鈴鹿サーキットで12月11日から始まった2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権の公式テスト/ルーキーテスト。今回は、多くのドライバーが参加予定で話題となっているが、そのなかで“ひさしぶりに”日本のトップフォーミュラで走行機会を得たのが、VANTELIN TEAM TOM’Sの37号車をドライブするサッシャ・フェネストラズだ。
フェネストラズは2020年から3シーズンに渡ってスーパーフォーミュラに参戦し、2022年にはランキング2位を獲得した。その翌年からFIAフォーミュラE世界選手権に活躍の場を移していたが、2023/2024年シーズン10をもって急きょニッサン・フォーミュラEチームを離脱することになった。
SF公式/ルーキーテストに外国人ドライバー3名の参加決定。フェネストラズが22年以来のSFドライブへ
そんななか、スーパーフォーミュラのシーズンオフテストに参加が決定したフェネストラズ。来季については未定のようだが、テスト初日は国内トップフォーミュラの感覚を取り戻すに必死だったようだ。
改めて、2年ぶりに鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラマシンをドライブしたフェネストラズは「ものすごく長いブランクに感じたよ」と開口一番に語った。
「これだけのハイダウンフォースなクルマとグリップの高いタイヤに慣れるのに時間を要した。すべてがフォーミュラEカーとは違うから、ハイスピードコーナーに飛び込んでいく自信をもう一度築き上げていく必要があった」
フェネストラズは2年間フォーミュラEを経験した分、スーパーフォーミュラとの違いをより顕著に感じている様子。また、彼にとっては2023年から導入されたSF23と、再生可能原料を一部使用した横浜ゴムのタイヤを扱うのも初めてということで、イチから学び直す場面もあったという。
「いちばんの違いだと感じたのは、フォーミュラEカーは常に98~99%くらいで走るイメージで、100%でプッシュするとミスしてしまうから、そこに行かないように少し余力を持って走る。だけど、スーパーフォーミュラはその真逆で、特にニュータイヤを履いた時は110%……いや、120%くらい攻めていかないといけなくて、その感覚を習慣づけていかないといけないんだ」
「また、今は僕が以前(スーパーフォーミュラで)経験していたタイヤと少し異なっていて、当時はよりソフトでデグラデーションも少ない感じだったけど、今のタイヤはすごく違うと感じている。そこについても学んでいかないといけない。タイヤのウォームアップ中もミスがいくつかあった。テストは学ぶことが多い機会だから、坪井(翔)さんのやり方を学びながら、しっかりと活かしたい」
1日目は午前・午後ともにトップから2秒以上遅れた17番手タイムに終わったフェネストラズ。2日目のセッションでどこまで挽回してくるかに注目したい。
■「この事実を受け入れるのは簡単ではない」フォーミュラEシート喪失の瞬間を明かす
フェネストラズの2025年シーズンに向けた動向に注目が集まり出したのは2024年の9月。ニッサン・フォーミュラEチームがシーズン11ではオリバー・ローランドとノルマン・ナトを起用すると発表。これによりフェネストラズがチームから離脱することになった。
「連絡が来た時期と、その方法が自分としては残念な気持ちになった。僕のところに話が来たのがすごく遅く、本当にギリギリのタイミングで連絡が来て、そこから対応のしようがない状態だった」とフェネストラズ。他チームのシートを探そうにも“時すでに遅し”という状態だったという。
「チーム代表から正式に聞かされたのは9月の中旬、それもEメールのみの連絡だった。そのタイミングになると、他のドライバーたちは各陣営との契約書にサインを済ませている状態で、他を探すという選択肢を取ることができなかった」
「残念ではあるけど、振り返ると僕にとっては苦労したシーズンであったことは確かだ。でも、僕としては契約があと2年あったはずなのに、ここでキャンセルされたんだ。正直……この事実を受け入れることは簡単ではないね」と、今でも納得できない様子だった。
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