2018年式ポルシェ991後期型911GT3オーナーの赤裸々レポート
トラベル系コンテンツディレクターとしていまだ体に鞭打ってあちこち駆けずりまわるアラカンの筆者が、ドライブ旅行やスポーツ走行にも挑戦したいという想いから、憧れだった羽根付きのポルシェ「911」を購入。経済的にも体力的にも限界なシニアにポルシェは翼を授けるのでしょうか? しばらく姿を見かけませんでしたが、涙のパンクからの、涙のお別れがあったようです。
30年放置された日本最古のポルシェ「930ターボ」が復活!「三和自動車」モノの個体を99%オリジナルと純正パーツでレストアしました
まじすか! いきなりのパンクに泣く……
ポルシェ991型後期「911GT3」に限らず、少しでも991の購入を考えてる人の参考になればと赤裸々にレポートしていくつもりでスタートしてはいますが、2024年はコロナ禍が明けて本格的に旅行や観光が復活。旅関係の仕事柄、あちこち駆けずり回る状態に陥り、ありがたいやら辛いやら、なかなかGT3と向き合う機会がないまま時が過ぎ、走行距離は3000kmにも及ばずじまい。気が付けば暦は2025年も春に。ほんとおっさんになると時が経つのが早く感じマス。
さて、それにしても、手もとに来たからと言ってすぐさま楽しい生活になるとは限りませんなぁ。世の中、何が起こるかわからない。駐車場に入らない車高問題発生からの、まさかの左後ろタイヤのパンクトラブル。ほんと泣けてきます。
なんと、左後輪タイヤには太い皿ネジが刺さっておりました。もっとも車両購入時点のタイヤの状態は6分山かつ2017年製タイヤと、変えるべきタイミングには来ていた。これも「GT3に乗るならちゃんとタイヤを変えなさい」という天の思し召しか。
選ぶならミシュラン PSC2かPS4S? それ以外か?
悩みはタイヤのセレクト、そしてお財布との相談である。まずは何を履くかだ。ポルシェとの関係が深いミシュランだとGT3用は「パイロットスポーツ カップ2(PSC2)」か「パイロットスポーツ 4S(PS4S)」がラインアップされている。もしくは同じく公認であるピレリ「P ZERO」系か。子どもの頃「930ターボ」に憧れていたおっさんとしては、タイヤといえばピレリっしょ! という世代。当時、最高峰といわれたP ZEROは憧れのタイヤだった。そのせいもあってバイクではロードもオフもチャリンコまでもピレリばかりを選んできた過去がある。
そこで、AMW編集部に相談したところ「ミシュランは2002年からポルシェのタイヤ開発における戦略的パートナー。991世代からは車両と同時にタイヤの開発を一緒に行なっていることもあるし、マッチング面からまずはミシュランを履いたほうがいいですよ」とアドバイスをいただいた。
991GT3のデフォルトタイヤはサーキット走行を主眼に置いたPSC2だ。いわゆる公道走行可のSタイヤの部類。グリップ性能は当然ながら高い。本格的なスリックタイヤほどツルリとしてはないにせよ、一般的なタイヤに比べて溝は圧倒的に少ない。それでも深さ5.4mmの溝が彫られており、数あるSタイヤの中でも排水性は高い方らしい。でも見た目的には、雨の日はちょっと運転がコワそうである。なお、気温が7℃以下の場合は、しっかり温めないと本領発揮できないとされている。
雨の日に好んで飛ばそうとも思わないが、最近の天気はほんと何が起こるかわからない。局所的な突然の雨にはこれまでもずいぶん遭遇している。公道メイン派の筆者にはちょっとばかり不安がよぎるのだった。
だが、911GT3に乗る先輩諸兄のブログ等を拝見すると、PSC2は雨天時でも普通に走っている分には問題はないようだし、先ごろ富士スピードウェイを訪れた際のことだが、Aパドックに新しい992 GT3RSが停まっていたので、オッと思って声をかけたところ、朝からかなりの雨降りだったにもかかわらずなんと茨城方面から自走で来たという。ご本人いわく、たしかに心配ではあったが法定速度程度なら全く不安はなかったそう。ちなみにオーナーは女性。それにしてもウエットなサーキット走行に挑むとは、ほんとツワモノ。ビビりな筆者と大違い。頑張って見習いたいところです。
まずはデフォルト状態を知っとかないとで、パイロットスポーツ カップ2に
さて、もうひとつのPS4Sは、サーキット走行にも高いレベルで対応できるハイグリップタイヤで、高次元のウエット性能を確保しながらトレッド面に対する溝の割合を抑え、接地面積を最大限に確保。また、タイヤの外側と内側で2種類のコンパウンドを配分し、ドライ路面での外側の踏ん張りと、ウエット路面での内側の路面への食いつきを高めている、とミシュランのサイトには紹介されている。価格もPSC2よりも抑えられているし、PS4Sが筆者の使い方に合っていそうではある。
そういえば、以前にもお伝えしたが、GT3オーナー、特にサーキット派の中には、ハイスペックなアジアンタイヤをチョイスしている方もいる。価格は純正指定よりもかなり控えめで、走りまくる人にとってはコスパ的にグッドチョイスなわけだ。また、先日出会った991 GT3RSのオーナーはほとんどスリックタイヤな米国製タイヤを履いていた。タイヤの摩耗が激しいサーキットメインの方はそうなるんでしょうなぁ。ただ、ディーラーで車検や整備が受けられない、といった問題はある。
いろいろと悩んだが、まずは原点に帰る、デフォルトを知ることが大事ということで、ミシュランのPSC2に絞った。
