4WDがセールスポイントのスバルがFWDを用意する背景
スバルがグローバルに展開する初の電気自動車(BEV)として「ソルテラ」を発表しました。全長4690mmのSUVで、バッテリー総電力量は71.4kWh。すでに多く報道されている内容をみて、十分な航続距離が期待できる「使えるBEV」という印象を受けている方も多いことでしょう。
スバル、電動SUVの「ソルテラ」を世界初披露。“スバルらしさ”の実現をアピール
そんなスバルのBEV「ソルテラ」で気になる点が2つあります。
ひとつはFWD(前輪駆動)を用意していること。スバルといえばシンメトリカルAWDがブランドアイデンティティのひとつで、グローバル販売の98%がAWD(四輪駆動)というのはスバル・ブランドの特徴となっています。
ご存知のようにソルテラはトヨタと共同開発しているモデルなので、トヨタ版の「bZ4X」にはFWDとAWDが設定されたとしてもスバル・ソルテラはAWDだけになるのでは? という事前予想もありました。しかし、結果的にはFWDもラインナップされることが明言されました。
AWDは前後に駆動モーターが必要なためコストも上がりますし、重量増などの面から航続距離を稼ぐのにも不利というのが現実です。また、電動化は企業としてのCO2排出量を減らさなければならない昨今においては欠かせないアプローチです。
せっかくゼロエミッションを実現できるBEVを出すのですから、あえて航続距離が短く、価格の高くなるAWDだけに絞るというのは商品企画としては考えづらく、ソルテラにFWDを設定するのは当然といえば当然なのですが、そのあたりをスバルが築き上げてきたブランド性と、どのように整合させていくのかは気になります。
気になる充電インフラ整備
もうひとつ気になるのは、今回は車両の詳細を発表しただけで充電インフラについての発表がなかった点です。
たしかに日常的には自宅や事業所などでの普通充電をメインにすることがBEVの運用としてはベターなのですが、遠出する場合や集合住宅のユーザーにとって急速充電インフラは欠かせません。実際、ソルテラは最大150kWの急速充電に対応すると発表しています。
そうであれば、150kW級の急速充電インフラ整備について何らかの公式発表を期待したくなるのは人情です。
たとえば日産は自社系列の販売店に急速充電器を設置、多くの箇所で24時間利用できるようにしています。また、自社ユーザー以外でも加入できる急速充電のサブスクリプションサービス「ゼロエミッションサポートプログラム3(ZESP3)」も用意しています。
仮にスバルが急速充電インフラやサブスクを用意せずとも、ソルテラのオーナーが日産ZESP3に加入すれば困ることはないかもしれません。しかし、それは日産が展開しているサービスにフリーライドするカタチになりますし、ZESPに他社ユーザーが加入できる状況が未来永劫続くという保証もありません。
本気でBEVを売っていくならば、急速充電インフラについて何らかのアナウンスが必要なはずです。それが持続可能なBEVによるカーライフにつながります。
もちろん、日産が整備した急速充電インフラにフリーライドするつもりではないでしょうし、トヨタからも兄弟車が出ることを考えると、トヨタとスバル両社のBEVの市販が始まるまでには、なんらかの発表があるのでしょう。
スバルの販売店はもちろんトヨタの販売店でも24時間使える急速充電インフラが整備されれば、かなり便利にBEVを活用できるので、大いに期待したいものです。
それでも、この段階で充電インフラについてのアナウンスをしないことは、BEVのオーナー心理としては不安になります。そうした認識が、もしスバルにないのだとすれば、BEVを売っていくにあたって少々意識が低いと言わざるを得ません。
まだまだ一般ユーザーにとって航続距離や充電時間がネックになると思われている電気自動車、それ単体の機能をアピールするのではなく、安心できるカーライフを提案することが大切ではないでしょうか。安心と安全をアピールしてきたスバルだからこそ、BEVにおける安心を生む要素には充電インフラがあることをしっかり認識してほしいと思うのです。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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みんなのコメント
受電インフラを自動車メーカーに求めるのは、どう考えてもおかしい。BEVが増えれば、自動的に充電場所は増えて、ディーラーなんかに行かなくなる。
私、BEV乗っていないのだけど、ディーラーでの充電は有料なんですよね?充電が商売として成立しないと、日本中に充電スタンドの普及させるのは難しいと思う。