現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「超電導」を在来線に! 次世代の電力供給システム「使える」1年の実証で 実現すればどう変わる?

ここから本文です

「超電導」を在来線に! 次世代の電力供給システム「使える」1年の実証で 実現すればどう変わる?

掲載 9
「超電導」を在来線に! 次世代の電力供給システム「使える」1年の実証で 実現すればどう変わる?

今後はケーブルの長尺化などが課題に

 鉄道総合技術研究所、伊豆箱根鉄道、JR東日本は2025年10月9日、鉄道営業線に設置していた「超電導き電システム」の実証実験結果を発表しました。

【スゴイ!】これが「超電導き電システム」です(画像)

 「超電導き電システム」とは、電車の走行に必要な電力をき電線などに供給する際、一定温度以下で電気抵抗がゼロとなる“超電導現象”を利用し、超電導ケーブルによる送電を行う仕組みです。

 このシステムを導入することで、送電損失や電圧降下など、送電時に生じる電気抵抗に起因する課題を解決し、損失のない送電による省エネルギー化や、変電所の集約・削減による設備の効率化が期待されています。

 伊豆箱根鉄道では駿豆線・大仁駅構内において、2024年3月13日から同システムを稼働させ、現在も営業列車に電力を供給しています。これまでの1年以上、約4万本の営業列車への電力供給は安定しており、稼働状況は良好とのことです。

 季節を問わず、ケーブル部内部の冷却は安定して維持され、超電導状態を良好に保持。いずれの期間でも電流の変化は安定しており、始発から終電までの営業列車の負荷に応じた送電が確認されたほか、1年間にわたる耐久性も確認されました。

 一方、JR中央線では鉄道総研日野土木実験所(線路に隣接)に同システムが設置され、2025年3月から4月にかけて日野駅から八王子方面へ向かう下り列車への電力供給を実施。始発から終電までの営業列車に対し安定した電力供給が行われました。

 電流値やその向きが頻繁に変動する中でも、超電導ケーブル両端での電圧差はほとんど生じず、システムは安定して稼働したとのこと。これにより、「超電導き電システム」は都市圏のような列車密度の高い線区においても、十分な電力供給が可能であることが実証されたとしています。

 今後は、変電所の集約化や設備管理の省力化を実現するため、長距離送電に対応したケーブル接続技術の開発を進めるとしています。さらに、超電導材料そのものの改良や冷却性能の向上、設置後の保守管理手法の確立、経済性の改善などに取り組み、社会実装に向けた研究開発を推進していくとしています。

文:乗りものニュース 乗りものニュース編集部

関連タグ

【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

「成田空港の新ターミナル」に”スゴい乗りもの”出現か? その特徴は 「新しい成田空港」構想でヒアリングを受ける
「成田空港の新ターミナル」に”スゴい乗りもの”出現か? その特徴は 「新しい成田空港」構想でヒアリングを受ける
乗りものニュース
日立建機、バッテリー駆動式ショベルと移動式給電車の実証試験…充電インフラ未整備の現場でも安定稼働
日立建機、バッテリー駆動式ショベルと移動式給電車の実証試験…充電インフラ未整備の現場でも安定稼働
レスポンス
アイシン、グリーン水素燃料電池の実証事業に参画…ペロブスカイト太陽電池を活用
アイシン、グリーン水素燃料電池の実証事業に参画…ペロブスカイト太陽電池を活用
レスポンス
東急「わずか800mの新線」着工に向け始動! 羽田空港アクセス改善なるか 東横線と直通運転も
東急「わずか800mの新線」着工に向け始動! 羽田空港アクセス改善なるか 東横線と直通運転も
乗りものニュース
「日本の鉄道=優れているけど“ガラパゴス”」がここにも? “標準化”の壁 AI活用の“初手でつまづく”恐れ
「日本の鉄道=優れているけど“ガラパゴス”」がここにも? “標準化”の壁 AI活用の“初手でつまづく”恐れ
乗りものニュース
SA・PAの「厳禁行為」が一部公認!? 「物流にいい」「CO2も減る」 実証継続へ
SA・PAの「厳禁行為」が一部公認!? 「物流にいい」「CO2も減る」 実証継続へ
乗りものニュース
日産、国内初のカルコパイライト太陽電池を販売店に導入…神奈川県で実証実験
日産、国内初のカルコパイライト太陽電池を販売店に導入…神奈川県で実証実験
レスポンス
いすゞ、商用EV向けエネルギー管理サービス「SmartEVer」開始…電力ピークシフトで電気料金抑制
いすゞ、商用EV向けエネルギー管理サービス「SmartEVer」開始…電力ピークシフトで電気料金抑制
レスポンス
三菱自動車ら5社が日本初、家庭向けV2G&V2H実証開始!再エネ×電動車の可能性は?【自動車ニュースを読む】
三菱自動車ら5社が日本初、家庭向けV2G&V2H実証開始!再エネ×電動車の可能性は?【自動車ニュースを読む】
AUTOCAR JAPAN
ロータスのハイパーEV『エメヤ』、443kWピーク充電で世界最速級の充電性能実証…電池の8割の充電を13分で
ロータスのハイパーEV『エメヤ』、443kWピーク充電で世界最速級の充電性能実証…電池の8割の充電を13分で
レスポンス
最大3.84MWのメガワット充電対応HILテストシステム、ベクターが発表…商用車の電動化に
最大3.84MWのメガワット充電対応HILテストシステム、ベクターが発表…商用車の電動化に
レスポンス
電気料金を抑えて「エルフEV」の運用を最適化! いすゞが商用BEV向けエネルギーマネジメントサービスの提供を開始
電気料金を抑えて「エルフEV」の運用を最適化! いすゞが商用BEV向けエネルギーマネジメントサービスの提供を開始
ベストカーWeb
メルセデスベンツの燃料電池トラック、第2次実証実験に5社が参加…量産化に向け前進
メルセデスベンツの燃料電池トラック、第2次実証実験に5社が参加…量産化に向け前進
レスポンス
リニアはどれくらい「速く」「安く」乗れるのか? 開業による“副産物”とは?
リニアはどれくらい「速く」「安く」乗れるのか? 開業による“副産物”とは?
乗りものニュース
自動運転EV鉱山トラック「9M145E」発表、手動運転を上回る運用効率を実現…中国Breton
自動運転EV鉱山トラック「9M145E」発表、手動運転を上回る運用効率を実現…中国Breton
レスポンス
トヨタ『bZ4X』改良新型、ダイキョーニシカワ製バスバー採用…EVの高出力化に貢献
トヨタ『bZ4X』改良新型、ダイキョーニシカワ製バスバー採用…EVの高出力化に貢献
レスポンス
大阪・関西万博の「未来チャリ」ついに公道OKへ! バッテリー無しでアシスト走行 その仕組みは?
大阪・関西万博の「未来チャリ」ついに公道OKへ! バッテリー無しでアシスト走行 その仕組みは?
乗りものニュース
「在来線があまりに遠い新幹線駅」ついに着工へ 主要駅は“はるか彼方!?” 接続バスどうすべき? リニア山梨県駅を歩く
「在来線があまりに遠い新幹線駅」ついに着工へ 主要駅は“はるか彼方!?” 接続バスどうすべき? リニア山梨県駅を歩く
乗りものニュース

みんなのコメント

9件
  • gnz********
    冷却システムが故障した場合にどうなるのか気になる。
    その場合、定格の数割でも電力を供給できるとマシなのですが。
  • mas********
    冷却故障とかケーブル損傷とかして電気抵抗が急激に増えると一瞬で燃えまくって危険だよな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村