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【F1ブラジルGP無線レビュー】最大限の性能を引き出したフェルスタッペンが雪辱を果たす「最高の結果になったよ!」

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【F1ブラジルGP無線レビュー】最大限の性能を引き出したフェルスタッペンが雪辱を果たす「最高の結果になったよ!」

 レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが今シーズン3勝目を飾ったF1第21戦ブラジルGP。好スタートを決めて後方を引き離していったが、レースが進むにつれてルイス・ハミルトン(メルセデス)とのバトルが激しくなっていった。緊迫の優勝争いを無線とともに振り返る。

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フェルスタッペン、2019年3勝目で選手権3位に「メルセデスに勝つ速さがあった。ホンダF1の進歩をうれしく思う」

 ポールポジションのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、ブラジルGP決勝のスタートも確実に決めてホールショットを奪い、みるみる後方を引き離していった。後方ではルイス・ハミルトン(メルセデス)が好加速でセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)を抜いて2位に上がっている。

レッドブル:後ろはハミルトンになった。モード7、ギャップ1.2

 ハミルトンもレース序盤からコース上で仕掛けることはせず、タイヤをいたわるために2秒程度のギャップを広げて走りつづける。

レッドブル:OK、ギャップは安定してきた

 メルセデスAMGよりもタイヤに厳しいレッドブルは、インテルラゴスのインフィールドセクションでリヤタイヤのケアに気をつけるよう慎重にフェルスタッペンにアドバイスを送る。

レッドブル:ギャップ2.5、ハミルトン13.6。左右リヤタイヤ、特に右リヤが上がり始めている。マネージしろ

 フロントタイヤのピックアップ(タイヤカスが付着すること)を報告していたフェルスタッペンだったが、20周目を迎える頃にはリヤタイヤのグリップも低下してきていた。

レッドブル:リヤタイヤがトリッキーだ

 その影響はラップタイムにも表われ、背後を走るハミルトンの目にも明らかだった。

 コース上での追い抜きではなくピットストップで先手を打ってアンダーカットを狙うハミルトンは、早くピットインを仕掛けようとはやる気持ちをチームに訴えかける。

ハミルトン:このショットを逃しちゃダメだ!

 20周目にハミルトンがピットに飛び込み、フェルスタッペンは翌周カバー。計算上はリードを保ったままコースに戻ることができるはずだったが、ピット出口でウイリアムズに阻まれてしまい、この間にハミルトンの先行を許してしまった。

 しかしここが勝負所と判断したフェルスタッペンはフルプッシュでハミルトンを追い、シャルル・ルクレール(フェラーリ)に引っかかってロスしたハミルトンを次のメインストレートでとらえ、DRSとトウを使って抜き去った。

 ハミルトンはアンダーカットを成功させるためにインラップとアウトラップでバッテリーを使い切っており、1周後のメインストレートではディプロイメント切れを起こしていたため、為す術なく抜かれてしまった。ハミルトンはフェルスタッペンが背後から迫る状況を詳細に伝えなかったチームに対して不満をぶちまけた。

ハミルトン:カモン! どうして教えてくれなかったんだ! 僕のバッテリーは死んでいたんだ!

 一方のレッドブルはハミルトンが逆襲を仕掛けて来てもさらに車体とパワーユニットの両面でブーストをかけることができる余裕を持っていた。

レッドブル:OK、必要な時はブーストボタンとオーバーテイクボタンを使っても良いぞ。ベッテルはピットピンしてミディアムに換えた。ハミルトンはソフトで2ストップだ
 一方のハミルトンはソフトタイヤに苦しんでいた。ミディアムの方が耐久性が高く攻めやすい。

ハミルトン:このタイヤは間違いだよ、ミディアムにすべきだった

 フェルスタッペンも最終セクターで左フロントタイヤ内側にピックアップの症状が出ると訴えるが、ハミルトンに対してギャップはしっかりと維持している。

 またしてもアンダーカットを仕掛けたいハミルトンはチームに対して早くピットストップをすべく訴えかける。

ハミルトン:このタイヤはXXXだ。何を待ってるんだ!? 僕はもう充分近付いているぞ!

 43周目にハミルトンがピットインし、翌周にフェルスタッペンが反応してリードを確保。

 ハミルトンは安心して攻められるミディアムタイヤでフェルスタッペン追撃に転じるしかなくなった。

フェルスタッペン:このタイヤ(ミディアム)の方が良い?

レッドブル:そうだ、だからハミルトンはこのタイヤでプッシュしてくるぞ

フェルスタッペン:彼が直ぐ後ろに来たら教えてくれ

レッドブル:了解。セクター2はもっとタイヤをケアしろ

 フェルスタッペンが気にするように、ハミルトンはじわじわとギャップを縮めていく。

ハミルトン:もっとパワーをくれ!

