■モータースポーツで鍛えた技術を反映
TOYOTA GAZOO Racingは「GRヤリス」に「エアロパフォーマンスパッケージ」を追加し、2025年10月1日より販売開始すると発表しました。
【画像】超カッコイイ! 25式「GRヤリス」と「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車の画像を見る
その進化について説明を受けると共に、サーキットでの試乗する機会を得たので、解説します。
GRヤリスは正式発売後もレースやラリー、ダートトライアル、ジムカーナなど、様々なモータースポーツにおける極限の状態で「壊しては直す」を繰り返しながら、開発は絶え間なく続いています。
その理由は“モリゾウ”こと豊田章男氏(トヨタ自動車会長)の言葉を借りると「もっといいクルマづくりにゴールはない」からです。
その成果の1つが2024年に登場した「進化型」でしょう。
元々は「法規適合くらいで変える必要はない」という判断だったそうですが、モリゾウ氏から「鍛えた結果は、できるだけ早いタイミングでユーザーに還元すべき」という助言から、モータースポーツの世界でトライしてきたことを、市販モデルに全て盛り込んだと言います。
その進化はエンジン、トランスミッション、「GR-FOUR(4WDシステム)」、車体・シャシー、サスペンション、エクステリア、インテリアと車両全体に多岐に渡ります。
伸び代はフルモデルチェンジ並みと言ってもいいレベルで、筆者(山本シンヤ)はクルマから開発チームの熱意をダイレクトに感じたので、愛車の乗り換えをしました。
そんな進化型の登場から1年、GRヤリスは再び進化を遂げました。
“進化型の進化型”になるので混乱しそうな感じですが、GRはこれを機に「◯◯式(◯◯は改良された年)」と呼ぶそうです。つまり、初期モデルは「20式」、進化型は「24式」、そして今回のモデルは「25式」というわけです。
■粘りが増し安定した走りを実現!
今回、千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイで通常モデルに加えて、10月の発売を予定している25式の「エアロパフォーマンスパッケージ」の試乗をしてきました。
試乗前に大幅改良してから1年で再び改良を行なった理由を、現在GRヤリスの開発を担当するGRヤリス プロジェクトジェネラルマネージャーの山田寛之氏に聞いてみると、「昨年大幅改良したモデル(24式)は『パフォーマンスを上げる』が最重要課題でしたが、その一方で『ロードカーとしてやれることはまだあるな』という想いがあり、それを反映しています」と教えてくれました。
外観の変更はありません。24式ユーザーとしてはホッとしますが、新型を買う人のためにも何か識別できるようなアイコン、アクセントなどは必要。
この辺りは年次改良で外観の変更も行ってきた4WDスポーツの先輩(三菱「ランサーエボリューション」、スバル「WRX STI」)を見習ったほうがいいでしょう。
一方、内装は「縦引きパーキングブレーキの全グレードオプション化(24式はRCのみ)」「DATモデルのフットレスト大型化」が行なわれています。
個人的には足の片側半分しか置けなかったフットレストの大型化は地味ながらも嬉しいポイント(スポーツドライビング時に体を支えやすい)ですが、24式への流用は難しい(カーペットごと交換)と聞きかなりガッカリ…。
パワートレインはエンジンの変更はなしですが、24式で追加された8速DATの制御が進化しています。
具体的には全開加速からシフトアップ時のキレの良さ(24式ではその部分だけトルコンの滑るような感覚が強めだった)とパドル操作時の反応がより鋭くなっています。
また、コンペティションユースで課題だった1速へのダウンシフトの上限スピードアップ(30→50km/h)も朗報です。
Dレンジでの完全自動変速制御の制御はブレーキ踏力強めのコーナーはほぼ完ぺき、袖ヶ浦の5-6-7コーナーのような軽いブレーキングで進入するコーナーはまだ若干悩むかな…と。
この辺りはドライビングスタイルでも変わる部分なので、パーソナライズも検討してほしいところです。
