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【黒木美珠のクルマTALK】Z世代のクルマ選び、新旧フォレスター比較試乗。先代ーSTI Sportから新型X-BREAKへ。走りも使い勝手も進化した「本命SUV」の魅力

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【黒木美珠のクルマTALK】Z世代のクルマ選び、新旧フォレスター比較試乗。先代ーSTI Sportから新型X-BREAKへ。走りも使い勝手も進化した「本命SUV」の魅力

愛車はSTI Sport。次の1台に選んだのはX-BREAK

 先代フォレスターSTI Sportに乗り始めて、気がつけば2年半が経過しました。1.8Lターボエンジンがもたらす力強い加速感と、STI専用セッティングによるしなやかな乗り味は、街乗りからロングドライブ、さらには雪道まであらゆる場面で頼れる存在でした。走りにこだわって選んだグレードでしたが、その選択に後悔は一度もありませんでした。

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 ただ、長く乗るなかで徐々に気になってきたのが、燃費の面です。走行距離はすでに6万8000kmを超え、最近ではガソリン価格の上昇も続いています。移動の自由を支えてくれるクルマであるものの、燃料代が家計に与える影響は決して小さくなく、日々の使い勝手を見つめ直すきっかけにもなっていました。
 そんな折に発表されたのが、新型フォレスターです。従来の1.8Lターボに加えて、ストロングハイブリッド(S:HEV)モデルが新たに設定され、より幅広い選択肢が用意されました。私はすでに、このS:HEVを先行搭載したクロストレックを試乗しており、モーターならではの滑らかさと力強さ、そして実用燃費の高さに感心していました。これなら、走りの質感を損なわずに燃費の悩みを解消できるかもしれない。そう思わせてくれるだけの説得力がありました。
 そして、今回選んだのはS:HEVを搭載したX-BREAKです。以前の私なら、同じターボエンジンのSPORTに心惹かれていたかもしれませんが、スキーやサーフィンといったアウトドアの趣味をより積極的に楽しみたいという気持ちが強くなってきたいま、タフさや実用性を重視したX-BREAKの仕様は、ライフスタイルにより寄り添ってくれる存在に思えました。走りの楽しさと生活のリアル、そのどちらも大切にしたいという思いから、自然とこのグレードにたどり着いたのです。

SPORTで感じた“走りの進化”と使い勝手の向上

 ちょっぴり前のゴールデンウィーク中に、新型フォレスターSPORTに試乗できる機会を得ました。このタイミングを逃すまいと、愛車の先代STI Sportとの比較試乗を行うことにしました。試乗車は、私のクルマと同じ1.8Lターボエンジン(CB18型)を搭載。走りの違いがどこにあるのか、確認するには絶好の条件でした。

 ハンドルを握って走り出してすぐ、アクセル操作に対する車両の応答性が以前よりも滑らかになっていることに気がつきました。とくに街中や交差点での微妙なアクセルワークに対しても、過敏にならず自然な挙動を見せてくれます。サスペンションの初期入力も柔らかくなっており、全体の動きがしなやかにまとめられている印象です。従来の「力強さ」はそのままに、角の取れた走り味へと進化していました。

 注目すべきは、燃費性能の改善です。新型は先代よりも車両重量が約80kg増しているにもかかわらず、カタログの燃費スペックはあまり変わりません。この結果からも、CVT制御の見直しや空力性能の最適化など、見えない部分における技術的な進化が確実に反映されていることがうかがえます。

 インテリアでまず目を引いたのは、センターに配置された11.6インチの縦型ディスプレイです。地図や各種情報の視認性が高まっただけでなく、操作系統も直感的に使いやすくなっており、ユーザーインターフェースとしての完成度が格段に向上しています。また、ダッシュボードが水平基調に設計されていることで、前方視界もよりすっきりとしており、運転中の安心感にもつながっていました。

