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トライアル競技で日本人初の世界チャンピオンを獲得した「フジガス」の愛機モンテッサ「コタ315R」とは

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トライアル競技で日本人初の世界チャンピオンを獲得した「フジガス」の愛機モンテッサ「コタ315R」とは

2ストロークでトライアル黄金時代を築いた、栄光の数々と「フジガス」

 ヨーロッパを中心に人気のバイク競技「トライアル」は、スピードやタイムを競うロードレースやモトクロスと異なり、山の斜面や岩場、川など自然の地形の中に設けられた短いコース(=セクション)を、いかに足をつかずに上手に走破するかを競い合います。

【画像】細っ!! トライアルで日本人初の世界チャンピオンとなった「フジガス」号を見る

 足つきや転倒が減点となり、1日で数十セクションを巡って減点が少ないライダーが優勝となります。点数で勝敗が決まるので、イメージ的にはゴルフにも似ていると言えます。

 世界選手権は1975年から始まっていますが、そのルーツは120年以上前まで遡ることができます。

 長い歴史の中では英国がトライアルのメインランドでしたが、世界選手権発足後、年間タイトルを獲得したバイクメーカーはスペインとイタリア以外では日本のホンダだけです。

 トライアル車の老舗名門メーカーであるスペインの「Montesa(モンテッサ)」は、世界チャンピオンを獲得した優れたトライアル車を製造していました。しかし1980年代にスペイン経済の冷え込みとともに経営不振に陥り、ホンダの傘下に入ります。

 スペインのモンテッサ・ホンダの工場では、トライアル車以外にもホンダの大型アドベンチャーバイクの生産も行われました。

 一方、ホンダのトライアル車の歴史ですが、1973年に初めてのトライアル車「バイアルスTL125」を販売し、その後も公道用/競技用と様々なトライアル車を開発・販売していきます。

 ホンダは他の競技同様にトライアルでも世界選手権に挑戦します。1982年に「RTL360」に乗るエディ・ルジャーン選手が世界チャンピオンを獲得し、その後の3連覇は最初のホンダ+4ストロークトライアル車の黄金時代でした。

 その後、2ストロークエンジン搭載の欧州メーカーが台頭します。ホンダも1985年の「TLM200R」を皮切りに2ストロークエンジンのトライアル車を続々と販売し、選手権には2ストロークのファクトリーマシンを投入します(トライアル車の市販車はファクトリーマシンのレプリカと言える構造が特徴です)。

 1994年に満を持してモンテッサ・ホンダから新型車が登場します。1996年にはこの新型車モンテッサ「COTA 315R(コタ315R)」でマルク・コロメ選手がチャンピオンを獲得します。

「コタ315R」はスペインと日本で2つの車名を持ち、その同型車がホンダ「RTL250R」として国内で発売されました(トライアルには排気量の規定が無いのでファクトリーチームのバイクの排気量は不明。または大会ごとに違う可能性があります)。

 2000年にはトライアル世界選手権のホンダファクトリーチームは「モンテッサHRC」となり、現モビリティリゾートもてぎで日本GPも初開催となりました。この2000年から、モンテッサHRCのドギー・ランプキン選手と「コタ315R」は4連覇を記録します。

 さらに2004年にこの王者ランプキン選手を倒し、世界の頂点に立ったのが、レプソルモンテッサHRCのチームメイトであった藤波貴久選手です。

 藤波選手は3歳で子供用オフロードバイクであるホンダ「QR50」と出会い、10歳で自転車トライアルの世界チャンピオンになりました。「将来はバイクでも」と、トライアルの競技を駆け上がり1996年から世界選手権に出場。2004年にはモンテッサHRCの「コタ315R」で日本人初のトライアル世界チャンピオンとなります。

 藤波選手は「フジガス」の愛称で親しまれ、アクセル全開走行で観客を魅了します。HRCもそのフジガスの強みを活かす、高回転がよく伸びるバイクを用意しました。

 ここに紹介するマシンは、その2004年に世界チャンピオンを獲得した藤波選手のモンテッサ「コタ315R」です。

 ロードレースのマシンを思わせる「目の字」断面のアルミツインチューブフレームや、水冷ケースリードの2ストロークエンジンなど、HRC製の技術に加えて長期に渡り選手権で蓄積されたノウハウと技術を導入しています。ヨーロッパ製のデロルトキャブレターなど、他のカテゴリーではあまり目にしないパーツも装備しています。

 しかし環境問題からFIMは4ストローク化の方向を示し、モンテッサ・ホンダも世界の頂点を何度も獲得した2ストロークの「コタ315R」から、4ストロークエンジンの「コタ4RT」へと代替わりして行きます。

 ホンダHRCとタッグを組んだモンテッサは世界の競合と渡り合い、トニー・ボー選手と「コタ4RT」は19連覇を達成し、現在もトライアル界の王者として君臨しています。

 藤波選手はレプソルホンダのチーム監督を務める一方、2024年にはホンダが開発した電動トライアルバイク「RTLエレクトリック」で全日本選手権に参戦し、3連勝とトライアルの新しい可能性をアピールしています。

■Montesa「COTA 315R」(2004年型)主要諸元エンジン種類:水冷2ストローク単気筒ケースリードバルブ車両重量:71kg以下(乾燥)

【取材協力】ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)※2023年12月以前に撮影

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みんなのコメント

5件
  • shi********
    ミショー、サンダース、タレス、ポンス、ミリオ
    に成田くん。
    トライアルジャーナルの値段が当時680円
    高いけど毎月買ってた
  • kkc********
    62だけど、40年前くらい
    昔はトライアルブームもあったね。

    ところで、トライアル用の公道タイヤって
    中低速でのグリップいいから
    普通の林道ツーリングにいい様です。
    今度愛車のFTRに履く予定。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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