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「5G」時代到来でどう変わる? 移動手段からつながるクルマへの将来像とは

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「5G」時代到来でどう変わる? 移動手段からつながるクルマへの将来像とは

 インターネットや携帯電話の進化とともに、私たちの生活はさまざまな意味で「つながる」ようになってきました。最近では、トヨタが「初代コネクティッドカー」として2018年6月に「クラウン」と「カローラ スポーツ」を発売しています。

 しかし「コネクティッドサービス」と聞いても内容は理解しづらく、どのようなメリット・デメリットがあるのかわかりません。「コネクティッドサービス」の普及によってこれからのクルマはどのような進化を遂げるのでしょうか。

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初代コネクティッドカーの「カローラ スポーツ」とスマホで繋がる「コネクティッドサービス」とは、クルマを通信端末のひとつとしてさまざまなサービスや情報を受けられるシステムです。最近のクルマには、DCM(専用通信機)が搭載され主に安心・安全、快適・便利なサービスが受けられます。

「コネクティッド=つながる」という意味の通り、スマートフォンや携帯電話のように、クルマもインターネット回線などに「つながる」ことでさまざまなサービスが提供されはじめています。

 具体的な例として、トヨタの展開する「コネクティッドサービス」(トヨタ公式サイトでは「コネクティッド」と呼ばれる)では、万が一の事故やトラブル時の緊急通報や緊急度合いによって救急車両やドクターヘリの派遣などが可能です。そのほかに盗難対策や被害時の追跡なども遠隔でおこなうことができます。

 また、オペレーターとのやり取りによって、駐車場や目的情報などの案内が受けられます。さらに、スマートフォンとの連動では、駐車位置の把握やドアロック、メンテナンス状況の確認できるほか、LINE上で目的地まで出発情報や燃料残量など、カーライフに関わるさまざまなサービスがつながるのです。

 こうした「コネクティッドサービス」が普及していくと良いことばかりの印象ですが、実際の既存のサービスに問題点はないのでしょうか。

 東京都内のトヨタ販売店スタッフは次のように話します。

――コネクティッドサービスのメリット・デメリットを教えてください。

 内蔵DCM(クルマ専用の通信機)を使って常につながり、お客さまのクルマの状況を把握できるのは販売する側としては良いことなのですが、お客さまによっては常に管理されている(監視されている)感覚を覚えている方もいらっしゃいます。

 また3年後からはDCMの通信料が発生してしまうのですが、つながっていることのメリットはメーカーおよびディーラー側の方が大きいので、お客さまの立場になって考えるとできれば永年無料にすべきと思います。

――ユーザーの評判はどうでしょうか。

 毎回、最新の地図情報が利用できるので評判はとても良いです。しかし、3年後から通信料が発生すること、通信料を払わないと現状のサービスが受けられなくなることを現時点であまり深刻に考えてない方が多いです。我々もトラブルにならないようしっかりと説明していきたいと思っています

――コネクティッドサービスの今後に期待することはありますか。

 現在では、DCMの通信ができない状態だと、道路や店舗情報などの地図データは出荷状態のままであり、通信をおこなうことで、初めて最新の情報がダウンロードされ最適な案内となります。

 しかし、ひとたびエンジンを切るとまた出荷状態に戻ってしまう点は改善してほしいと考えています。また、DCM料金の支払いを望まないお客さまには、3年目の車検直前に本体の地図更新を施してさしあげれば、とりあえずその時点の情報に上書きされますが、これではとても不便です。以前のTコネクトナビのようにWi-Fiでの地図更新のサービス追加をしてほしいと考えています。

※ ※ ※

 クルマがさまざまなサービスと繋がることで、より充実したカーライフが期待できます。しかし、ユーザーの「コネクティッドサービス」への理解が深まっていないのも事実です。各種サービスの拡大とともにクルマが「つながる」ことのユーザー認知も同時に訴求していかなければなりません。