 フェルスタッペンも後ろにひたひたと迫るハミルトンのプレッシャーを感じていた。ハミルトンがDRSを使える範囲まで入ったかどうかを知らせてくれとレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーズにしきりに聞く。

レッドブル:ギャップ1.1

フェルスタッペン:彼がDRS圏内かどうかを常に教えてくれ

レッドブル:(バルテリ)ボッタスがターン3~4に止まってダブルイエローだ

フェルスタッペン:彼はDRSがある? ない?

レッドブル:ギャップは1.2だ

 いよいよハミルトンがDRS圏内に入りバトルを仕掛けようかという矢先の53周目、バルテリ・ボッタスのマシンが白煙を上げて自動的にカットオフし、コースサイドに止まった。これでセーフティカーが導入されることとなった。

 ここでピットインしてソフトタイヤに交換するか否か。

 レッドブルは一旦はトラックポジションを失うリスクを負ってでも交換し、再びコース上で逆転する攻めの戦略を選んだ。

メルセデス:BOX、BOX。フェルスタッペンと逆の戦略で

 メルセデスAMGも同じくソフトに交換する攻めの戦略を選ぼうとしたが、フェルスタッペンとは異なる戦略を選ばざるを得ず、ハミルトンはステイアウトしてミディアムタイヤのままトラックポジションをキープすることに優勝の可能性を賭けた。同じ戦略では抜けず、勝てないからだ。

ハミルトン:彼はどのタイヤを履いた?

メルセデス:ソフトだ

ハミルトン:パワーをくれるのか?

メルセデス:ストラット5、これが今与えられる全てだ

ハミルトン:これじゃカモだ、このタイヤでどうやってポジションを守れば良いんだ
 それに対しレッドブルは車体面もパワーユニット面も最大限にパフォーマンスを引き出してハミルトンに対するオーバーテイクに備える。ミディアムとソフトのタイヤ差もある。

レッドブル:ブーストオン、オーバーテイクボタンも使え

フェルスタッペン:これが今の最大限のパワー?

レッドブル:イエス。オーバーテイクボタンを押し続けろ

 ハミルトンの言葉通り、フェルスタッペンはリスタート直後に襲いかかり一撃で抜き去った。

レッドブル:よくやった! モード7。ギャップは1.4。このまま最後まで行け。燃料は大丈夫だ、あとは君に任せる。ギャップは広がっているからリフト&コーストはこのまま続けろ

 すると66周目にフェラーリ勢が同士討ちを演じ、コース上にデブリをまき散らしたために再びセーフティカー出動。

 メルセデスAMGはピットインするかどうか、そこから抜き返せるかどうかのギリギリの判断をハミルトン自身に委ねた。

メルセデス:新品タイヤに換えてポジションを1つ失うかどうか。残り5周だ、どうする?

ハミルトン:そっちで決めてくれよ……入る、入るよ!

 ただし計算外だったのは、1回目のセーフティカーで周回遅れを挽回していたピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)まで前に出られてしまったことだった。

メルセデス:前はガスリー

ハミルトン:もう周回遅れを前に出させる必要はないよ!

メルセデス:違う、前のクルマと戦っている。SCはデブリのためだ。元のポジションに戻るためには2台抜く必要がある

ハミルトン:クソッ、もう1周か!

 ハミルトンはリスタートと同時にガスリーを抜いて3番手に上がったが、挽回を焦るあまり残り2周の時点でアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)に接触してしまい、アルボンの初表彰台を奪い去った。そして彼自身もガスリーを抜ききれず3位フィニッシュとなった上に5秒加算ペナルティを受けて7位に降格となった。レッドブル・ホンダの強さに対して完敗だった。

ハミルトン:みんな、すまない。これがこのマシンのすべてだ、これ以上は何も残っていない。マシンが良くなったのは確かだよ、でもまだプッシュする必要がある

 そして周回遅れとの接触で優勝を逃した昨年のブラジルGPの雪辱を果たしたフェルスタッペンは久々の勝利に酔いしれた。

レッドブル:優勝だ、完璧にレースを支配してみせたな! マジックだ、最高だ

フェルスタッペン:ハハハ、なんてレースだ! 最高だよ

クリスチャン・ホーナー:おめでとうマックス、まさに去年の借りを返したな! 最高のレースだったよ

フェルスタッペン:まさにその通りだね、そのために戦ったけどそれ以上に最高の結果になったよ。みんなありがとう




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