映画『国宝』やドラマ『ひらやすみ』などの話題作で、存在感を増している俳優・森七菜。長久允監督の映画『炎上』ではトー横キッズの少女役に挑戦している。そのリアルな演技ができるまでを尋ねた。
「じゅじゅはやっぱり辛かったんだ」
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どんな人物も実在する人のように感じさせる俳優・森七菜。映画『炎上』では、歌舞伎町に流れつく少女・じゅじゅこと樹理恵を演じた。
「じゅじゅは家庭環境も深刻ですし、吃音もある。でも、悲劇のヒロインにしないで、ヘラヘラと笑っていられる感じを出したいと長久允監督がおっしゃっていたので、その強さみたいなものを意識していました」
「歌舞伎町に住む」という感覚を得るために、撮影中は新宿のホテルに滞在。歌舞伎町の地べたに寝転がるようなロケも決行した。
「ネズミがお腹の上を走ったりしたらどうしよう、と内心ドキドキしていました(笑)」
「演じよう」とすると作り物になってしまうので、森は、歩き方や聴く音楽など、リアルに感じられる小さなことを半分意識して、半分無意識に集めて役に臨むという。服装も役によって変わってしまうらしい。
「じゅじゅをやっている頃は、淡い紫の服やふわふわのバッグを持ち歩いていました。普段は古着が好きなのですが、撮影中は全然着なかったんです。でも、撮影が終わると好みじゃなくなるので、クローゼットが着ない服で大変なことに(笑)。もっと物を大事にしなさいと、家族にも怒られています」
自分の出演作はなかなか客観的に観られないが、1月にサンダンス映画祭で本作を観た際は、思わず泣いてしまったのだそうだ。
「自分の演技に感動していると思われたくなくて涙は隠しました(笑)。撮影中は気づかなかったけれど、じゅじゅはやっぱり辛かったんだなと改めて思いました」
役の本当の気持ちにようやく気づくほど同化していたということだ。歌舞伎町には、居場所を求めて少年少女が集まってくる。森にとっての居場所を尋ねると、故郷の大分だと満面の笑みで答えてくれた。
「なんでも美味しいし、温泉もある。何もない、を楽しめる場所です」
『炎上』厳しい親の元で育てられた小林樹理恵(森七菜)。ある日樹理恵は家を飛び出し、SNSを頼りに新宿・歌舞伎町へたどり着く。彼女にとって唯一安心できる場所となったはずだったが……。監督・脚本は長久允。アオイヤマダ、曽田陵介、一ノ瀬ワタルらが出演する。4月10日全国公開。
森七菜/NANA MORI2001年大阪府生まれ、大分県出身。19年に映画『天気の子』のヒロインに抜擢され注目を浴びる。主な出演作に映画『ラストレター』『国宝』『フロントライン』『秒速5センチメートル』、ドラマ『ひらやすみ』など。
写真・石田真澄
スタイリング・高橋茉優
ヘアメイク・ボヨン
文・黒瀬朋子
編集・遠藤加奈(GQ)
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