■もはや「クラウン“コンパクト”」と呼びたい高級ハッチバック
個性が光るパッケージングや装備、デザインをもちながらも、フルモデルチェンジされず一代限りで終わってしまったクルマは数知れません。
トヨタが2006年から2012年に販売していた「ブレイド」もまた、“小さな高級車”と呼ぶにふさわしい豪華な装備やパワートレインが採用されたきわめて個性的なモデルとして、今も記憶に残る1台です。
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ブレイドのボディサイズは、全長4260mm×全幅1760mm×全高1505-1530mm、ホイールベース2600mmのコンパクト・5ドアハッチバックでした。
現在販売中の5ドアハッチバックモデル「カローラ スポーツ」(全長4375mm×全幅1790mm×全高1460mm、ホイールベース2640mm)よりもひと回り小さいサイズ感です。
ベースとなったモデルは、かつてのカローラシリーズのハッチバック「カローラFX」「ランクス/アレックス」の血を引く「オーリス」で、「洒落た大人の高級ハッチバック」をコンセプトに開発されました。
発売時のキャッチコピーで「大人しくない大人に、ショート・プレミアム」と銘打たれたように、扱いやすく先進的なデザインをしたボディに、高級セダン並みの充実した上質な装備を設定し、ゆとりある走行性能をもった「小さな高級車」でした。
外観では、ブレイドより少し前から販売されていたトヨタの人気高級セダン「クラウン」の12代目モデル(通称:ゼロクラウン)と共通する意匠のヘッドライトやリアコンビネーションランプを採用していたのが特徴的でした。
インテリアでは、スエード調表皮を施したインパネや、表皮の質感と座り心地、ホールド性にこだわったシートを採用。
さらに一部グレードに高級素材アルカンターラと本革のコンビシート、8ウェイパワーシートも採用するなど、高級セダン並みの上質な空間を演出しています。
パワートレインは、コンパクトハッチバックにしては大きい2.4リッター直列4気筒ガソリンエンジンを搭載し、7速マニュアルモード付きCVTの組み合わせで、FF・4WDの駆動方式となっていました。
そして発売の翌年2007年には、3.5リッターV型6気筒「2GR-FE」型エンジンと6速ATを搭載した「マスター」グレードが追加されました。
このエンジンは当時の「アルファード」「ヴェルファイア」など限られた高級モデルの上級グレードに搭載されていたもので、最高出力は280PSを発生し、コンパクトハッチバックに似つかわしくない大排気量・高出力エンジンとなりました。
足回りは、高級車に採用されることが多いダブルウィッシュボーン式を新開発してリアサスペンションに採用。乗り心地と操縦安定性を両立しました。
内外装からエンジン、足回りに至るまで高級感を追求した結果、クラウンのデザインや装備がブレイドに移植されたかのようになり、「クラウン“コンパクト”」ともいえるモデルに仕上がっていました。
2.4リッター車の車両価格は約220万円から290万円、3.5リッター車のブレイド マスターは約280万円から330万円でした。
ブレイドと同時期に販売されていたオーリスの価格は約160万円から230万円と、100万円ほどの開きがありました。
ちなみに当時のゼロクラウンは約340万円から670万円でしたので、ボディサイズの小ささを考慮すると、ブレイドはコストパフォーマンスが高かったといえるでしょう。
改良が繰り返されたもののブレイドのセールスはいまいちで、モデル末期には月販100台以下にまで落ち込み、2012年6月に販売が終了。わずか6年余の短命モデルとなってしまいました。
SNSなどで、かつてブレイドに乗っていた人たちの声を見てみると「高速道路は楽」「エンジンパワーがあった」「V6のマスターは、ゆったり乗れた」など、走行性能の高さを評価する声が目立ちました。
いっぽうで「エンジンは官能的ではなかった」など、運転する楽しみは今ひとつだという声もなかにはあるようです。
また、「いいクルマではあったが見た目がちょっと地味」「排気量がデカければいいものではない」など、販売不振の背景を考察したコメントも。
伸び悩んだ販売台数という結果は、当時は「小さな高級車」の需要があまりなかったことを示すことになりました。
しかしダウンサイジングの思想が進んだ現在では、同様の企画ももっと受け入れられるかもしれません。
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