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インディカー第4戦詳報:タイヤ選択が勝敗を決しローゼンクヴィストが逆転勝利。琢磨は粘り強く連続入賞

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インディカー第4戦詳報:タイヤ選択が勝敗を決しローゼンクヴィストが逆転勝利。琢磨は粘り強く連続入賞

 ロードアメリカを舞台にダブルヘッダーで開催されたインディカー・シリーズ。12日に行われた第4戦は、フェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ)がラスト2周でトップに浮上し、念願のインディカー初優勝を達成した。

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は着実に順位をアップし8位でレースを終えている。

【順位結果】インディカー第4戦ロードアメリカ/ローゼンクヴィストが逆転で初優勝

 前日の第3戦は、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)による、まさかの開幕3連勝。今日は同じチップ・ガナッシ・レーシングで走るフェリックス・ローセンクヴィストの大逆転優勝が見られた。

 ポールポジションからほぼ完璧なレースを戦っていたパトリシオ・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)は、最後のピットで選んだレッドタイヤというチョイスが結果的に失敗となり、長きに渡って保ち続けたレースリーダーの座をゴール前2周で手放し、無念の2位フィニッシュとなった。

 これで開幕4戦4勝となったチップ・ガナッシ・レーシングだが、今週末はピットでのミスが頻発していた。

 予選7番手だったローゼンクヴィストは、2回目のピットストップを行う29周目までにポールスタートだったオーワードとの差を削っていたが、左フロントのタイヤ交換が終わらないうちにジャッキ担当がマシンを落としてしまい、持ち上げ直しての作業になって4秒以上をロスした。コース上で削りとった差をすべて吐き出した形で、オーワードとの差は8秒近くにまで広がった。

 フルシーズン出場は今年が初めてのオーワードだが、落ち着き払った戦いぶりで初勝利にどんどん近づいていた。

 最後のピットストップでも彼はまったく慌てることなく、定められた位置にキッチリとマシンを止めた。しかし、14周を残した戦いに向けて彼らが選んだのはレッドタイヤで、このチョイスが勝敗を決した。

 
 ローゼンクヴィストは1周遅れてピットイン。差を4秒台まで縮めていたが、インラップでミスを冒したのか5秒以上にまた差が戻ってしまった。これで勝負ありと見えた。

 ところが、ファイナルスティントでもブラックタイヤを履いたローゼンクヴィストが鬼神の追い上げをスタートさせる。
 
 オーワードもプッシュ・トゥ・パスを使って逃げ切り態勢に入ったが、49周を終えた時、ふたりの差はついに4秒を切り、そこからは目に見えて差が小さくなっていった。

 50周目で3.2秒差。そして54周目、ついにローゼンクヴィストはオーワードの背後に迫った。その追いつきぶりには驚くべきものであり、ターン3先のストレートでローゼンクヴィストはオーワードのドラフティングに入った。

 そのまま一気にターン5でアウトから仕掛ける……と見せかけてラインをクロスさせたローゼンクヴィストは、ターン6への上りでオーワードのインを突いた。

 ふたりはマシンをコンタクトさせながらサイド・バイ・サイドでブレーキング競争を始め、コーナー立ち上がりでも接触し、ターン6出口でランブル・ストリップに乗ったオーワードは一瞬バランスを崩す。


 昨日のレースで、彼は同じ場所でコナー・デイリー(エド・カーペンター・レーシング)を弾き飛ばしてるが、それとほとんど同じ状況が作りだされた。

 しかし、ローゼンクヴィストが犠牲者になることはなかった。彼の加速が良く、次のコーナーへ先に進入。続くカルーセルでオーワードのリヤがスライドし、勝負は決着した。55周のうちの43周をリードをしたオーワードだったが、ゴールを目前にしてタイヤのグリップが限界を迎えたのだった。

「勝てそうなところまで何度もいっていたので、やっと勝つことができ、とてもうれしい」とローゼンクヴィストは笑顔を見せた。

「開幕3戦は運がなかったが、今日はすべてがうまくいった。マシンが良かったから、全力を出し切って勝ちにいった。昨日だって僕らは速かった。しかし、集団の中で自分たちの力を発揮できなかった」

「そこで今日は周囲にマシンがいない状態で走る作戦を心がけた。クリーンエアを浴びての走りで、自分たちは素晴らしいペースを保ち続けることができていた。これでチームとしては4戦4勝なのだから最高だ」とコメント。

