DTMドイツ・ツーリングカー選手権の第3戦がベルギーのサーキット・ゾルダーで開催され、8月7日のレース1ではアプト・スポーツラインのケルビン・ファン・デル・リンデ(アウディR8 LMS)が、8月8日のレース2ではワーケンホルスト・モータースポーツのマルコ・ウィットマン(BMW M6 GT3)が優勝を飾った。
開幕戦のイタリア・モンツァ、第2戦のドイツ・ラウジッツリンクを経て、GT3マシンで争われる新時代のDTMは、ベルギーへと転戦。森の中の起伏に富んだ1周4,000mのコースで、通常どおり土日それぞれ55分+1周(セーフティカー等が導入された場合は適宜追加ラップあり)、ピットでのタイヤ交換1回が必須というフォーマットの、2レースが開催された。
アウディ、LMDh参戦体制の確定を進める。多数の「ハイエンド」GT3チームとも交渉中
このゾルダーでは、今季3ラウンドへのスポット参戦を予定しているJPモータースポーツの15号車マクラーレン720S GT3が、初めてエントリーを果たした。ドライバーはクリスチャン・クリエンを起用している。
■アレックス・アルボンがレース1で初表彰台を獲得
土曜日午前に行なわれたレース1予選では、ポイントリーダーのケルビン・ファン・デル・リンデがPPを獲得。2番手にマキシミリアン・ゲーツ(メルセデスAMG・チームHRT/メルセデスAMG GT3)、3番手にマルコ・ウィットマン、4番手にアレックス・アルボン(アルファタウリ・AFコルセ/フェラーリ488 GT3 Evo)、5番手にヴァンサン・アブリル(メルセデスAMG・チームHRT/メルセデスAMG GT3)と続くオーダーとなった。
午後のレース1決勝では、ウィットマンが好スタートで2番手へと浮上。さらに予選6番手だったアプト・スポーツラインのマイク・ロッケンフェラー(アウディR8 LMS)もスタートダッシュを決め、3番手へと浮上してくる。
後方では多重クラッシュが発生。アルジュン・マイニ(メルセデスAMG・チーム・ゲットスピード)、ダニエル・ジュンカデラ(メルセデスAMG・チーム・グループM・レーシング)、さらにはランキング2位のリアム・ローソン(レッドブル・アルファタウリ・AFコルセ)がここでリタイアとなってしまう。
このレース1では、上位陣は軒並み早めのピット作業を選択。トップのケルビンは、8周目にピット作業を終えるとウィットマンのわずかに前方でコースに復帰する。その後、12周目にピットに入ったロッケンフェラーがケルビンの背後へと滑り込む形でコースインし、これでアプト勢が実質のワン・ツー体制を築いた。
暫定トップに立っていたアルボンは15周目にピットへ。この作業終了時に、アルボンは痛恨のエンジンストール。実質3番手でコースへと復帰したが、ストールがなければトップ争いに加わることもできたタイミングであった。
アルボンはピットアウト直後から目の前のロッケンフェラーに対して激しくチャージ。トップ3台はその後も接近戦となったが、決定的な動きは起こらず。ケルビンが開幕戦レース2に続く、今季2勝目を飾った。
2位にロッケンフェラー、3位アルボン、以下アブリル、ウィットマン、エステバン・ムース(T3モータースポーツ/ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo)というトップ6となった。
■ルーカス・アウアー、ペナルティで2位を失う
日曜午前のレース2予選では、ウィットマンがPPを獲得し、ルーカス・アウアー(メルセデスAMG・チーム・ウインワード/メルセデスAMG GT3)、ロッケンフェラー、ケルビン、ジュンカデラ、ニコ・ミューラー(チーム・ロズベルグ/アウディR8 LMS)、ローソンと続くグリッドオーダーとなった。
午後のレーススタートではケルビンが3番手、ローソンが4番手へと浮上、ロッケンフェラーが5番手へと後退。さらに、後方で起きたクラッシュのため導入されたセーフティカー後のリスタートでは、ローソンが3番手を奪い取る。
上位陣のピット作業は、9周目の2番手アウアー、6番手ゲーツから。11周目にはトップのウィットマン、ロッケンフェーラーがピットへ飛び込み、ウィットマンはアウアーの鼻先でコースインする。次の周にピットに向かったローソンはゲーツのうしろ、実質4番手へ。さらにケルビンが翌周にピットインし、ローソンの背後でコースへと戻った。
実質2番手に立ったアウアーだったが、ピットストップでの違反のためレース結果に5秒加算のペナルティを受けてしまう。
一方、アルボン、ミューラー、そしてケルビンの弟であるシェルドン・ファン・デル・リンデ(ローヴェ・レーシング/BMW M6 GT3)の3台がピット作業を引っ張る中、中盤にはランボルギーニのムースが躍動。マキシミリアン・ブーク(メルセデスAMG・チーム・ミュッケ・モータースポーツ/メルセデスAMG GT3)、ロッケンフェラーらをかわし、ポイントリーダーのケルビンへと迫る。
残り14分でミューラーがピットへ。翌周に作業を行なったアルボンはミューラーに逆転されてしまう。ミューラーはこの時点で実質5番手。さらに次の周、シェルドンがピット作業を済ませると、アルボンのうしろ、兄・ケルビンの目の前でコースへと復帰。ケルビン以下の中団グループが接触によりペナルティを受けピット作業を最終盤まで遅らせていた車両にふさがれる形となっていたため、ピット作業を引っ張った3台が上位に進出する形となった。
ケルビン以下はムース、ロッケンフェラー、ブーク、ジュンカデラ、エスミー・ホウキー(T3モータースポーツ/ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo)までが数珠繋ぎのワンパックに。
終盤、上位陣もトップのウィットマンからアウアー、ゲーツ、ローソン、ミューラーまでの距離が縮まったものの、順位変動には至らず。この順でチェッカーを迎えたが、アウアーは前述のペナルティにより5位へと後退。2位ゲーツ、3位ローソン、4位ミューラーと繰り上がる形となった。以下アルボン、シェルドン、ケルビンと続くリザルトとなっている。
これにより、ローソン、ケルビン、フィリップ・エリス、ゲーツに続き、ウィットマンは今季5人目のウイナーとなった。ランキングでは、依然ケルビン・ファン・デル・リンデがトップ。DTMの次戦第4戦はル・マン24時間レースと同週末となる8月20~22日、ドイツのニュルブルクリンクで開催される。
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