて以降、ファンの間ではフェラーリがそれをモータースポーツの世界に投じる計画が存在するのかどうかが常に話題となっていた。
当初はその計画こそなかったものの、プライベーターからの要求によって、複数のコンペティション仕様を生み出し、それがサーキットに投じられるに至ったF40。そして試作車としてGT仕様を製作するも、結局それが実戦投入されることはなかったF50、といった前例を考えれば、このような議論が巻き起こるのはきわめて自然な成り行きである。
だが結論のみを簡潔に報告するのならば、フェラーリは、エンツォをベースにコンペティション仕様を製作するという結論を望まなかったのだが、一方水面下では驚きのプランが着々と進行していた。当時フェラーリと共存共栄の道を歩んでいたマセラティから、エンツォの姉妹車ともいえるモデルを発表し、それをモータースポーツの世界に投じようというのである。
当初「MCC=マセラティ・コルセ・コンペティツィオーネ」のネーミングとともに、FIA‐GT選手権への参戦計画を明らかにした新作は、マセラティ社の創業90周年にあたる2004年のジュネーブ・ショーで正式発表された時点で、新たに「MC12」へと車名を改め、その全貌が明らかになった。
同時にレース仕様となるコンペティツィオーネのほかに、ロード仕様のストラダーレ(こちらはシンプルにMC12と呼ばれる)が生産されることがアナウンスされ、エンジニアリング面でのベースとなったエンツォが発表された時と同様の、いや計画された生産台数を考えれば、それ以上ともいえるインパクトを、市場に与えてくれた。
エンツォがあくまでもロード仕様を前提としていたこととは対照的に、MC12の場合はレース仕様があくまでもその主流といえる。したがってエンツォでは、カスタマーの希望どおりにボディカラーなどを選択することができたが、MC12の場合は、ビアンコ・フジと呼ばれるホワイトと、いわゆるマセラティ・ブルーの2トーンによるボディカラーが唯一設定されていたのみであった。
可変ウイングの類は一切採用されておらず、リヤウイングの角度調整も不可能。ここにエンツォとMC12との間にある、大きなキャラクターの違いが表現されているのである。
当時フェラーリのチーフスタイリストであった、フランク・ステファンソンの手によって描き出されたMC12のスタイリングは、全長で5143mm、全幅で2096mmという堂々たるボディサイズもあってか、かつて全盛を極めたグループCカーのそれにも似た、実に流麗なものに仕上がっていた。
基本構造体はノーメックスハニカムを採用したカーボンモノコックで、これもまたMC12に独自のもの。リアミッドに搭載されたエンジンは、632psの最高出力となる6リッター仕様のV型12気筒DOHCで、これはエンツォ用ユニットがベースとなっている。
ミッションはエンツォと同様に2ペダルのシングルクラッチ型ロボタイズド6速MTだが、それまでのマセラティ車の例に倣って、MC12の場合にはカンビオコルサの名が与えられた。
MC12の内装は、意外にも豪華なフィニッシュだ。ボディカラーとコーディネイトされたブルーレザーを積極的に採用するほか、現代のロードモデルには必要不可欠なエアコンも標準装備。シートはスパルコ製のバケットタイプで、シリアルプレートにはカスタマーの名前までもが刻印されるなど、その趣味性は高かった。
ロード仕様のMC12は、2004年に25台、そして翌2005年にも25台がカスタマーのもとへとデリバリーされているが、それを手中に収めることができた幸運なカスタマーは、同時にモータースポーツの世界において活躍するMC12の姿を、さらに誇らしく感じただろう。
レース仕様のMC12である「MC12コンペティツィオーネ」は、当然のことながらさらにスパルタンなフィニッシュを見せる。マセラティからリース供給されるエンジンは、吸気制限によって約600psにまで出力が抑えられたものの、その戦闘力はやはりFIA‐GT選手権においては圧倒的だった。
そしてマセラティが、このサーキットアクティビティから新たにMC12のラインナップに派生させたのが、12台の限定車として発表した「ベルジオーネ・コルセ」である。それはまさに、その前年にフェラーリから発表されたエンツォの派生形、「FXX」のマセラティ版ともいえるサーキット走行専用車である。
レースへの参加も一般道での走行も不可能である代償として、このベルジオーネ・コルセには755psというマセラティ史上最強の6L版V型12気筒エンジンの搭載が実現した。ミッションはコンペティツィオー
■特別なフェラーリオーナーだけに許される「FXXプログラム」とは?
