今にして思えば港に向かうナポリの大渋滞で天を仰いだあの時間は、その夜の、一生で一度の体験を盛り上げるためのプロローグだったのかも知れない。フェリーの出航予定時間になっても海沿いの幹線道路で身動きできずにいたのだ。乗っていたのは日本限定10台という貴重なオープンのフェラーリ(J50)。マラネッロ主催のドライブツアー「カヴァルケード」というイベントに参加していたのだった。
新旧約100台のフェラーリが参加。結局、半ば諦めモードでフェリー乗り場についてみれば、まだほかのメンバーもいたし船もあった。そりゃそうだ、全員渋滞に巻き込まれていたのだから。100台もの参加車両を貸し切りフェリーに載せ、向かった先はカプリ島。青の洞窟の島だ。
翌日。フェリーから降ろされた跳ね馬たちが港を占拠していた。夕方、タキシードに着替えた参加者たちが愛馬に乗り込む。そしてなんとカプリ島の、あの狭い道を100台で爆走した! 道路はもちろんイベント占有。白い建物に囲まれた細く曲がりくねった道をがんがん上っていく。まるでWRCラリーだ。
オーバーヒートさせたヤツもいたし、ぶつけてしまったヤツもいた。「F50」に「488ピスタ」がおかまをほったのだ。アクシデントを尻目に、みんないっこうに怯む気配はない。ときおり渋滞もするし沿道の声援にも応えるけれど、前が空けばみな全開。小1時間のドライブ(小さい島で1本道、折り返しの1センチすれ違いで大渋滞した)を、たっぷり楽しんだのち元の港に戻ってみれば、そこにはレッドカーペット。愛馬をスタッフに預けてガラディナーが始まった……。
というのがコトの顛末で、一生に1度の経験(フェラーリでカプリ島の道を全開で走るなんて2度とあるわけない)には違いなかったわけだけれど、ボクはその経験を終えて何かひと区切りついてしまった気がしたのだった。スーパーカーで走るようにはできていない道を、フェラーリで走る。絶世の美女にモンペを履かせて田植えをした、みたいな(ちょっと違うか)。
こうして究極の組み合わせを経験してしまうと、もうほかのおなじような出来事には心が動かなくなってしまったというか……。みんなで走るラリーイベントに、急に冷めてしまったのだ。それでも、そのあと既に予定していたイベントには出たし、なかには駆ったクルマに凄く感動したラリーもあったけれど、来年の予定はいまだ立っていない。今のところまったく出るつもりがない。リビエラで開催される次のカヴァルケードならいいかな、とは思うけれど、他に興味をひかれるイベントがこれといってなくなった。
うーん、これってとっても不幸なことではないだろうか?
文・西川淳
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
マイカー所有者1000人に聞いた「次に買い替えたいクルマ」ランキング、EVを選んだ人の割合は?
40年ぶり復活! ホンダ「和製スーパーカー」公開に反響殺到! 赤い「Hエンブレム」&全長4.2m「斬新ボディ」に「カッコイイ」「存在感スゴい」 V6×MTの「MRクーペ」米で展示
「すごい炎と煙…」中央道が火災で「上下線とも通行止」国道20号へ迂回呼びかけ 圏央道も八王子で事故渋滞!?
「北近畿豊岡道」23日延伸! 新しい“街の玄関”完成 「近畿屈指の温泉街」も近くなる!
トヨタ「“ランクル”ミニバン!?」に反響多数! ド迫力顔に“顔面刷新”の「ハイエース」! 走破性は皆無な「ゲツエース」が「スゴイ」と話題に
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?