現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ車のACCは時速180kmまでセット可能? 制限速度を上回る速度に設定できる理由

ここから本文です

なぜ車のACCは時速180kmまでセット可能? 制限速度を上回る速度に設定できる理由

掲載 更新 37
なぜ車のACCは時速180kmまでセット可能? 制限速度を上回る速度に設定できる理由

■ACCで180km/hまで設定できるって本当?

 いまでは多くのクルマに搭載されているACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、定速走行・車間距離制御装置の略で、レーダーなどで前方を監視し、設定したスピードをキープしたり、先行車がいた場合には一定の距離を保つ装置です。

こうすれば車内はキンキンに冷える!?「炎天下+渋滞」で暑い車内を冷ます方法とは

 自動車メーカーによって名称は異なりますが、近年、多くのクルマに採用されるようになりました。

 ACCは運転時のストレスを減らすだけでなく、追突事故の防止にもなる便利な機能ですが、設定速度を180km/hまでセットできるクルマもあります。

 高速道路の制限速度を大きく超えて設定できるのはなぜなのでしょうか。

 ACCの速度を180km/hまで設定できる車種としてマツダ「CX-8」があります。マツダでは「MRCC(マツダレーダークルーズコントロール)」と呼んでいますが、販売店は次のようにいいます。

「CX-8以外のモデルでも年次改良の機会に作動領域について『0km/hから高速領域」までとしているので、速度リミッターが効く180km/hまで出せるクルマであればMRCCを設定することが可能です。

 従来、MRCCの作動範囲は115km/hまでとしていましたが、新東名のように制限速度が120km/hまで引き上げられた高速道路が出てきたことからそれに対応したものと思います」

 そのほかのメーカーではどうなのでしょうか。

 トヨタの販売店に聞いてみたところ、「トヨタでは2017年7月にデビューした『カムリ』からACC(トヨタでは「レーダークルーズコントロール」)の作動領域を180km/hにしています。

 新東名などでの最高速度アップに合わせたものと聞いていますが、輸入車については従来から速度規制はなかったので、むしろ国際標準になったといえるのではないでしょうか」

※ ※ ※

 もちろん、ACCが180km/hまで対応しているということと、実際に180km/hまで出していいかということはまったく別の問題です。

 その理屈でいえば、そもそも自動車メーカーが180km/hも出せるようなクルマを作って販売していること自体が問題だということになってしまいます。

■かつては115km/h前後まで設定可能だった理由は?

 国産車では180km/hまで対応するようになったACCの速度設定ですが、従来はACC以前からあるクルーズコントロールも含めてほとんどの速度設定が115km/h前後とされていました。

 この速度規制については法律で決まっているものではなく、あくまで国内自動車メーカー間の自主規制によるものです。

 すでにかつての高速道路の制限速度である100km/hを超えて設定できるようになっていたのは、スピードメーターの誤差を考慮していたからです。

 スピードメーターは、実際の速度よりも速い数値を表示するように設定されていたり、タイヤの摩耗や空気圧の低下によってタイヤ1周の距離が変化することから、誤差が生じるのは避けられません。

 2007年1月1日以降製造されたクルマについては、車検検査においてもスピードメーターが40km/hを表示しているときに、実速度が30.9km/hから42.55km/hの範囲内に収まっていればよいとされています。

 それ以前に製造されたクルマについては、スピードメーターが40km/hのときに実速度が30.9km/hから44.4km/hの範囲内に収まっていればよいとされているなど、かなりの誤差が認められているのです。

 つまりスピードメーターでは115km/hを示していても、実際の速度は100km/h前後ということもあるため、その誤差を勘案してACCの設定速度を115km/h前後に自主規制していました。

 もちろん、これは国内に限っての話なので、速度無制限のアウトバーンがあるドイツ車のように輸入車については従来からACCに速度規制は設定されていません。

 2016年3月に警察庁が高速道路の制限速度を120km/hまでに引き上げることを認める方針を打ち出しています。

 2020年12月22日には、新東名の静岡区間(御殿場JCTから浜松いなさJCT)の全面6車線化と同時に最高速度が120km/hまで引き上げられるなど、本格的な高速道路120km/h時代を迎えています。