カーライフは「5G」の登場でなにが変わる? 現在では、5G回線の普及を見据えて携帯会社の大手3キャリアと各自動車会社が協力した新たな「コネクティッドサービス」の開発を進めています。

 KDDIでは、5Gに向けて高速、大容量、低遅延という特性を活かし、クルマを遠隔で制御しながら自動運転をおこなうための実証実験などに取り組み、2019年2月には国内初の5Gなどを活用した複数台の遠隔監視型自動運転の実証実験がおこなわれています。

 また、ソフトバンクとホンダは、5Gコネクティッドカーのクローズドな検証環境を2018年12月に世界で初めて構築し、ノキア製の通信機器を利用して本格的な共同研究をはじめました。

 さらに、ソフトバンクとトヨタ自動車が新会社「MONET Technologies」を作り、利用者の需要に合わせて好きなときに配車ができる「オンデマンド交通サービス」や、企業向けシャトルサービスなどの展開を計画しています。

 ドコモでは、BMWグループと提携し、クルマへの「コンシューマeSIM」の搭載を予定。このサービスによってスマートフォンとクルマを連携し、持ち主自身のプロファイルをクルマに結び付けられるようになり、さまざまなスマートフォンのサービスをクルマだけで使えるようにする技術の実現に取り組んでいく予定とのことです。

 既存のコネクテッド分野にさまざまなサービスを提供しているKDDIは、次のように話します。

――コネクティッドの取り組みについて、教えてください。

 通信モジュールを車載することにより、クルマがセンターと通信でつながり、安心安全で便利なサービスを車載機器向けに提供できるようになり、運転速度、ブレーキ回数、ドライブレコーダーの画像など、クルマの情報が収集できるようになります。

――具体的にはどのようなサービスなのでしょうか。

 事故や車両トラブル発生時の緊急通報、オペレーター通話や、車両の盗難防止と盗難発生時の追跡などがあります。また、車載機器を介しクルマから収集するデータの活用としては、運転速度や急ブレーキ、急ハンドル等の運転情報を解析してドライバーの運転の安全性を評価し、保険料を算定するテレマティクス(電気通信と情報処理を合成した造語で、移動体の通信システムを利用するサービスの総称)保険も登場しています。

 さらにプロープ情報(走行する車両のセンサーから収集される交通情報)を正確に収集することで、地図上にクルマが通行した経路を表示し、通行できた道とできない道を可視化できます。

 これは、災害時における被災地域の把握をはじめ、的確な救助や避難に役立てることにつながります。またドライブレコーダーが注目されていますが、撮影した映像を、インターネットなどの通信回線を通じてセンターで収集解析し、ドライバーの支援などにつなげる実証もおこなわれています。

――今後の5Gについて

 高速、大容量、低遅延という5G通信の特性を活かし、将来的には広域狭域の通信の両方を活用し、自動運転やクルマとほかのクルマ、あるいは道路の周辺の人とモノとが通信をおこなうV2X(クルマでおこなわれる通信サービスの総称)が実現していくことで、ドライバーにも歩行者双方にとっても安心安全な社会が実現していくと予想できます。

 しかし、ユーザの大切なデータを扱うためのプライバシー保護が課題にもなっています。ハッキングといったセキュリティリスクに晒されるということもあるため、データの保護だけでなく強固なセキュリティの仕組みづくりが重要となります。

初代コネクティッドカーの「クラウン」 今後、DCM(専用通信機)などを搭載したクルマは増えていき、ユーザーにとってより身近なものになります。通信技術の進化は、「自動運転」の進化ともいえます。

 DCM(専用通信機)などは、DSRC(Dedicated Short Range Communication)という狭域の無線通信により、周囲の状況を読み取る通信が可能です。このようなシステムの進化によって、クルマ自体が安心・安全・快適な運転のための制御をおこなうことが可能になっていくのです。

 これからのクルマは、自動車メーカーだけでなく通信事業者や関連するサービスを展開するさまざまな団体などと、繋がることで、より安全で快適な「コネクティッドサービス」が実現していきます。

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