 残り2周でトップを明け渡したオーワードは、2.8秒後方で2位フィニッシュ。インディライツ・チャンピオンとなった2018年の最終戦でインディカー・デビュー。

 昨年はハーディング・スタインブレナーー・レーシングからフルシーズン出場するはずだったが、チームの事情で開幕直前にシートを失い、カーリンなどからスポット参戦。

 今シーズンに向けてアロウ・マクラーレンSPからフルシーズンを戦うチャンスを与えられると、開幕3戦目にして初ポールポジション獲得を果たし、レースでも優勝目前までいって初表彰台を実現した。

 今回は最後のタイヤチョイスが敗因となった。チームとドライバーが相談した選択が正解ではなかった。

 それでも、アロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツにマクラーレンが加わった新体制は、テストもほとんどしていない状況下で若手ドライバーふたり起用ながら、開幕からコンスタントに上位を走っている。ドライバーとしての完成度が高いオーワード、チームともども今後が非常に楽しみな存在だ。

「全力を投入して戦っていた。本当に持っていた全部を出し切った。プッシュしてプッシュして……。しかし、フェリックスを背後に封じ込めることはできなかった」

「チームとシボレーに感謝する。マシンは本当に素晴らしかった。最後に少しだけリヤタイヤを摩耗させ過ぎてしまった。今日は大量ポイントを稼げた。それで良しとしたい。来週のアイオワが楽しみになった。上位で走れるのは楽しいし、自分たちにはそれが可能であると開幕からのレースで見せて来れている」とオワード。

 3位はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)。昨年のロードアメリカでは圧勝を飾ったが、昨日のレースは散々だった。しかし、レース2ではまずまずのパフォーマンスを見せ、シーズン初の表彰台に上った。


 そして、マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が、16番手スタートから4位でフィニッシュ。3戦連続トッ10入りともなった。

 5位はコルトン・ハータ(アンドレッティ・ハーディング・スタインブレナー・オートスポート)。2番手スタートだったので3ポジションダウンでのゴールだったが、開幕戦テキサスが7位、インディアナポリスのロードコースが4位だった彼は、ロードアメリカでの2レース両方で5位フィニッシュと抜群の安定感を見せている。

 ディクソンは最終ピットでエンジンストール。これまた今週のガナッシのピットでのミスだ。彼は3連勝の後、12位という目立たない結果を第4戦では得ることとなった。それでももランキング2番手に浮上したハータとの間に54点という大きな差を持ってポイントリーダーの座を守っている。

 スタート直後の接触でペナルティを科せられながら、サンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・バッサー・サリバン)が6位フィニッシュ。昨日のヒーロー、アレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チームゴウ)は7位でゴールした。トップ7が若手と呼ばれるドライバーたちだった。


 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は8位フィニッシュ。12番手からスタートし、3戦連続のトップ10入りを果たした。

 終盤のバトルでジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)を下したのは大きかった。最年長に見えないが、最年長の琢磨がしぶとい戦いを2レース続けて見せた。

「今日はプラクティスがなかったけれど、予選に向けて昨日からマシンを大きく変えました。それでバランスが良くなり、スタート位置も上あがりました。レースでもいいペースで走れていて、最後にレッドタイヤを選んだのは正解ではなかったものの、なんとか8位を保ってゴールできました。ニューガーデンとはとてもフェアなバトルを行い、パスできました」と話す琢磨の表情は明るかった。

 もっと上位で戦いたかっただろうが、予選でのアクシデントで出場できなかった開幕戦の後、3レース続けて粘り強い走りを見せてトップ10入り。このままさらに良い流れへと持ち込みたいところだ。

 予選4位だったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、スタート直後にウィル・パワー(チーム・ペンスキー)に追突されてクラッシュし、リタイア。

 その直後にパワーはグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)にもぶつかった。不運にもレイホールはコースに戻ったところでローゼンクヴィストと接触し、クラッシュを喫した。優勝候補のベテランふたりは、1周もしないで姿を消し、パワーは11位でゴールした。

 3週連続開催のインディカー・シリーズ。次戦はアイオワ・スピードウェイを舞台に同じくダブルヘッダーで開催される。

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  • ウィル・パワー被害者の会のコメントが聞きたいところだなw
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