2020年8月7日、三菱自動車は取締役会長 代表執行役の益子修氏の退任を発表した。2005年の取締役社長に就任してから15年にわたり経営を主導してきた益子氏が退任したことで、アライアンスを組む日産とともにひとつの曲がり角にやってきたと言えるだろう三菱。
三菱といえば、近年こそSUVメーカーとしてのイメージが強いが、初期は初代コルトや初代ランサーなど「堅牢さ」がウリのクルマが多かった。ついで1980年代以降はターボエンジンと4WDを搭載したモデルが増えていく。
国産メーカー最長!!! ミゼットからシャレード タント… ダイハツ113年の歴史の殿堂車たち20選
WRCでは居並ぶWRカーたちをグループAのままで席巻したランエボV~VI、パリ・ダカの覇者であるパジェロなど、その存在感は鮮烈。また量産車ではターボや4WD、GDIなどフルラインナップ化を積極的に推し進めたことや、ミニバンにまで高いオフロード性能を持たせたのも三菱のひとつの個性と呼べるだろう。
最近はパジェロ生産終了など寂しい話題が多い三菱ではあるが、その歴史を見渡し“これぞ三菱”と呼ぶべき20台を選んだら、その結果はいかなものとなるのか?
まずは総合ランキングの1位~10位を、ついで、総合ランキングの元となった、松田秀士・片岡英明・国沢光宏・岡本幸一郎4人の評論家による総評と個別ランキングとを見ていこう。総合11位~20位については、その車名を含め画像ギャラリーを御覧いただきたい。
【画像ギャラリー】いまは“SUVメーカー”の“色”が強いが…!!? 三菱の殿堂入り20傑をギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年7月のものです。4氏の選んだ10車をF1ポイント方式(1位25点、2位18点、3位15点、4位12点、5位10点、6位8点、7位6点、8位4点、9位2点、10位1点)で採点。同点、同順位車が出た場合は、編集部がそのなかでの順位を決定した。
選出・文:松田秀士、片岡英明、国沢光宏、岡本幸一郎、ベストカー編集部/写真:TOYOTA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年8月26日号
■1位 ランサーエボリューションVI(1999年)
●WRC最強を誇ったグループAマシン!
1位 ランサーエボリューションVI(1999年)
三菱が最もWRCで活躍し、1996~1999年までトミー・マキネンがドライバーズ4連覇を達成した際の第2世代ランエボだ。なかでも1998年から導入されたWRカー規定に移行したWRカー勢のライバルマシンが居並ぶなか、最後までグループAで奮闘したエボV、その座を継いだエボVIが頂点に。市販車も殿堂入りナンバーワンにふさわしい!
■2位 2代目パジェロ(1991年)
2位 2代目パジェロ(1991年)
初代登場から9年ぶりにフルモデルチェンジされた2代目はショートボディとロングボディを用意。初代よりも圧倒的に洗練され、一時は月間販売台数1位まで記録。
■3位 初代ギャランVR-4(1987年)
3位 初代ギャランVR-4(1987年)
6代目ギャランにトップグレードとして直4、2Lターボの4G63を積んだVR-4を設定。デビュー時は205psだったが、のちに220ps、240psまで進化。
■4位 GTO(1990年)
4位 GTO(1990年)
初代ディアマンテ用のシャシーを流用した4WDターボの2ドアクーペ。V6、3Lツインターボは280ps/42.5kgmを発揮し、ゲトラグ製MTを採用していた。
■5位 コルトギャランGTO(1970年)
5位 コルトギャランGTO(1970年)
初代コルトギャランのコンポーネンツを流用して誕生した2ドアHTクーペ。トランクリッド後端が跳ね上がったダックテールスタイルは日本車初だった。
■6位 初代ランサーエボリューションI(1992年)
6位 初代ランサーエボリューションI(1992年)
初代ギャランVR-4に搭載していた4G63ターボ(250ps/31.5kgm)をひと回り小さい4代目ランサーGSRをベースにした記念すべき初代のランエボ。
■7位 初代パジェロ(1982年)
7位 初代パジェロ(1982年)
ラダーフレームなどをボンネットトラックのフォルテ用をベースにし、誕生した本格的なクロカン4WD。RVブームの影響でモデル末期も好調に売れ続けた。
■8位 アウトランダーPHEV(2012年)
8位 アウトランダーPHEV(2012年)
現行型の2代目アウトランダーに設定されたプラグインハイブリッド車。ツインモーター4WDに三菱独自の車両運動統合制御のS-AWCを組み合わせている。
■9位 i-MiEV(2006年)
9位 i-MiEV(2006年)
2006年に発表され、2009年から販売開始となったリチウムイオンバッテリーを搭載した世界初の量産EV。2018年4月から登録車扱いとなっている。
■10位 ランサーエボリューションIX(2005年)
10位…ランサーエボリューションIX(2005年)
2005年に登場した第3世代エボの最終型一歩手前のモデル。GTとRSの4G63ターボはMIVECを初採用し、280ps/41.5kgmまでパワーアップした。
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* * *
■GTO FTOのスポーツモデルは1970年代の華(松田秀士が選ぶ10台)