 この動きに合わせるように国産メーカー各社もACCの速度設定の自主規制をやめていったということなのでしょう。

※ ※ ※

 ACCはドライバーのストレスを減らし、渋滞や事故を減らすのにとても効果があるとされていますが、過信は禁物です。

 ACCの自主規制はなくなりましたが、クルマの運転に対して最終的に責任を負うのはドライバー自身です。交通の流れをしっかり読み、安全運転を心がけましょう。

こんな記事も読まれています

代役スピネッリ、SBK初陣でギャンブル大成功「これがレース!信じられないような勝利で嬉しい」/第3戦オランダ
代役スピネッリ、SBK初陣でギャンブル大成功「これがレース!信じられないような勝利で嬉しい」/第3戦オランダ
AUTOSPORT web
「盗まれた」県が怒りの声明 県道の工事現場から“かなり重い資材”が複数 被害総額300万円超
「盗まれた」県が怒りの声明 県道の工事現場から“かなり重い資材”が複数 被害総額300万円超
乗りものニュース
さよなら「ゾエ」! ルノーのEV先駆者を振り返る 後継は「5」 楽しい走りで電費は優秀
さよなら「ゾエ」! ルノーのEV先駆者を振り返る 後継は「5」 楽しい走りで電費は優秀
AUTOCAR JAPAN
「911ターボ」登場から50年! 「911ダカール」と「タイカンGTS」と並んでポルシェの過去・現在・未来を表現したブースがおしゃれ
「911ターボ」登場から50年! 「911ダカール」と「タイカンGTS」と並んでポルシェの過去・現在・未来を表現したブースがおしゃれ
Auto Messe Web
王者ミケリスが貫禄のポール・トゥ・ウイン。新たな僚友ジロラミも初勝利/TCRワールドツアー開幕戦
王者ミケリスが貫禄のポール・トゥ・ウイン。新たな僚友ジロラミも初勝利/TCRワールドツアー開幕戦
AUTOSPORT web
羽付き9X8のデビュー戦9位は「最大限の結果」とプジョー技術ボス。1周目の事故で損傷の94号車も完走
羽付き9X8のデビュー戦9位は「最大限の結果」とプジョー技術ボス。1周目の事故で損傷の94号車も完走
AUTOSPORT web
もはやガソリン車より便利に…? 高速道の「EV充電器」怒涛の増設! 魔の空白区間?―“出ていいよ”
もはやガソリン車より便利に…? 高速道の「EV充電器」怒涛の増設! 魔の空白区間?―“出ていいよ”
乗りものニュース
全長5.7m級の「斬新トラック」実車公開! ド迫力“カクカク”デザイン×「全面ステンレス」ボディ採用! 「サイバートラック」を披露
全長5.7m級の「斬新トラック」実車公開! ド迫力“カクカク”デザイン×「全面ステンレス」ボディ採用! 「サイバートラック」を披露
くるまのニュース
1225馬力の新「ハイパーカー」欧州初上陸! 中国アイオン(AION)新型EV導入へ
1225馬力の新「ハイパーカー」欧州初上陸! 中国アイオン(AION)新型EV導入へ
AUTOCAR JAPAN
ランボルギーニ、新型車を間もなく発表へ…電動『ウルス』の可能性も
ランボルギーニ、新型車を間もなく発表へ…電動『ウルス』の可能性も
レスポンス
タイヤ装着前に信号が変わるミスが発生、クルーは転倒。ガスリーはピットストップの改善を誓う/F1第5戦
タイヤ装着前に信号が変わるミスが発生、クルーは転倒。ガスリーはピットストップの改善を誓う/F1第5戦
AUTOSPORT web
BYDが輸入車の聖地に新店舗オープン! EVバスも運行予定の目黒通りはBYD率が高まること必至です
BYDが輸入車の聖地に新店舗オープン! EVバスも運行予定の目黒通りはBYD率が高まること必至です
Auto Messe Web
「フェラーリは戦略以外のすべてで強い」と逆転勝利のトヨタ技術首脳。改善傾向のタイヤ摩耗も警戒
「フェラーリは戦略以外のすべてで強い」と逆転勝利のトヨタ技術首脳。改善傾向のタイヤ摩耗も警戒
AUTOSPORT web
新しくもどこか懐かしい? 「愉しむためのBEV、時代が変わる予感」 ヒョンデ・アイオニック5N
新しくもどこか懐かしい? 「愉しむためのBEV、時代が変わる予感」 ヒョンデ・アイオニック5N
AUTOCAR JAPAN
斬新“レッド内装”採用! ホンダ新型「“スポーティ”セダン」世界初公開! 異形ハンドル&特殊モニターに「カッコイイ」の声も!「GT」登場
斬新“レッド内装”採用! ホンダ新型「“スポーティ”セダン」世界初公開! 異形ハンドル&特殊モニターに「カッコイイ」の声も!「GT」登場
くるまのニュース
もてぎに「働くクルマ」が大集合、ゴールデンウィークにイベント開催へ
もてぎに「働くクルマ」が大集合、ゴールデンウィークにイベント開催へ
レスポンス
白熱する来季F1ドライバー市場、“主役”はレッドブル離脱噂のフェルスタッペン&新規参戦アウディ?
白熱する来季F1ドライバー市場、“主役”はレッドブル離脱噂のフェルスタッペン&新規参戦アウディ?
motorsport.com 日本版
もはや「スーパーカー」!? めちゃ“黒い”トヨタ「ハイエース」登場!“クセ強”1BOXバンが「カッコ良すぎ」と反響集まる
もはや「スーパーカー」!? めちゃ“黒い”トヨタ「ハイエース」登場!“クセ強”1BOXバンが「カッコ良すぎ」と反響集まる
くるまのニュース

みんなのコメント

37件
  • 所有している車にもついているけど、自分には出すことが
    無い速度なので一生使うことが無い設定速度。
  • ACCの自主規制はなくなりましたが、クルマの運転に対して最終的に責任を負うのはドライバー自身です。道路の標識をしっかり読み、安全運転を心がけましょう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村