シャシーは「締結剛性向上ボルト(リヤサスペンションメンバー×ボディ:ボルト頭部サイズ拡幅 22→24mm/フロントロアアーム×ロアボールジョイント:リブ形状追加/リヤショックアブソーバー×ボディ:ボルトフランジの厚みアップ 2.1→3.1mm)」を採用。
それに伴う「ダンパー&EPS」のリセッティング(微低速の領域を少しだけシッカリさせ、他は減衰を下げている)、そして「前後バンパーへのアルミテープ貼付」が行なわれています。
ステアリングは24式よりも操舵力は軽めですが、直進時の座りの良さと切り始めた時のスッキリ感とよりフリクションが少ないスムーズな操舵感が印象的です。
ハンドリングは「全体的に緊張していた筋肉がほぐれた」イメージで、強さの中にしなやかさがプラスされています。
具体的には締結剛性アップでタイヤの接地感が増した→無理にクルマを押さえつけなくても安定感を実現できる→ダンパーの減衰を落とせる→路面追従性が増す→粘りが増した安定した走り、といった印象です。
ただ、限界が上がっているので、今までよりも大きなアクションを起こさないと舗装路面だと大胆な姿勢変化はさせにくいかも。
■コーナーもアクセル全開でいける「エアロパフォーマンスパッケージ」
続いて、エアロパフォーマンスパッケージに乗ります。スーパー耐久シリーズや全日本ラリーでの課題をフィードバックしたリアル機能パーツで、空力性能だけでなく冷却性能も向上させていると言います。
具体的にはダクト付きアルミフード(冷却効果アップ)、フロントリップスポイラー(フロントのリフト低減)、フェンダーダクト(ノーズダイブ時のステアリングフィール)、燃料タンクアンダーカバー(空力性能アップやコーナー入り口での操縦安定性向上)、可変式リアウイング(高速域での操縦安定性向上とブレーキング時のスネーキング現象を抑制)、リアバンパーダクト(パラシュート効果抑制)の6点セットで構成されています。
実際に乗ると、「空力で走りがここまで変わるんだ」と実感。
特に中・高速コーナーの落ち着きと安定感は絶品レベル。袖ヶ浦で言えば、エアロ無しかつ筆者レベルだとビビッてアクセルを少し戻してしまう2コーナーですが、エアロパフォーマンスパッケージは躊躇せずにアクセル全開で行けます。
更に5-6-7コーナーは前後バランスの良さや路面に吸い付くフィーリングがあり、クルマをより信頼できるので、より高いスピードで進入が可能でした。
エアロなしだとこのコーナーはDATのDレンジ完全自動変速制御は「4→3速に落ちてほしい」と思いますが、エアロパフォーマンスパッケージ付は4速のままでOK。つまり、それくらいコーナーリングスピードが違います。
ちなみにどちらのシーンもダウンフォースで押さえつけられている…というよりも、前後のリフトバランスが整えられたい印象のほうが強いかなと感じます。
その結果、4つのタイヤの能力を使い切れる接地荷重が生まれ、外乱に強くヨー(クルマを回転させる動き)の発生を最小化することにより、GRヤリスのアジャイルでキビキビした走りを損なうことなく、安定した走りを可能にしたのでしょう。
個人的にはホンダアクセス・モデューロの実効空力理論のエアロパーツ車に乗った時の印象と良く似ている気がしました。
筆者の愛車(24式)は現在GRパーツのエアロに「GRMN」のボンネット&リアウイングが装着済みですが、エアロパフォーマンスパッケージを装着すべきかどうかは非常に悩んでおります。機能を選ぶか、カッコ良さを選ぶか…。
ただ、ここまでエアロで安定するならば、サスペンションはもう少し攻めたセットでも良いのかなと思う所も。逆を言えば1スペックではなく走るステージやユーザーの好みに合わせたパーソナライズが求められるフェーズに来ているのかもしれません。
そろそろ結論に行きましょう。24式のユーザーとしては「1年でこんなに伸びるの?」と複雑な思いがないと言えば嘘になりますが、自動車ジャーナリズム的にはその進化度合いと進化の方向性は、ワインが熟成して味わい深くなっていくような感覚に近いと感じました。
ちなみに山田氏は「24式のユーザー(約4000~5000台)にも何らかの手段でアップデートをできるようにしたい」と語っていますので、そちらも期待です。(山本シンヤ)
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