1970年代の華といえばGTO、FTOのスポーツモデルだ。特にMRはDOHCのハイパワーエンジンを搭載しGT-RやZ432の向こうを張った、スタイリングも含め魅力あふれるモデルだった。
そして4位のパジェロは国産本格オフロードSUVのルーツともいえる国宝級。6位アウトランダーPHEV Sは災害時にも活躍できる自家発電からの給電も可能。急速充電にも対応し、Sはコーナリングも素晴らしい。必要すべての機能を備えたPHEVだ。
7位デリカD:5は現行モデルの性能は素晴らしいが、やはり初期モデルのデザインは特別。ワンボックスミニバンのハシリとして見逃せない。8位ミニカスキッパーは当時の軽としてリアエンドのデザインやパワーフィールに感動した。
1位…ギャランGTO MR
2位…ギャランFTO GSR
3位…GTO
4位…初代パジェロ
5位…ランサーエボリューションX
6位…アウトランダーPHEV
7位…デリカD:5初期モデル
8位…ミニカスキッパー
9位…スタリオン
10位…i-MiEV
■三菱のイメージリーダーと言えばランエボ(片岡英明が選ぶ10台)
三菱のイメージリーダーと言えば、WRCでダイナミックな走りを見せ、ヨーロッパ勢を震撼させたランサーエボリューションだ。スポーツモデルだけでなく電動化にも早くから取り組み、世界で初めて量産EVのi-MiEVを生み出した。ランエボとi-MiEVの技術を組み合わせて登場したアウトランダーPHEVも三菱らしいクロスオーバーSUVである。
SUVブームの火付け役となったパジェロも三菱だからこそ生まれた力作だ。今につながる直噴のGDI技術をいち早く採用したギャランとレグナムも衝撃を与えた。1970年代の傑作は、洗練されたデザインとFFのフルオートマを実用化した初代ミラージュ。新しいジャンルを開拓したRVRと3ナンバー新時代を告げたディアマンテも傑作だ。
1位…初代ランサーエボリューション
2位…i-MiEV
3位…アウトランダーPHEV
4位…初代パジェロ
5位…8代目ギャラン/レグナム
6位…初代ミラージュ
7位…初代RVR
8位…初代ディアマンテ
9位…ギャランGTO
10位…三菱500
■1位はランエボVIしか思い浮かばず!(国沢光宏が選ぶ10台)
三菱自動車の殿堂の正面にはランエボVIのWRCマシンがド~ンと置いてある、という景色しか思い浮かばない。パリ・ダカのパジェロもいいけれど、強かったモデルって市販車の雰囲気がほとんどありません。WRCマシンなら外観は市販車そのもの! いや、4G63に始まるエンジンだって同じ。三菱自動車の技術的な頂点だった。少なくともランエボVIの時代、このクルマの総合性能を超えるモデルは世界に存在しなかったと思う。その隣には、WRカーとしてイマイチだったものの、グループNで大暴れしたランエボIXを並べたい。殿堂入りさせたいクルマ選びをしていると競技車両ベースばかり。現在そういったクルマがないから元気ないのね、とわかる。初代デボネアは三菱自動車の歴史として残したい。
1位…ランサーエボリューションVI
2位…ランサーエボリューションIX
3位…2代目パジェロ
4位…初代ギャランVR-4
5位…初代ミラージュ
6位…スタリオン
7位…初代デリカスターワゴン
8位…GTO
9位…初代パジェロミニ
10位…初代デボネア
■やはりランエボは三菱の象徴(岡本幸一郎が選ぶ10台)
少し前まで三菱にはいろいろなタイプのクルマがあったが、なかでも三菱を象徴するのはやっぱりランサーエボリューションがイチバンだ。
VIを首位にしたのは第2世代のエボの集大成で、性能が高く歴代最もスタイリッシュで、ちょうどトミー・マキネンが3連覇を成し遂げた時のモデルであるから。続くVIIは、新たにACDという最終兵器を手に入れ戦闘力を大幅に高めた第3世代エボの幕開けを飾るモデルだからだ。
以降は高性能4WDセダンの先駆けであるギャランや、一世を風靡したパジェロ、世界のラリーで活躍した初代ランサー、長年三菱のフラッグシップとして君臨したデボネアなど。かつて三菱にも存在したスポーティクーペたちと、三菱ならではのワンボックスであるデリカを選んだ。
1位…ランサーエボリューションVI
2位…ランサーエボリューションVII
3位…初代ギャランVR-4
4位…2代目パジェロ
5位…初代ランサー
6位…初代デボネア
7位…GTO
8位…初代デリカスターワゴン
9位…初代ギャランΛ(ラムダ)
10位…スタリオン
* * *
■まとめ
4G63に代表されるターボエンジン、そして先進性の4WDシステムを併せ持ったモデルの多い三菱。そのトップは三菱がWRCで最も輝いていた時代の象徴的な第2世代ランエボ、ランエボVIとなった。実際にWRCではこのマシンで1999年にトミー・マキネンがドライバーズ4連覇を達成している。
トップ10中、6位に第1世代ランエボの初代ランエボI、10位に第3世代のランエボIXと3台もランクイン。3位の初代ギャランVR-4はそのご先祖様みたいなモデルだから、三菱のモデルにはWRCがよく似合う。
また、もう一方のラリーの雄、パジェロも初代と2代目がランクイン。先進的なアウトランダーPHEVとi-MiEVが入ったのも“三菱らしさ”と言えるのではないだろうか。
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みんなのコメント
成果は出したし、方針は間違ってなかったと思うが、その後がね・・・
もし益子氏が退任し、その後任の人がトヨタの現社長のような
車好きの人だったら、ランエボ的な車は継続・もしくは復活し、
パジェロが無くなる事も無かったかもしれない・・・
日産も三菱もわざわざ会社の財産を切り捨ててる・・・