公共交通の衰退と危機感
皆さんがお住まいの地域の交通は、この10年、20年でどう変化してきているだろうか。道路整備が進み、買い物や病院へのマイカーでのお出かけは着実に便利になり、移動時間も昔よりも短くなったのではないだろうか。
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一方で、路線バスや鉄軌道は、この20年間で大きな変化はなく、昭和の原風景がそのまま残っている地域も多い。パンデミックが明けてからは、減便や終バスの繰り上げが加速し、最寄り駅にいつもいたタクシーも今は消え、気づけば昔よりもかなり余裕を持って出かける準備をしないと安心してお出かけできない状況になっている。そして、日本全国でマイカーとの移動時間差、マイカーとの移動格差がさらに広がってはいないだろうか。
これは決して過疎地だけの話ではなく、また地方都市だけの話でもない。大都市近郊でも同様のことが起きており、世界屈指の人口が集積している東京でも生じていることは、国家の危機といえる。マイカーと公共交通の移動時間の差が拡大した結果、この30年間でバスやタクシーの利用者は半減した。わが国で、マイカーは便利、公共交通は不便という価値観が定着したことが、バス離れ、公共交通離れの根本の原因だろう。
運転士不足が招く崩壊
パンデミックのなかで公共交通の運転士の離職や転職が急増し、パンデミックを克服した後もさらなる路線バスの減便や撤退、タクシーの廃業が続いており、交通崩壊が止まる気配はない。
その要因のひとつに、筆者(牧村和彦、モビリティデザイナー)は日本独自の
「交通空白」
という考え方があると考えている。本来、地域の移動は交通サービスの程度が高いのか低いのかといった「程度」で測られるべきものであろう。残念ながら現場で運用されている交通空白地域はその多くが、
「空白かそうでないか」
「ゼロかいちか」
で色分け、峻別されてしまっているのが実情だ。
交通空白の基準が地域でまちまちである点も課題ではあるものの、行政としては、交通空白の存在自体が喫緊の政策課題となり、この交通空白をどのように埋めるかが、現政権の最優先課題だ。基準は行政の裁量で決めることができることから、行政によってはできるだけこの交通空白を小さく見せたいという思惑が生じる可能性もある。
一方で、交通事業者は交通空白地域を「新規参入の防波堤」と捉え、独自の防衛策が根付いてしまったと感じる。そして今、各地で生じているコミュニティバス撤退問題に象徴されるように、運転士不足によりこの防波堤は、徐々に全国で決壊しつつある。
移動格差拡大の現実
一般的には、駅やバス停留所からの物理的な距離によって交通空白地域が定められている。仮にオンデマンド交通の導入でこの空白が物理的に埋められたとしても、限定されたエリアや限定された時間帯での運行を余儀なくされた移動サービスの場合、そのサービスを程度で測れば、ゼロから低にほんの少し、上昇した程度にしか過ぎない場合も十分考えられる。
路線バス撤退後にオンデマンド交通が導入される地域も増えてきているものの、マイカーと公共交通の移動時間差が縮まるどころか、逆に移動格差が広がってしまったり、往復の移動コストが結果増加したりと、利害関係者との調整の結果、本来のオンデマンド交通のメリットを活かせない地域も多いと聞く。
近年議論されている交通空白地域の現状に関する審議会の資料などでは、駅から500m、バス停留所から300m離れた地域は、日本全体で人口当たり2割を超え、面積では5割を超えるそうだ。ただし、実際に鉄道やバスを利用している人の圏域はもっと狭いともいわれており、高齢者や子供、坂の有無や歩行環境の状況により異なり、一律に指定している実態は現状と乖離しているといわざるを得ない。
また、2024年4月の国交省通達「地域公共交通会議に関する国土交通省としての考え方について」では、恒常的に30分以内でタクシーが配車されない地域は交通空白地に該当することが条件として加えられ、地域の実情によっては短く設定することも可能となった。鉄軌道やバスに加えてタクシーも考慮することができることになったことで利害調整が従来よりも改善されることが期待される。一方でこれにより地方と同様に減便や廃止が生じている大都市では交通空白は実質存在しえないことになったともいえるのではないだろうか。
移動格差解消の先にあるもの
では、物理的な交通空白が解消され、ゼロになったその先に、どのような国土が形成されているだろうか。
交通空白ゼロが宣言されたとき、地域全体の交通サービスがどの程度改善したのか、マイカーと比べて移動の格差が縮まったのか、マイカーに加えてもうひとつの選択肢として新たな移動サービスが住民に定着し、安心してお出かけできる生活インフラが整ったのか、そして何より、住民に寄り添ったサービスが実現したであろうか。今後、マスコミ含めた第三者がしっかりモニタリングし注視していくことが肝要だ。
交通空白地域の解消はあくまで手段のひとつであり、空白を埋めることが目的にならないように、国民が自分事として関心を持ち続けることも大切だ。
まずは、ハザードマップと同様に、皆さんがお住まいの地域が交通空白に位置づけられているのかどうか、主要な施設まで公共交通で移動するとどれだけの時間がかかり、いくらかかるのか、マイカーで移動した場合とどの程度の移動格差が生じているのか、確認されることをお勧めしたい。
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みんなのコメント
政府はライドシェアを代替案と考えているようだが、いずれにしても慈善事業じゃない。
儲かってたら儲からないところも多少我慢しようかということになる。儲からなかったら儲からないところまでやる余裕はないです。
今から再度規制を厳しくしてバス会社が儲けられるようにするか、規制を緩く競争を厳しくして皆んなが儲かることしかしないようになる政策を続けるか。
赤字の仕事は競争が激しく利益を出すことが大変な民間事業者には無理です。何でもかんでも自由化して競争させて儲かる分野ばかり開発するのは結構ですが、その結果の不利益にも目を向ける必要があります。
どこかが便利になるならどこかは不便になります。そういうものです。