スーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿と併催されるWTCR(世界ツーリングカーカップ)第8戦。今回Audi Team Hitotsuyamaからワイルドカード参戦している富田竜一郎と宮田莉朋は、WTCRの印象などについて語った。
富田はスーパー耐久でAudi RS3 LMS TCRを走らせた経験があるが、鈴鹿サーキット東コースという未知の領域でのウエットセッションということもあり、適応には少し時間を要したとのこと。しかし、想像以上に感触が良かったと話した。
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「正直、最初はマシンのフィーリングが分からない部分もありました。ただ、大会が始まるまでは宮田選手と『僕たちふたりが最後尾かな』と話していたくらいなので、予想以上に良い感触で初日を終われたと思っています」
「フリー走行2回目には良い位置につけることができましたが、トップに近付いたがゆえに見える“世界との壁”のようなものも感じました。あと少しタイムが届かないのは、僕たちの経験値、チームのオペレーションなど様々なところに原因があるのかなと思います」
走行初日は好感触を得ていたふたりだったが、迎えた決勝では富田の言う“壁”にぶつかったのか、歯車が噛み合わなかった。5番手スタートの宮田はパドルシフトのトラブルにより完走できず、16番手スタートの富田はポジションを落とし20位に終わった。
鈴鹿サーキット東コースでのレース開催は、国内外でのレースカテゴリーにおいて非常に珍しいケースと言える。富田曰く、TCR車両は目線が低いため、ダンロップコーナーの途中から右に切り返すショートカットコーナーではアウト側が見えず、ライン取りに苦労したようだ。
宮田もそれに同調し、次のように語った。
「アウト側は見えませんが逆にイン側はよく見えるので、(イン側にある)タイヤバリアが邪魔で、ぶつかりたくて仕方なかったです(笑)」
「(ショートカットコーナーのライン取りは)ほとんど感覚ですね。うまくコーナーを曲がれているのか、(舵角が)余っているのか分かりませんでした」
そして何と言ってもWTCRは、接触を厭わない“肉弾戦”が魅力のひとつと言える。そういった競技の性格上、クリーンなレースを繰り広げる日本人には不向きなカテゴリーであるという声もあるが、宮田は「なめられたら終わり」だと語り、日本人でも物怖じせずにバトルする姿勢があることを示したいと息巻いた。
一方、「彼らはカジュアルにぶつけてくる」と独特の表現を用いた富田だが、他にもWTCRに参戦するドライバーたちの“すごさ”を体感したようだ。
「日本のカテゴリーでは最初の10分間は様子見をしながら走る風潮がありますが、彼らはピットリミッターを切ってコースに出たら全開なんです」と富田は語った。
「全く知らないコースでもとにかく飛び込んでいって、飛び出したら次の周で修正する、というイメージです。僕たちは“アンダー・ザ・リミット”でレースをしていますが、彼らは一旦“オーバー・ザ・リミット”でいって、そこから(限界ギリギリのラインに)戻ってくるんです。彼らの最適なラインを見つける速さ、習熟能力には驚かされました」
また宮田も、世界を代表するWTCRドライバーたちと“意外と戦えている”ことに自信を持っているようだが、富田同様彼らの習熟スピードの速さには感心したようだ。
「僕はマカオGPで海外レースを経験しましたが、WTCRドライバーに限らず向こう(海外)のドライバーは限られた時間で速い印象があります」
「だから彼らの速さに驚きはありませんが、日本にはあまりないやり方をしているなということは改めて実感しました」
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