新型フェアレディZへの疑問にキーマンたちが答える
2020年9月16日、今年一番の興奮とともに次期型フェアレディZのプロトタイプが姿を現した。ボディサイズは、全長4382mm×全幅1850mm×全高1310mm。マッシブだった現行型(同4260mm×1845mm×1315mm)と比較しても、伸びやかでシンプルになった印象が強い。
【画像ギャラリー】新型フェアレディZを写真で見る
【画像ギャラリー】新型フェアレディZプロトタイプを写真で見る
事の始まりは2020年5月28日、日産の決算会見で打ち出された「NISSAN NEXT:From A to Z」のムービー。18カ月で12車種の新型車をデビューさせるというグローバル構想だが、そのなかでもっとも話題となったのが、アルファベットの最後の記号である「Z」だ。
Zとは、もちろんフェアレディZのこと。「次期型Zがもうすく登場!」、「現行型で終わりじゃなかった!」とクルマ好き界隈は大いにざわめいた。
それからたったの3カ月。幸運にも、実車に目にすることができたので、その様子をお届けしたい。
プレス向けの取材会では、グローバルデザイン担当専務執行役員 アルフォンス アルバイザ氏と、グローバルデザイン本部エグゼクティブ・デザイン・ダイレクターの田井 悟氏が登壇。歴代フェアレディZからのオーマージュ、そして日産らしい未来志向を併せ持ったデザインであると語られた。
走りについては、GT-RやNISMOなど、日産スポーツモデルの立役者であるチーフスペシャリストプロダクトの田村宏志氏が説明。
フロントグリルが四角い理由
まず、ユーザーから賛否両論の「四角いフロントグリル」について、なぜこの形状なのか聞いてみた。真っ正面から見ると、確かに四角いグリル。ヘッドライトの下、つまり通常ならフォグランプがあるあたりもスッキリしているので、より真四角のグリルが強調されている。これが気になるという人は多いだろう。
アルフォンス氏は「伝統とパワートレーン側からの要求の両方です。240Zは、正面から見るとボンネットのラインが真下に落ちて四角いグリルを形成しています。これを再現したい思いはありました。新型は結果的に240Zっぽくなっている。ツインターボという現代のパワーを表現している面もあります」と、伝統を引き継ぎつつ、現代の解釈を加えたと説明。確かに、これまでのフェアレディZは、四角いグリルを採用しているモデルが多い。
田村氏は、「デザインからのアプローチ、ヘリテージからのアプローチ、そして、大パワーをどうやって冷やすかということを考えると、機能美というか、機能的な形に自ずとなるんです。デザイン面では、このラインを自然に落としていくと、こうなって…という彼らのイメージと、技術側の要求が重なって重なって、『こんなん出ました』という感じですね」
田井氏は、「今回のプロトタイプはかなりシンプルにまとめている。しかしZは、個人個人のカスタマイズ、そしてパワーアップもある。そうなると、大きいグリルを持っていたほうがいいのではないかと思っています」と、発売されたあとのことも想定しているようだった。
写真ではシンプルに見えたフロントフェイスも、陰影がつく角度ならば、意外と立体的。四角い真っ黒なグリルも、よく見るとカプセルが並んだようなデザインが施されている。デザインは賛否両論あるだろうが、実際に見てみると、「かなりかっこいい」というのが、筆者の率直な印象だ。
もうひとつ、いいねと思ったのが、インテリア。先進的なデジタルメーターと、Zを象徴する3連メーターのバランスが、伝統と革新を背負った現代のZらしい。特に奇をてらったデザインではないが、ドライバーとクルマとの一体感を高めて、走りに集中できそうなコックピットだ。もちろん、さらりと湾岸を流すのも気持ちよさそうだ。
エンジンやプラットフォームはどうなる?
では、走りのパフォーマンスはどうなのか?