それでは、このMC12ベルジオーネ・コルセの前身ともいえる、フェラーリFXXとはいかなるモデルなのか。ここからはふたたびフェラーリ・ブランドでのエンツォからの進化を追っていこう。
フェラーリからFXXの生産計画が正式にアナウンスされたのは、2005年6月のことだった。実際に同年12月に開催されたボローニャ・ショーで実車を初披露することになるのだが、モーターショーの華やかな舞台ではなく、単なるリリースでこのような歴史的な作品を発表してくるあたりも、いかにもフェラーリらしい演出といえなくもない。
FXXは、もちろんエンツォをベースに、それをサーキット走行専用車として仕立てた作品だ。生産台数はわずかに29台。カスタマーは当時で150万ユーロの支払いをフェラーリに求められ、一方フェラーリはFXXプログラムと呼ばれる究極のカスタマーサポートを提供。
オフィシャルイベント参加のための輸送やメンテナンス、さらにはサーキットでの万全のホスピタリティなどがそれには含まれていた。ピロータFXXと呼ばれたカスタマーは、身ひとつでサーキットに向かえば、そこにはF1パイロットと同様の体制とともに待つ、自身のFXXがあったのである。
FXXのエクステリアデザインは、エンツォのシルエットこそ忠実に受け継がれているものの、そのディテールはさらに魅力的なエアロダイナミクスを得るために、積極的にモディファイされていた。
フェラーリによればエンツォ比でのFXXのダウンフォース量は、実に40%増。それを裏付けるかのように、フロントのバンパースポイラーやボンネット上のエアインレット&アウトレット、リアには左右にボックスデザインのサブウイングを備え、同時にセンターセクションを可変式とした専用のウイングを装備するなど、その変化は著しい。
エグゾーストの位置がサブウイングの直下に移動しているのは、ディフューザーの機能をより効率的なものとするための策だろう。ボディパネルはオールカーボン。車重はエンツォからさらに100kgが軽減され、1150kgが公式なデータとなる。
リアミッドに搭載されるエンジンは、FXX専用となるV型12気筒DOHCで、ボア×ストロークを新たに94×75.2mmとすることで6262ccの排気量を得た。
最高出力はエンツォからさらに140psものエクストラを得たもので、フェラーリは800ps以上と発表している。ミッションは最短100mm秒でのシフトが可能な、当時のF1マシンとほぼ同等の速さでのシフトが可能となるロボタイズド型6速MT=F1マチックとなり、スパルコ製のバケットシートや、液晶パネルを採用したメーターなど、インテリアにもFXXに独自のフィニッシュは多く見受けられる。
FXXプログラムは、当初2006年、2007年の2年間にわたってFXXのカスタマーに提供される計画だったが、その後フェラーリはさらに、最新スペックのトラクションコントロールやCCMブレーキ、さらには880psへのパワーアップを可能とするエンジンのアップデートキットなどから構成される、エボリューション・パッケージを提供。同時に2008年、2009年の2年間、FXXプログラムを継続することを決定した。ちなみにこのFXX、そしてFXXプログラムのコンセプトが、後に599XXと599XXプログラムに継承されたことは、フェラーリの事情に詳しい人には周知のとおりだろう。
ちなみにFXXは当初計画された限定生産数29台のほかに、ミハエル・シューマッハのために1台を追加生産。トータルで30台が生産されている。
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