現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > コストと性能のバランス『リムスピニング製法』のアルミホイールに注目~カスタムHOW TO~

ここから本文です

コストと性能のバランス『リムスピニング製法』のアルミホイールに注目~カスタムHOW TO~

掲載 1
コストと性能のバランス『リムスピニング製法』のアルミホイールに注目~カスタムHOW TO~

アルミをドロドロと流し込む鋳造。アルミをプレスで押し潰す鍛造。そのいいとこ取りのようなホイールがリムスピニングと呼ばれるもの。どんな長所があるのだろうか。

アルミホイールは大きく分けると2種類の製法がある。鋳造製法は型にドロドロに溶けたアルミを流し込んで固める方法。南部鉄器などと同じで古来からある製法でもある。

愛車をパワーアップさせる“限界ギリギリ”チューニングとは~カスタムHOW TO~

特徴は型に流し込んで作るので、細かい造形もできること。デザイン性の高さがある。また、型さえ作ってしまえばどんどんアルミを流し込んで作れるので大量生産向きで、製造コストが下げられるのがメリット。純正アルミホイールの多くはこの鋳造で作られていて、アフターパーツのホイールでもリーズナブルなものはほとんどこの鋳造製法で製作されている。

鍛造製法はアルミ素材をプレスで潰して成形していく製法。熱した鉄を叩きながら成形していく刀の作り方に近いのがこちら。

アルミ素材を熱した上で5000~1万2000tもの力で押し潰す。この時にアルミの素材が潰されてそこには鍛流線と呼ばれるものができる。これは筋肉に入る筋のようなもので、素材同士の結びつきを強くしてくれる。それによって素材が強くなるので、薄くしても剛性や強度が保つことができ、結果として軽量なホイールを作ることができる。

レースでは鍛造製法のホイールが使われることが多い。それはやはり剛性の高さからハンドリングに優れることや、軽さが得られること。強い衝撃を受けても割れにくいことなどが理由である。ちなみにF1では鍛造製法だが素材はマグネシウムが使われ、2022年からは全チームが富山県のBBSジャパンで製造されている鍛造マグネシウムホイールを使用している。

鍛造製法の問題としては型で押し潰すので細かい造形はできない。例えばスポークのサイドをくびれさせるような造形は型で押し潰すので無理。たいやきや人形焼きのようなイメージなのだ。

もしくはそもそもスポークなどを成形せず、貝柱のような素材を潰してお煎餅のようにして、そこからNC旋盤と呼ばれるドリル的なもので掘ってスポークを作っていくこともある。レース用などの少量生産ではこのお煎餅をあとから切削していく製法を使うことが多い。

いずれにせよ1本ずつ高額なプレス機で時間を掛けてプレスして、それから切削加工などを施さなければならず、大幅にコストが掛かる。鋳造製法の2倍以上の価格になることも珍しくないのだ。

どちらにも一長一短があるが、その間の美味しいところを狙っているのがリムスピニング製法のホイールだ。まずベースとなるホイールは鋳造製法で作る。リーズナブルに製作できる鋳造でホイールを大まかに作り、そこからリムなどをローラーで押しつぶして伸ばしていく。

リムだけ鍛造製法にしているようなイメージである。ホイールの外周部であるリムを強くすることで、薄くすることができ、外周部を薄く軽く強くすることでホイールの基本性能を高めることができる。それでいて鍛造製法ほど手が掛からないのでコストも抑えられる。軽くて強くてそして安いというのがリムスピニング製法のホイールの特徴なのだ。

ホイールの性能は軽さだけではない。軽いほうが路面追従性も良くなり運動性能が高まる。サスペンションのスプリングよりも下側のタイヤに近い部分の重さのことをバネ下重量というが、このバネ下重量は軽いほど運動性能が高まる。その軽さの効果はバネ上の5倍や10倍も効くと言われている。

また、軽いホイールは回転慣性も減るので加速も鋭くなり、ブレーキも効きやすくなる。加減速の性能も向上させることができる。しかし、現代ではクルマは衝突安全に対する考えからどんどん大きく重くなっている。それに合わせてエンジンパワーも増え、モーターと併用することで大きなトルクが発生しているハイブリッド車も多い。

そこでホイールにはこれまで以上に強さが求められている。10年前は軽さが重要だったが、現在は軽さと同時に剛性と強度も高くないとホイールがたわんでしまってハンドリングが曖昧になったりしてしまう。各メーカーでも最新車両に合わせてホイールのリニューアルが進められていて、若干重くなりつつも高強度、高剛性にしてデビューしているホイールも増えているのだ。

そんなホイールに求められる性能が高くなっている昨今、そういった性能を実現しつつもコストが抑えられるリムスピニング製法のホイールはこれからも増えていくであろう注目の存在なのだ。

