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欧州のレースは「本音でぶつかっている」と中山雄一。複数カテゴリー参戦で経験値上昇中

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欧州のレースは「本音でぶつかっている」と中山雄一。複数カテゴリー参戦で経験値上昇中

 トヨタGAZOOレーシングに所属する中山雄一は、2024までスーパーGT・GT500クラスにTGR TEAM SARDから参戦していたが、2025年からはヨーロッパを中心にNLSニュルブルクリンク耐久シリーズ、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ/エンデュランス・カップ、スパ24時間レース、そしてWEC世界耐久選手権など、幅広い活動へと軸足を移すこととなった。

 レギュラードライバーの負傷による代役参戦となったWECデビュー戦スパでは、アコーディスASPチームのレクサスRC F GT3をドライブし、見事に入賞も飾った。新たなステージで活躍を見せる中山に、WEC開催中のスパで話を聞いた。

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■WEC参戦チームは「痒いところに手が届く万全な状態」

──今年はヨーロッパで新たな挑戦を始められましたが、このチャンスは所属されているトヨタGAZOOレーシングからの提案だったのでしょうか? それとも中山選手ご自身のご希望なのでしょうか?

中山雄一:事前には内容についての通知はなく、どんな話が待っているのか不安を抱えながら昨年のシーズンオフにトヨタ自動車へ伺いました。GT500のシートが無くなる可能性については薄々感じており、その通告にかなり落胆しましたが、その一方で、ヨーロッパへの挑戦のご提案を頂いてとても光栄に思いました。

──今年は活躍のフィールドが広がっていますね。慣れ親しんだ日本とはレースカルチャーが違うかと思いますが、どんな印象を受けましたか?

中山:とくにWECのアコーディスASPチームは、レースウィークに入る前の準備段階からレース終了まで、ドライバーに対するケアやサポートがすごくシステマチックに準備されていて、レースに集中できるコンディションを用意してくれていますので、痒いところに手が届く万全な状態です。

 ですからまったく不満はなく、逆に言うとここまでドライバーのためにサポートしてくれているのだから、チームのみなさんのためにも結果を出さなければ、と思いますし、チーム全体で協力して結果を残すということに貪欲に取り組んでいるチームだと感じています。このようなプロフェッショナルなチームでドライブさせていただけたことは、ヨーロッパのレースを学ぶ上でとても良い経験となりました。

──WEC仕様のレクサスRC F GT3をドライブした感触は?

中山:僕はRC FがスーパーGTにデビューした年から2年間と、スーパー耐久でこのマシンをドライブしていました。シリーズが違うと、使用するタイヤが異なりますが、事前に日本でさまざまなレースの経験を積んだ上でここへ来たので、不安はありません。ただ、スパというサーキットは僕にとって初めての経験です。

 スパには、本当にいろいろな特徴のコーナーがあります、オー・ルージュから始まり、ハードブレーキングもありますし、登り、下り、低速、中速、本当にひとつとして同じようなコーナーがないコースです。ヨーロッパのドライバーは日頃からこのようなサーキットでレースをしていて、たくさん練習を重ねて挑んでいるレースのひとつでしょうが、そんな中で僕はまだフリープラクティスを数時間しか乗っていない状態で(決勝に)挑まなければならないという状況に、多少の不安はありました。

 フリープラクティスが終わってみて、RC Fの調子がかなり良いというところにもドライバーとして助けられているのはもちろんなのですが、その経験の少ない中でタイヤや路面状況をつかみ、それなりのタイムは出せたかなと思いますし、WECでRC Fを走らせ始めた中で、とてもポジティブな印象を受けました。

──コースやチームによってもセットアップの方向性や感触は違うかと思いますが、初めてのコース、初めてのチームでどう感じられましたか?

中山:そうですね、セットアップの方向性はそれぞれ全然違いますし、このクルマを分析する手法もまったく違うと思います。同じRC Fでもちょっとエアロパーツが違っていて、アコーディスASPのRC FはWEC仕様になっています。そういった意味でも、同じクルマでもいろいろな意味でも違うんだなという印象を受けますね。ただ、シートに座って、ステアリングを握ってアクセルやブレーキ踏んだ感触は、乗り慣れたRC Fそのものなので、初めてのWECやスパですがすごく安心感があります。

──アストンマーティンのマルコ・ソーレンソンが昨年スーパーGTに初めて参戦して、日本のドライバーはとても紳士的でぶつかり合いの勝負をほとんどしないことに驚いたと話していました。日本のレースに慣れている中山選手は、ヨーロッパの激しいレースを体験してどう感じましたか?

中山:日本のレースは奥ゆかしさを感じます。相手を気遣って意志を伝えないのが美徳とされる場合もあります。ヨーロッパではレースのコース上で、本音でぶつかっている感じがして、意外とコミュニケーションをしやすいと思います。ヨーロッパのレースはガチンコ勝負ですが、危ないという感覚はありません。意思疎通が図れなかった時には大きな事故になる可能性はありますが、それは日本も一緒ですね。

──スーパーGTではタイヤコンペティションがありますが、GTWCやWECでタイヤワンメイクのシリーズを戦ってみて、どう感じますか?

中山:ある意味、レースはタイヤの性能が高くないほど面白いんですよ。だからワンメイクはそれなりの面白みがあって良いと思います。

 コンペティションタイヤとワンメイク、どちらが良いかというのもいろいろな側面があると思います。ハイグリップの方が操るのが上手な選手もいるでしょうし、ローグリップの方が上手な選手もいると思います。今季に与えて頂いたヨーロッパでのさまざまな挑戦の中で、新しい引き出しが持てたらいいなと願っていますし、意外と自分自身が知らなかった一面も出てくるのかもしれません。さまざまなレースに参戦するなかで、いち早く順応しなければならないと思っています。

* * * * * *

 中山のWEC出場は現状、スパでの代役参戦限りの予定。しかしながら、6月にはニュルブルクリンク24時間レース、そしてスパ24時間レースと、ビッグイベントへの参戦が待ち受けており、新たな舞台での活動に引き続き注目が集まりそうだ。

[オートスポーツweb 2025年05月26日]

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みんなのコメント

2件
  • nor********
    日本のレースは基本いつも同じ顔ぶれだからね。
    アメリカで通用しなかった服部が「アメリカのドライバーはどこで攻めてきてどこで引くのかわからなかった」即ち日本のレース内での日本人ドライバーの攻め方はわかってる、ってなこと言ってたしね。
  • やふーた
    日本のレースは奥ゆかしさを感じます。
    相手を気遣って意志を伝えないのが美徳とされる場合もあります。
    だから日本のモータースポーツはファンが増えない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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