効率的に冷やす 安全性の向上も
フランスのエネルギー大手トタルの潤滑油部門であるトタル・エナジーズ・ルブリカンツは、『セルシールド(Cell Shield)』と呼ばれる液体を使用した液浸冷却式バッテリー技術を開発した。EVのルノー・メガーヌEテックに試験的に搭載したところ、充電時間が半分に短縮され、航続距離も6%向上したという。
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液浸冷却とは、物体を液体に浸すことで温度を下げるという冷却方法を指す用語だ。
しかし、電気部品の場合は、それほど単純な話ではない。水ベースの液体を電気回路に導入すると、短絡(ショート)が発生し、瞬時に破損してしまうからだ。これが、EVバッテリーが防水構造になっている理由である。
内燃機関では、熱はシリンダーや燃焼室の壁を通して、水路を流れる水に伝導される。温まった水はラジエーター(熱交換器)を通過し、そこを流れる冷たい空気によって冷やされる。
この方法は、エンジンの高温の金属から冷却システムの水分に熱が直接伝達されるという点で、液浸冷却の一種である。
電子機器では、熱は直接空気に伝達されるか、コンピュータープロセッサチップやEVバッテリーセルなど、非常に熱くなる部品の場合はヒートシンクに伝達され、そのヒートシンクは空気や液体で冷却される。
どちらも有効な方法だが、高温の部品を冷却液に浸す方がより効果的だ。
ただし、特殊な液体が必要である。電子機器では、電気を通さない流体を絶縁流体と呼ぶ。これは新しい概念ではなく、変圧器などの配電機器では長年、特殊な電気絶縁体として使用されてきた。
EVのバッテリーセルは通常、冷却液が流れるヒートシンクに隣接して搭載されているが、セルと直接接触することはない。このセルを絶縁流体に完全に、または部分的に浸すことで、より効果的に熱を伝導できる。
課題は、セルに適切な液体を開発することだ。重量も考慮すべき点だが、液浸冷却方式では、従来の液冷式バッテリーで液体輸送を担当する部品の一部を省略できる。
メガーヌに搭載されたトタルのバッテリーは、液浸冷却技術に関する数年間の研究開発の成果だ。同社は2020年末、ボルボXC60 PHEV向けの同様のバッテリーのプロトタイプ開発を、英国のエンジニアリング企業リカルドに委託した。
リカルドは、液浸冷却バッテリーは冷却性能の向上と充電時間の短縮に加え、既存の車両アーキテクチャーに適合し、コスト6%削減と軽量化も実現できると結論付けた。
もう1つの重要な要素は、安全性のさらなる向上だ。テストの結果、トタルの新しい液体は、熱暴走や内部発火の抑制に「かつてないほど」優れた性能を発揮することが確認されている。
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みんなのコメント
技術的には可能だが自動車の様な重量物で衝突する可能性がある物には不向きと言われて他社では企画しなかった技術。
仮に充電時間を半分に出来るのは公共の急速充電であって、自宅充電では不可。
それでは意味が無い