米国のSUVブランドとして高い人気を誇るJEEPに、新たな仲間が加わった。それが新たなミッドサイズSUV「コマンダー」だ。その特徴は、3世代乗車を実現する3列7人乗りのシートレイアウトと経済的なクリーンディーゼルエンジンの搭載だ。
ファミリーカーとしても人気上昇中のSUVだが、輸入車で日本でも扱いやすい3列シート車は希少だ。新たな選択肢となるか、コマンダーの仕様と特徴を紹介する。
文/大音安弘、写真/ステランティスジャパン
■看板モデルの後継を担う新型ジープ
ステランティスジャパンは2022年10月24日、ミッドサイズSUV「コマンダー」の日本導入を発表し、同日より発売した。右ハンドル仕様となり、価格は597万円だ。
ジープに新たに仲間入りしたミッドサイズSUV「コマンダー」は7人乗りが強み
コマンダーは、新たにJEEPラインナップに加わった3列7人乗りのミッドサイズSUVだ。日本でも長らく愛されていたチェロキーの導入が終了し、そのポジションを受け継ぐモデルとして導入された。
ちなみに、かつて導入されていたフラッグシップモデル「コマンダー」との関連性はないという。その名称のみを受け継いでいる。
ボディサイズは全長4770×全幅1680×全高1730mmで、チェロキーと比較して、全長が105mm拡大されているが、全幅は同等を維持。さらに全高は45mm抑えられ、伸びやかなスタイリングの構築に貢献する。
ホイールベースは、+60mmの2780mmとなるが、最小回転半径がチェロキーと同様の5.8mとなるため、同様の取り回しが保たれているといえる。
全長は4770mmと長め。3列シートのために、ホイールベースとリアオーバーハングが拡大されている
■グラチェロ譲りのタフなスタイル
エクステリアデザインは、最上位のグランドチェロキーLを意識したモダンなもの。薄型のフロントマスクには、ジープ伝統の7スロットグリルとLEDヘッドライトを一体としてデザインし、洗練された印象を与える。
同時に、車両周囲にはプロテクションを這わせ、フロントバンパーにはガードバーを彷彿させるメッキモールを加えることで力強さも強調し、JEEPの系譜を感じさせる。
高さを抑えたガラスエリアと薄型テールランプとセンターガーニッシュによりボディの肉厚感を演出したリアスタイル
ルーフをブラック化することで、肉厚なボディを強調し、リアエンドでは引き締まった肉体を豊富させる力強いデザインに仕上げている。ボディカラーは、パールコートとなるホワイト、ワインレッド、ブラックに加え、グレーメタリックの4色を用意。このうちパールカラーは有償色となる。
■最新SUVトレンドを取り入れた上質なインテリア
コックピットは先進機能を取り入れつつ、シンプルな操作を重視したもので、視認性に優れる水平基調のダッシュボードなど、最新SUVのトレンドに沿った空間に仕上げられているが、アメリカンSUVらしいエッセンスもしっかりと取り入れられており、独自の世界観を備える。
メーターパネルは、10.25インチのフルカラーディスプレイメーターとなり、中央には、10.1インチのタッチスクリーンを装備する。
モダンなコックピットには、フルカラー液晶のデジタルメーターが備わる
シートはレザー仕様となり、サイドサポート部にはダイアモンドキルティング処理が施された上質なもの。シートレイアウトは、2+3+2の構成となっており、3列目のアクセス時には、2列目がワンアクションで折り畳める機構を備える。
ただし、3列目は頭上と足元のスペースに制約があるため、実質的にはジュニアシートと捉えるべきだろう。もちろん、3列目を折り畳めばフラットなラゲッジスペースに早変わりする。
3列目へのアクセスはし易いが、足元スペースにかぎりがあるため、子供向けとなるだろう
■豪華装備の「リミテッド」のみを導入
トリムレベルは、豪華装備を誇る「リミテッド」のみ。代表的な機能を紹介すると、10.1インチタッチスクリーン付きのインフォメーションシステムにはナビゲーションシステムを搭載し、9個のスピーカーと1基のサブウーハーを備えるプレミアムサウンドシステムを組み合わせる。
プレミアムエアフィルター付きデュアルゾーンオートエアコン、ワイヤレスチャージングパッド、ETC2.0車載器、パワーシート及びシートヒーター付きのフロントシート、ヒーテッドステアリング、ハンズフリーパワーテールゲートなど快適装備が充実。
もちろん、先進安全運転支援機能も標準化されており、アダクティブクルーズコントロールを初め、ブラインドスポットモニター及びリアクロスバスディテクション、衝突被害軽減ブレーキ、パークアシスト、サラウンドビューカメラなど充実の内容を誇る。
■アクティブライフを支えるパワートレーン
パワーユニットには、ジープで日本初導入となる2L直列4気筒ディーゼルターボを採用。最高出力170ps/3750rpm、最大トルク350Nm/1750~2500rpmを発揮。排気ガスのクリーン化のために、尿素SCRシステムも備える。
注目の燃費消費率が13.9km/L(WLTC)と、約1.9tのボディとしては経済的となっている。燃費と軽やかな走りに貢献するトランスミッションは、電子制御式9速ATとし、自動切り換えを行う電子制御式オンデマンド4WDも標準装備される。タイヤもマッド&スノータイヤが装備されるため、季節や天候を問わず、安定した走りを提供してくれる。ユーザーのアクティブライフを支えてくれる。
日本初導入の2Lディーゼルターボも新たな武器のひとつだ
充実装備と経済的なディーゼルエンジンを備えるコマンダーは、2.4Lガソリンエンジンの5人乗りSUVである「コンパスリミテッド」と比べると、88万円の価格差があるが、よりSUVらしいワイルドなスタイルや上質で落ち着いたインテリア、クリーンディーゼルエンジン。
そして、7人乗車が可能な点と拡大可能なラゲッジスペースを考慮すれば、かなり戦略的な価格といえる。しかし、同価格帯には、同じく7人乗りメルセデスベンツの「GLB」クラスが存在し、GLB 200 d 4MATICというディーゼル4WDも選べる。
輸入車のなかでは、貴重なコンパクトな7シーターSUVとして一強となっていたメルセデスベンツGLBクラスに対して、コマンダーが如何なる戦いを見せるかにも注目だ。
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