関連タグ

こんな記事も読まれています

エアロパーツ選びで大事なのはバランス! 前後の取り付け注意点とは?~カスタムHOW TO~
エアロパーツ選びで大事なのはバランス! 前後の取り付け注意点とは?~カスタムHOW TO~
レスポンス
「アルミボディ」の優位性は崩れつつある! いまどきのクルマのボディ事情
「アルミボディ」の優位性は崩れつつある! いまどきのクルマのボディ事情
WEB CARTOP
トライアンフがモトクロッサー『TF 250-X』を発表
トライアンフがモトクロッサー『TF 250-X』を発表
レスポンス
カスタムをもっと自由に定番ホイールの現在進化形「MAVERICK(マーベリック) 1505S」【ホイールカタログ2023-2024冬】
カスタムをもっと自由に定番ホイールの現在進化形「MAVERICK(マーベリック) 1505S」【ホイールカタログ2023-2024冬】
LE VOLANT CARSMEET WEB
不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア!ピストン流用を決めた「ベンリイCD125」シリンダーボアアップ用銅ガスケットを製作!【vol.6】
不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア!ピストン流用を決めた「ベンリイCD125」シリンダーボアアップ用銅ガスケットを製作!【vol.6】
バイクのニュース
スーパーカーだけに許された「ガバッとボディ」! デメリットだらけのチルトカウルは「カッコイイから」ですべて許される
スーパーカーだけに許された「ガバッとボディ」! デメリットだらけのチルトカウルは「カッコイイから」ですべて許される
WEB CARTOP
新品 vs リビルド vs オーバーホール、比べたらどれが一番おトク?~カスタムHOW TO~
新品 vs リビルド vs オーバーホール、比べたらどれが一番おトク?~カスタムHOW TO~
レスポンス
アキュラの最新「タイプS」、355馬力ターボ搭載…改良新型『TLX』に設定
アキュラの最新「タイプS」、355馬力ターボ搭載…改良新型『TLX』に設定
レスポンス
フィットe:HEV用が一挙発売、ブリッツのエアクリーナーシリーズ4種類・5製品
フィットe:HEV用が一挙発売、ブリッツのエアクリーナーシリーズ4種類・5製品
レスポンス
ホンダ ZR-Vのスポーティさを昇華&新型N-BOX/N-BOXカスタム用パーツが「無限」から登場! 体験してみた
ホンダ ZR-Vのスポーティさを昇華&新型N-BOX/N-BOXカスタム用パーツが「無限」から登場! 体験してみた
くるまのニュース
ホイールマイスターが提案するこだわりへの最適解「ERFURT(エアフルト)/GAYA-W5(ガヤW5)」【ホイールカタログ2023-2024冬】
ホイールマイスターが提案するこだわりへの最適解「ERFURT(エアフルト)/GAYA-W5(ガヤW5)」【ホイールカタログ2023-2024冬】
LE VOLANT CARSMEET WEB
アルピーヌA110 詳細データテスト 完成度の高いシャシー モアパワーがほしい もう少し安ければ
アルピーヌA110 詳細データテスト 完成度の高いシャシー モアパワーがほしい もう少し安ければ
AUTOCAR JAPAN
ポルシェ『パナメーラ』新型、「ターボ」専用内外装を初めて設定
ポルシェ『パナメーラ』新型、「ターボ」専用内外装を初めて設定
レスポンス
まるで「地球外マシン」の才腕 マクラーレン750Sへ試乗 後継のハードルを上げる完成度
まるで「地球外マシン」の才腕 マクラーレン750Sへ試乗 後継のハードルを上げる完成度
AUTOCAR JAPAN
<新連載>[低音増強でカーオーディオはもっと楽しくなる]導入のハードルが低いのは「小型・薄型パワードタイプ」!
<新連載>[低音増強でカーオーディオはもっと楽しくなる]導入のハードルが低いのは「小型・薄型パワードタイプ」!
レスポンス
同じようなのゴムの塊に見えるけどなんでそんなに違う? 同サイズでもタイヤの価格がピンキリなワケ
同じようなのゴムの塊に見えるけどなんでそんなに違う? 同サイズでもタイヤの価格がピンキリなワケ
WEB CARTOP
ブリッツがスロットルコントローラー「Power Thro」とターボ車ブーストアップ製品「Power Con」にアバルト 595 用を追加
ブリッツがスロットルコントローラー「Power Thro」とターボ車ブーストアップ製品「Power Con」にアバルト 595 用を追加
レスポンス
ジャッキアップ不要で被せるだけ! 女性でも取り付けやすい布製タイヤチェーンが2023年版にリニューアル
ジャッキアップ不要で被せるだけ! 女性でも取り付けやすい布製タイヤチェーンが2023年版にリニューアル
レスポンス

みんなのコメント

1件
  • まあ、そこらを走る程度なら
    好きなデザインのを履いてりゃオケ
    歴代、鍛造品を使ってるけど正直なとこ
    峠レベルじゃ違いなんて分からん(笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで! 登録してお得なクーポンを獲得しよう
マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

ログイン

中古車探しをもっと便利に

  • 中古車お気に入り管理
  • おすすめ中古車の表示

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村