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公道へ舞い降りた「F2マシン」 F1も開発したエメリー親子 唯一のナンバー付きエメリソン(1)

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公道へ舞い降りた「F2マシン」 F1も開発したエメリー親子 唯一のナンバー付きエメリソン(1)

唯一のナンバー付きはF2マシンがベース

ロンドンの北西にある、ブラックリー。この小さな町をかすめる国道A43号線を流していると、積載車で運ばれるレーシングカーをしばしば目にする。シルバーストン・サーキットが近いためだ。

【画像】例がない公道での「没入体験」 唯一のナンバー付きエメリソン 同時期のクラシックたち 全125枚

スペアパーツや工具を積んだ、しっかりしたトレーラーに隠されていることもある。SUVのサービスカーが、同行している場合もある。忙しいサラリーマンにとっては、完全な他人事かもしれないが。

だが、今回のロードスターは正々堂々と公道へ出られる。低いフロントノーズには、JCM 700のナンバープレートが貼られている。1960年代初頭のF2マシンをベースにした、サーキットの外も走れる唯一のエメリソンだからだ。

このブランドを立ち上げたのは、レーシングドライバーのポール・エメリー氏。公道走行できるスポーツカーの開発には、意欲的だったという。彼のビジネス力が、エンジニアとしての才能と同等に高ければ、ロータスに並ぶ名門になっていたかもしれない。

1916年に生まれたポールは、幼い頃からモータースポーツが傍にあった。彼の父、ジョージ・エメリー氏は、グレートブリテン島南部のサリー州へ自動車の整備工場を構えていた。

戦前のブルックランズ・サーキットから、そのガレージは遠くなかった。乗用車の修理がメインだったが、レーシングカーのチューニングも請け負っていたという。

シャシーの研究を深めたエメリー親子

1930年代初頭にブルックランズのオーバルコースが整備されると、レーシングカーの速度域は上昇。潜在能力を引き出す鍵は、シャシーにあると親子は考えた。研究熱心だった2人は、2.3Lエンジンのブガッティ・タイプ35Bを購入し、その理解を深めていった。

ブルックランズのバンクカーブで、ポールはタイプ35Bを思うように操縦できなかった。リーフスプリングが硬い一方、旋回時の負荷でシャシーが変形し、サスペンションがまともに機能していないことが理由だと突き止めた。

そこでエメリー親子は、フロント側をキャンティレバー方式の半楕円リーフスプリングへ交換。安定性を大幅に高めることへ成功した。かくしてこのアイデアは、今はなきGNというメーカーのモデルをベースとした、複数のレーシングカーへ施されていった。

1936年には、1020ccエンジンを搭載した初の独自マシン、エメリソンを開発。ポールの運転でレースへ参戦し、3位入賞を果たしている。

第二次大戦を挟み、ポールはラダーフレームを設計する。サスペンションには、横向きにトーションバーを組んだスイングアーム式を採用。1087ccエンジンは、2基のスーパーチャージャーでパワーアップされていた。

ところが、マシン開発へ費用を投じすぎたあまり、レース参戦に必要な資金を工面できなかった。そこで託されたのが、レーシングドライバーのエリック・ウィンターボトム氏。彼は期待へ応え、1947年の初戦で勝利を収めてみせた。

単気筒エンジンの前輪駆動マシンも開発

当時の自動車雑誌、ザ・モーター誌は次のように報じている。「素晴らしいスタートを切りました。前後独立サスペンション、チューブラーフレーム、ツーステージ・スーパーチャージャーを備えたマシンで成功を収めたことには、驚かずにいられません」

「コンストラクターには時間がなく、ボディを完成できなかったのが残念です。ゼッケンを記載できず、スピードは測れていません」

1947年シーズンを、エメリソンは成功で締めくくった。その後、400馬力のドラージュ社製直列8気筒エンジンへ換装するなど、親子は研究を進めるが、資金繰りが常に足を引っ張った。

1950年には、より身軽な開発を求め、比較的低い予算で参戦できる500レースという規格へスイッチ。50psの1気筒エンジンという制約に合わせて、新マシンの準備が進められた。

非力な条件を補ったのが、前輪駆動化。エンジンを前方に載せ、ドライバーはその後方へ座り、シャシーバランスを改善。冷却性も高めることができた。

「一定の重さと馬力までは、前輪駆動はロードホールディング性やバランスでアドバンテージがあります」。1950年のシリーズ戦を優勝したポールは、メディアの取材に対し言葉を残している。

F1にも参戦 新体制でF2マシンを開発

資金繰りに悩まされながら、エメリソンは1950年代半ばからF1に参戦。フロントにコイルスプリングとウイッシュボーン、リアにドディオン・アクスルを採用した、スペースフレーム・シャシーが設計された。

エンジンは、当初アストン マーティンDB3からの流用だったが、開発が進展すると耐久性で勝るアルタ社製ユニットへ変更。1956年の英国グランプリでは、高順位で予選を通過している。だが、点火系の不調で本戦はリタイアに終わった。

1958年までマシンの改良は続けられたが、戦力は高まらず、ヒルクライムレースへ転向。レーシングカー・コンストラクターのコノート社と協力関係を築き、1960年代は同社のアラン・ブラウン氏がエメリソンのマネージメントを引き継いだ。

安定した体制下におかれたことで、ポールは技術開発へ専念できる環境を獲得。新しい、F2マシンの設計へ取り組んだ。

スペースフレーム・シャシーの後部へ載ったのは、コベントリー・クライマックス社製のFPF 1.5Lエンジン。1961年のシルバーストン・サーキットで開催されたコマンダー・ヨーク・トロフィーでは、マイク・スペンス氏のドライブで勝利を掴んでいる。

と、波乱万丈の歴史を持つエメリソンだが、JCM 700のナンバープレートを持つ1台は、その末裔。低く滑らかなボディは、シルバーストンの古いピットが良く似合う。

このクルマをオーダーしたのは、レイ・フィールディング氏。それまでのモータースポーツでの経験を知っていた彼は、ロードゴーイング・レーサーの製作をエメリソンへ依頼したのだろう。

この続きは、唯一のナンバー付きエメリソン(2)にて。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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