ちなみに、PSC2はスーパーカー「カレラGT」用に開発されたタイヤがベースで、その後開発が繰り返され市販化されてきた。991後期GT3用PSC2は、991前期GT3に履かれていたN0からN1へとポルシェ用コード表記もアップデートされている。ちなみにPSC2には、その上を行く「R」も存在する。
当時の発表によると、このN1はミシュランとポルシェが2年半を費やし共同開発したとのこと。開発の過程で約350本のタイヤを試作し、テストを実施。テストはイタリアの「ナルド」をはじめ、ドイツ「ニュルブルクリンク」、フランスのクレルモン・フェラン近郊にあるミシュランの「ラドゥー・テストコース」など、多くのサーキットで集中的に行われたという。
「従来のN0と比べ、ラップタイムの向上のみならず、より高い操縦安定性とスポーティなハンドリング性能を実現し、公道での通常使用はもちろんのこと、厳しい条件下におけるサーキット走行でも、高い安全性を確保すると同時に高速で走る悦びを堪能できる」とリリースにはある。まあ、へっぽこドライバーの筆者には、この悦びが得られるのかはなんともだが、安全性が高いことはいいことだし、なによりマッチングがいいいことは間違いないだろう。
スーパーGT用タイヤと大差ないタイヤ交換代に涙する
さて、気になるのはお値段である。まずはお見積り! ということで伺った先はポルシェのカスタマイズやサーキット走行のセッティングも行っている「サンライズブルバード千駄木」さん。じつは、車両購入時からステアリングセンターの微妙なズレが気になっていた。アライメント調整が必要だなと思っていた矢先のパンクということで、実績のあるお店に相談したのだった。
店長いわく「最近はタイヤの流通も滞りがちで、いまは1セットのみの在庫です(2024年当時)」というではないか。ともかく昨今の世界情勢から流通も悪ければ、年々値上がりしているそう。そこでお見積りを依頼したところ……。
【991 GT3タイヤ交換一式 参考価格】 ・フロントタイヤ(245/35ZR20 N1):8万9190円×2本=17万8380円 ・リアタイヤ:(305/30ZR20 XL N1):10万6380円×2本=21万2760円 ・工賃(センターロック脱着、組み換えバランス):5000円×4本=2万円 ※2024年前半の価格
覚悟はしていたが、やっぱりお値段を聞いて唖然。これに廃棄費用やアライメント調整を含めると交換代一式は〆て47万円なり! 2.3t近いヘビー級のアウディ「RS6」に乗っていた時でも、ここまでいかなかった。同じ20インチながら1本5万強だったと記憶する。それでも高いと思っていたが、GT3用ともなるとフロント1本約9万円、リア1本約11万円! 通販サイトでは多少安く買えるものもあるようだが、それでもお高い。
スーパーGTで使うレーシングスリックタイヤは1セット50万円ほどといわれているが、もはや交換費を含めるとそれに近いお値段。この時点でまた分不相応感が漂ってきた。なお、ポルシェ承認PS4Sは1本6万円台後半である。
一方工賃だが、一般的なタイヤ交換代はだいたい4本で1万円~1万5000円くらいが相場。GT3の場合は2万円也。やっぱりセンターロック式で特殊だからだ。その締め付けトルクは600Nmと非常に大きく、トルクレンチはトラック用の長く太いものを使わなければないし、強大な力もかかることから、ブレーキを踏んでホイールを回転させない役割も含め、基本的に2人がかかり。ナットは1つだが、ボルトナット5本より手間がかかるのね……。
なお、タイヤショップは数あれど、このポルシェのセンターロックに慣れているお店やディーラーでの交換がおすすめだ。ロックナット、ロックピンのクリーンアップ、ハブにもしっかりアルミペーストを塗布することはもちろんながら、ロックピンの位置、締め付けの仕方などにポルシェの指定があることから、頼むとなると経験のあるお店がやはり安心できる。センターロック式のホイールを履くGTSのオーナーも同様かと。わかっているつもりではありますが、高性能車はジワジワとお金も手間もかかりますなぁ。ふー。
バイクを売却してタイヤ代を確保。そしてまた泣く
問題はお財布の中である。じつはタイヤだけでなく、この際だからバックミラーもデジタルミラーに変えたいと思っていた。GT3は大きな羽根に加えロールケージもあって後方視界がいささか悪い。確認したいのはすぐ後ろのクルマもそうだが、そのまた後方である。じりじりと追い上げてくるような白や黒や銀色系のアヤシイセダンなどを認識するにあたっては羽根が邪魔で見えないのだ。タイヤと併せると55万円ほど。ぬおーっ。
しかもその先には車検も控えているーっ! 貯めてきた虎の子の官房機密費はフロントリフトシステムの出費があって、この分では到底足りそうにない……。家人に相談したところで、シャッターがピシャリと降りることは必至。なので泣く泣くバイクをドナドナしたのであった。
* * *
いきなりのパンクとはツイてない。GT3のタイヤ代おったまげですね。同年代のフェラーリ「488」よりも少々お高めです。それでおっさんバイクを売っちゃったんですね。でも、タイヤは安全に関わりますから。サヨナラしたバイクの分、今年は存分に走るしかない!
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みんなのコメント
ケチって安物タイヤに手を出して事故って後悔するのに比べたら、、w