エンジンはV6ツインターボを搭載。おそらくスカイライン400Rの3L・V6ツインターボエンジンと同じものだろう。となると最低でも405ps/475Nmはカタイわけで、パワーに不満はないだろう。
プラットフォームについては明言を避けたが、「ホイールベースはZ34と同じにしていく。スタビリティや動きのバランスから、今のところ、同じほうがいいと思っている」と田村さん。ホイールベースが同じということは、もしかしたらプラットフォームの基本は流用かも知れない。
走りのZらしさについて田村氏は、「日産にはGT-RとフェアレディZの両方がありますから、立ち位置は明確にしたかった。GT-Rはモビルスーツのような、パワーをいかに電子制御、つまり人間の英知をかけてコネクションしていくというタイプ。タイムアタックで結果を出してコレは速い!というようなのがGT-R。フェアレディZは、ダンスパートナーのように、踊れる相手とシンクロナイズする気持ちよさを前面に押し出していく。入り込んでいったときの気持ちよさを大事にしている。ソリューションは結果として付いてくる。ダンスパートナーならレスポンスが大切。だから、アクセルや操作への反応とかにもこだわっている。(だからこれまでNAだったのですが)まぁ、ツインターボもけっこういい感じにできたっていうのもあります。もちろんMTの搭載もそのひとつです」と、ドライバーと一体化するかのような走りを目指していると明言。その口調には自信があふれていた。
実車を見てみると、19インチのホイール(タイヤサイズは、前255/40R19、後285/35R19)や、Zの文字が刻まれたキャリパー(対向6ポッドのようだ)、そして前後ドリルドのディスクローターは、いかにもハードな走りを難なくこなしそうだ。また、ドライバーとの一体感を生み出す6速MT、そして伝統の6気筒にツインターボ搭載というスペックにも期待せざるを得ない。
ヘッドライトが「こ」の字なのはなぜ?
エクステリアを見ていこう。まず「重心が低そう」というのが第一印象。真横から見たシルエットはS30に似ている。少し高めのフード、キャビンからきれいに落ちてくるテールなど、まさに初代Zをイメージさせる。このキャビンからテールへと続く形状、そしてメタルのモール部分を、デザイナーの田井氏は「カタナ」と評した。
また、フードのバジル形状、つまりロゴから発生した1本のプレスラインが、ボンネットフードのセンターで2本に分かれ、そして盛り上がりを見せる形なども、Zを象徴する形状だ。
フロントのライトは、新型は「こ」の字に輝いている。これは、240ZのGノーズ装着モデルからインスパイアされた形状だ。Gノーズモデルのヘッドライトはプラスチックのカバーがされていて、このドーム型のカバーに光が当たると、円形に輝くのだという。
テールライトはLEDでモダンなデザインだが、このカプセルが連なっているかのような形状も歴代Zに影響を受けている。そして、全体的にタイトなリヤまわり、そして力強く張り出したリヤフェンダー、「刀」をイメージさせるルーフ。デザイナーの田井氏は、「ここから見る新型フェアレディZが一番かっこいい」と胸を張った。
また、田井氏は、柔らかさと硬さのバランスに苦労したという。初代S30の形状を取り入れつつも、今の時代に合ったモダンさも取り入れた新型フェアレディZ。キャビンからテールへとしなやかに落ちるライン、サイドのシャープなプレスライン、薄く未来的なテールランプ。これらの丸さとシャープさをどうバランスさせるか? 開発途中で幾度も手直しをして、進化させてこのプロトタイプの形状にたどり着いた。
全体のシルエットから細部まで、歴代フェアレディZに敬意を払いつつ、今っぽさを取り入れて進化した新型フェアレディZ。走りなどはこれから開発の追い込みだという。価格については、「コンプライアンスに引っかかるので言えない。がんばったら買える、という程度にしたい」と田村さん。日産の内田 誠社長も「Zはいつの時代も手の届くスポーツカー」と明言。
新型Zの市販版は、約1年後と予想。その走りをどこまで煮詰めてくるのか、ほんとうに楽しみだ。
ちなみに新型フェアレディZのプロトタイプは、横浜・みなとみらいの「日産パビリオンYOKOHAMA」に約1カ月間、展示されるという。気になる人は要チェックだ!
〈文=ドライバーWeb編集部〉
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