ピレリは先日、フェラーリとフィオラノ・サーキットでタイヤテストを実施。次世代車両のダウンフォースをできるだけ再現したミュールカーでウエットタイヤの開発に注力したようだ。
ピレリがF1に供給する雨用のタイヤのうち、サイドウォールにブルーのマーキングが入った”ウエットタイヤ”(エクストリームウエットとも呼ばれる)は、時速300kmでタイヤ1本あたり毎秒85リットルの排水能力を持っているとされる。同30リットルとされるインターミディエイト(浅溝)タイヤの3倍近い排水能力を持っていることになる。
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しかし問題なのは、その性能がレースでめったに活かされないことにある。それだけの量の水飛沫が巻き上げられることで視界が悪化し、通常はレース続行不可能と判断されて赤旗が掲示される。
もっとも直近の例は、昨年のサンパウロGPだ。ドライバーたちはピットインしてウエットタイヤに履き替えるのではなく、インターミディエイトタイヤでなんとかコースに留まり、レース中断を待ったのだ。これにより、最適な判断でウエットタイヤを履き、他車より速いペースを示していた角田裕毅やリアム・ローソン(当時VCARB)は割りを食う形となった。
今季、ウエットタイヤはまだ1度しか使われておらず、マイアミGPのスプリントでカルロス・サインツJr.(ウイリアムズ)が短時間使用したのみだ。
ピレリが次世代タイヤの開発で注力している点のひとつは、ウエットタイヤの性能をインターミディエイトタイヤに近づけることだ。視界以外にも、今のウエットタイヤは赤旗中断を招くような条件以外ではすぐにオーバーヒートし、急速に劣化してしまうという問題を抱えているからだ。
「現在、我々はかなり良い状況にあると考えている」
ピレリのモータースポーツマネージャー、マリオ・イゾラはそう述べた。
「(2026年向けの)インターミディエイトタイヤは、おおよそ(仕様が)確定した。我々は新しいエクストリームウエットの新しいソリューションを検証する必要がある」
「特に、現在とは異なる位置にウエットとインターミディエイトのクロスオーバー(ラップタイムが逆転する境界点)を置こうとしている。エクストリームウエットタイヤをより使いやすくするためだ。セーフティカーの後ろでだけ履くのではなく、適切なレース用タイヤとして機能するようにね」
「エクストリームウェットの課題は視認性であることは承知している。この課題を解決できるわけではないものの、インターミディエイトとウエットのコンパウンドはどちらも問題ない」
2026年向けのウエットとインターミディエイトのコンパウンドの検証が、フィオラノテストの主な焦点だったようだ。シャルル・ルクレールとリザーブドライバーの周冠宇がミュールカーのステアリングを握ったと見られる。
変化するコンディションの中で、ラップタイムはタイヤを交換するひとつの目安となる。スリックタイヤでのラップタイムを基準として112%、つまり12%遅くなったところがインターミディエイトタイヤを履くクロスオーバーポイントとされている。そして従来世代のウエットタイヤは、120%以上がインターミディエイトよりも適している領域だと見做されている。
なお今季、ピレリは新しい仕様のウエットタイヤを導入しており、熱に敏感ではないコンパウンドを採用し、横方向の荷重がかかった際のヨレを軽減するような新しいトレッドパターンが採用されている。
この新タイヤのクロスオーバーポイントは118%。つまり2%ほどインターミディエイト側に寄った性能となった。ピレリの目標は116%だったが、十分なテストが実施できなかったことから目標を達成できなかったという。
そのためピレリは、2026年に向けてこの目標に再び挑戦しているようだ。
「現在、インターミディエイトタイヤとウエットタイヤのクロスオーバーはドライコンディションのラップタイム比で118%だ」
「我々はこれを116%または115%まで下げたいと考えているんだ」
2026年のレギュレーション変更で、タイヤサイズの変更も控えている中で、F1の足元を支えるピレリは難しい挑戦に挑んでいる。
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みんなのコメント
必然的に履く機会が無くなる。
レーススタート時に強制される場面くらい。
みんなすぐピットインしてインターに替えてしまうけどね。