積算6263km クルマのイメージに合うシート
text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
長期テストで乗っているカローラ・スポーツのシートは至って平凡。高性能が自慢のバケットシートでも、上質なレザー仕上げでもない。シートヒーターは付いているが、それ以外は特徴がない。
ではなぜ敢えて触れるのか。過度にイメージ先行型でなく、とても快適なシートだから。カローラ・スポーツの雰囲気によくマッチしたシートだと思う。
積算7794km BMWから乗り換えた長距離ドライバー
トヨタ・カローラ・スポーツは、英国のAUTOCAR編集部にあるクルマの中でも、控え目ながら人気者だ。
事務所で借りている駐車場には壮観なSUVから派手なスーパーカーまで揃うが、リラックスして乗れる燃費の良いクルマは、長時間過ごすのに丁度良い。高速道路を長く走るような目的では、人気の選択肢となっている。
興味深いことに、こう感じるのは編集部だけではないようだ。先日、カローラ・スポーツへ乗り換えたという2名の読者から連絡をもらった。1人は以前にBMW520dへ乗っていて、もう1人は320dツーリングから乗り換えたという。
両者ともBMWからカローラへ乗り換えるのは、通常ではないということも認めてはいる。しかし会社からの貸与車両として自動車税を削減でき、ランニングコストが下がるという点を評価する、年間走行距離の多いドライバーだった。
プレミアムブランドにも勝てる、トヨタ・カローラ・スポーツの強みを証明している。同時に、比較されるモデルが幅広いということも示している。
1.8Lより好印象な2.0Lエンジン
トヨタ・カローラ・スポーツから得られるとても優れた印象に、高く満足をしているわれわれ。だが走行距離が伸びるにつれて、小さな不満も見えてくるようになった。新年早々の話題としてはどうかと思うが、思い当たるところを挙げてみたい。
カローラ・スポーツで最も優れていると感じる1つは、英国仕様車に積まれる2.0Lのガソリンエンジンをベースとしたハイブリッド。プリウスや日本仕様のカローラ・スポーツに搭載されている1.8L版と比べると、明確に一歩前進の仕上がりを得ている。
洗練され経済的なパワートレインだ。その反面、大きなエンジンを搭載しているということは、荷室容量が小さくなるということも意味している。
1.8Lモデルの場合、ハイブリッドのもう1つのエネルギー源となるバッテリーは、ボンネットの中にエンジンと一緒に搭載されている。しかし2.0Lエンジンは物理的に大きく、バッテリーがフロントには収まらない。
結果2.0Lモデルの場合、バッテリーはリアの荷室を削って搭載されている。荷室の床面が高くなっているぶん、容量も小さい。1.8Lモデルでは361Lある空間が、2.0Lモデルの場合は313Lになっている。
まだ充分な荷室空間があることは事実だが、カローラ・スポーツのライバルモデルと比べると小さ目。大きな荷物を頻繁に運ぶオーナーは、不満を感じるかもしれない。
荷室空間とインフォテイメント
嵩上げされた荷室の床面は、高さ方向では残念に感じるほど。先日学術書などが入った箱をいくつか運ぼうとした時、気付いてしまった。
プラグインハイブリッドなら、荷室空間が削られるのは一般的。そのかわり、電気のみの力で走行できる距離が見返りとして得られる。だが、PHEVではないカローラにはそれがない。
もう1つの不満は、標準のインフォテイメント・システム。酷いといえるほどではないものの、インターフェイス・デザインに小さなつまづきがある。
例えばデジタルラジオのチャンネルは6局分を登録できる。ところが利用可能なラジオ局をスクロール表示させると、チャンネルがランダムに入れ替わって表示されてしまうのだ。わたしの場合、ほとんどの時間はラジオではなくポッドキャストを楽しんでいるけれど。
ほかにも郵便番号でナビの目的地を設定する時もわずらわしい。キーボードの数字入力が、別画面を選ばないと表示されず、サブメニューから切り替える必要がある。ブルートゥース機能も改善を求めたいところ。
他の自動車メーカーのインフォテイメント・システムでも、似たような不満はつきもの。だがアップル・カープレイに対応していれば、スマートフォンの機能を直感的に操作することも可能となる。
長期テストの初期型のカローラ・スポーツの場合、アップル・カープレイに対応していない。とりあえずトヨタ純正のシステムを使うしかない。
できるだけカイゼンしようと努める姿勢
ところが朗報もある。英国でも、アップル・カープレイに対応するようにアップデートされたインフォテイメント・システムが、カローラにも搭載されるという。初期のオーナーにもアップデート対応してもらえることを願いたいところ。
トヨタがインフォテイメント・システムを見直したという事実は大歓迎。カローラ・スポーツをできるだけ良くしようと努めている証拠だといえる。
こういう小さな手直しは、プレミアム・ブランドから乗り換えるような新しいオーナーを、継続して獲得できる重要なカギとなるはず。既にカローラ・スポーツには、静かな走りと控え目なスタイルという、満足感が備わっているのだ。
テストデータ
気に入っているトコロ
操作しやすいステアリング:とりわけスポーティな操縦性とまではいえなくても、一貫性があり運転しやすい。狭い車線内を走る際も気を使わないで済む。
気に入らないトコロ
バックカメラ:便利な機能ながら、冬場は特にレンズが汚れやすい。
テスト車について
モデル名:トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)・エクセル2.0ハイブリッド(英国仕様)
新車価格:2万9075ポンド(386万円)
テスト車の価格:2万9870ポンド(397万円)
テストの記録
燃費:17.5km/L
故障:なし
出費:なし
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