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【70年代のF1マシン】3度のF1チャンピオンが立ち上げたブラバム

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【70年代のF1マシン】3度のF1チャンピオンが立ち上げたブラバム

ゴードン・マーレイが作り上げたブラバム第二幕のマシンたち

前回紹介したマクラーレンと同様に、今回紹介するブラバムも、レーシングドライバーが興したF1チーム/コンストラクターで、のちに別の人物がチームを譲り受けて別組織のチームとなったことも共通している。 最初にブラバムを立ち上げたのはジャック・ブラバム。1959年、60年と2年連続で世界チャンピオンに輝くと翌61年に、盟友でレーシングカー・デザイナーのロン・トーラナックとともにMRD(モーター・レーシング・デベロップメント)社を設立。自らの愛機となるF1マシンを制作するとともにF2やF3マシンを生産販売するようになった。

【名門の夜明け】70年代後半のマクラーレンF1GPマシン

F1マシンのスタンダードとなったリヤサスをもつマシン

1968 Brabham BT24・Repco

これは70年代ではなく60年代のマシンだが、71年シーズンにデビューしたBT34まで、ロン・トーラナックが手掛けたBTシリーズは手堅い設計が大きな特徴となっていた。たとえばアッパーIアームとロワー逆Aアームに上下2本のラジアスロッドを組み合わせたリヤサスペンションは、「ブラバム式」と呼ばれて多くのF1マシンがこれに倣い、ある意味F1スタンダードとなっていた。

写真のクルマは1968年シーズンを戦ったBT24。ブラバムは66年シーズンと67年シーズンに2年連続してダブルタイトルに輝いていたが、67年シーズン中盤から主戦マシンとして活躍していた。

2連覇の大きな原動力となったレプコ・エンジン(オールズモビル用V8の軽合金ブロックをベースにレプコがブラバム専用に制作)は、毎年のようにアップデートを重ねたが、68年はハイパワーを得た代わりに信頼性が低下、3連覇はならなかった。2016年のフェスティバルofスピードで撮影。

奇才ゴードン・マーレイによる三角断面のモノコックが斬新だったBT44B

1975 Brabham BT44B・Ford Cosworth DFV

ジャック・ブラバムとともにチームを支えてきたロン・トーラナックもチームを去り、トーラナックのあとを受けて、トーラナックの最後の作品であるBT34の改造版であるBT37を手掛けたラルフ・ベラミーも移籍。

エクレストンが率いる新ブラバムの主任デザイナーに昇格したゴードン・マーレイが手掛けたF1マシンは、それまでのどのマシンとも異なった新たな世界を切り開くことになった。

もっとも目を引いたのはボディのシルエットが三角断面だったこと。より正確に言うならモノコックフレームのバスタブが、三角断面のツインチューブで構成されていたことだろう。

また左右二分割のラジエターを備えたスポーツカーノーズも含めて、ボディ全体でウェッジシェイプが強調されていたことも、大きな特徴の一つだった。

1973年シーズン用のBT42を手始めに、マーレイは数々のF1マシンを生み出すことになるが三角断面ボディとスポーツカーノーズは、そのすべてに共通していた。

白いボディにマルティ二・ストライプが映える#80号車は75年シーズン用のBT44Bで、マーレイにとってはBT42に続く2作目、正確にはそのアップデート版だが、当時は2人のカルロスがドライブしており、ロイテマンが#7号車、パーチェが#8号車だった。2013年12月、イタリア国立自動車博物館で開催された企画展で撮影。

アルファ・ロメオの12気筒を積み重量と燃費に悩んだBT45

1976 Brabham BT45・ALFA-Romeo Flat-12

フェラーリ以外は、ほぼ全車がフォード・コスワースDFVを装着していた1970年代のF1GPだったが、76年には新たなマルチシリンダーが登場した。それはブラバムのニューマシン、BT45に搭載されていたアルファ・ロメオのフラット12だった。

もちろんイタリアの名門をGPサーカスに呼び戻したのはチームのボス、バーニー・エクレストンの手腕によるものだったが、フェラーリよりも10馬力高い公称出力510馬力、別な資料では525馬力とも言われたボクサー12のティーポ115-12だったが、その過大な重量と燃料消費は見逃せないハンディとなった。

さらに3リッターのボクサー12自体はスポーツカーレースで熟成が進められていたが、アルファ・ロメオにとっては、71年にマーチにV8エンジンを供給していたとき以来となる5年ぶりF1GPだったし、69年からずっとDFVを使用してきたブラバムにとっても久々の12気筒。

もちろんマーレイにとっては初の12気筒、ということもあって設計・製作はもちろんだが、マシンが完成してからの熟成にも手間取ってしまう。結果的にこのシーズンは、優勝はおろか表彰台すら手に入れることができず、コンストラクターズカップでも前年の2位から9位に後退してしまった。翌77年にはBT45Bにアップデート。

エースだったカルロス・パーチェは序盤3戦に出走したのち飛行機事故で他界したことで、ドライバーがジョン・ワトソンとハンス-ヨアキム・シュトゥックに交替。優勝こそなかったものの、それぞれが表彰台を獲得し、ランキング5位にまで“復調”したが、やはりBT45/BT45Bは名車と呼ばれることなく現役を去ることになった。

ターンテーブルの上の#8号車はBT44Bの#80号車と同様、2013年12月、イタリア国立自動車博物館で開催された企画展で撮影。走行中の#8号車は76年に富士スピードウェイで開催されたF1世界選手権inジャパンでの一コマ(富士スピードウェイ・広報部提供)。

(文・写真:原田 了)

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