 内装の質感も上がっています。ブロンズカラーのアクセントやシート表皮の仕立てなど、細部にわたってこだわりが感じられ、クラス全体の上質さが一段階引き上げられたように思います。
 個人的に見逃せないのが、SPORTグレードにはスペアタイヤが標準装備されている点です。S:HEVモデルではレイアウトの関係上スペアタイヤが省かれ、パンク修理キットでの対応となりますが、私自身、かつて雪山でタイヤを裂いてしまった経験があり、その際にスペアタイヤに助けられたことがあります。そうした経験があるからこそ、スペアタイヤの有無が安心感に直結すると実感します。

オフロードで見えたS:HEVの真価

 6月上旬、梅雨入りしたばかりの空模様のもと、あいにくの雨となった一般公道試乗会が開催されました。そのプログラムの一つとして、採石場跡地を利用したオフロードコースも用意されており、普段はなかなか体験できないような試乗が可能になっていました。

 あいにくの天気ではありましたが、むしろこうした過酷なコンディションだからこそ、フォレスターの本質的な性能を見極めるにはうってつけの機会だったといえます。今回の試乗では、先代モデル(マイルドハイブリッドモデル)と新型S:HEVを同じコースで乗り比べることができ、その違いをじっくりと体感することができました。
 岩肌が露出した不整地に加え、雨水が流れ込みぬかるんだ傾斜路など、SUVの走破性能が本格的に試される環境が整っており、先代モデルと新型フォレスターS:HEVの比較にはうってつけのシチュエーションでした。

 まずは先代モデルに乗り込みましたが、予想以上に高い走破性と安定感を発揮してくれました。とくにX-MODEの制御が優秀で、急な下り坂ではアクセルやブレーキに頼らずとも一定速度を維持してくれるため、操作に集中でき安心感があります。登坂でも駆動力をしっかりと路面に伝え、タイヤが空転することなく着実に進んでいきました。発売から年数が経っているとはいえ、十分に頼れる性能であることを再確認できました。
 しかし、新型S:HEVに乗り換えた途端、走りの質が一段階上がっていることが明確に伝わってきました。登坂ではアクセル操作に対する応答が非常に力強く、かつ余裕のある加速を見せてくれます。発進直後からモーターのトルクが効いており、滑らかさと力強さを兼ね備えた走りは、エンジンモデルとは一線を画すものでした。

 また、機能面での進化として注目したいのが、X-MODEの情報表示です。新型では縦型ディスプレイ上に前後の傾斜角や左右の傾きがリアルタイムで表示されるようになり、現在の車体姿勢をひと目で把握できます。これにより、荒れた路面を走行しているときでも不安が軽減され、より安心して操作に集中できました。
 オンロードでは洗練された走行フィールを提供しながら、オフロードではしっかりとタフさを発揮してくれる。新型フォレスターは、そんな二面性を高いレベルで両立していると感じました。STI SportからX-BREAKへと乗り換えるという決断に対しても、今回の試乗を通じて大きな手応えと確信を得ることができました。

 オンロードからオフロードまでさまざまな環境で比較試乗した結果、新型フォレスターの進化は確かなものだと実感しました。先代STI SportからX-BREAKへと乗り換えを決めた私にとっても、今回のモデルチェンジは走り、使い勝手、安全性のすべてにおいて、ユーザーの期待に応える完成度を備えていると感じています。


プロフィール
くろき みじゅ/1996年生まれのクルマ系 YouTuber、自動車ライター、自動車インフルエンサー。幼少期からクルマに親しみ、 Super GT観戦や祖母のホンダS2000でのドライブを楽しむ。洗車YouTubeチャン ネルを立ち上げ、車中泊95日連泊の日本一周旅やメーカー試乗会での新車紹介動 画を制作。クルマの能力だけでなく、作り手の想いも伝えるジャーナリストを目指す。

文:カー・アンド・ドライバー 黒木美珠
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