今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「三菱 コルト」だ。
三菱 コルト(2002年)
1999年にヴィッツがデビューしてから、フィット、マーチ(3代目)、デミオ(2代目)など、新世代のコンパクトカーが各メーカーから続々と登場した。すでに市場は大激戦となっているが、ついに三菱からも待望のコンパクトカー「コルト」が登場した。
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コルトは、三菱とダイムラークライスラーのコラボレーションによる、新開発のプラットフォームを供用する最初のクルマだ。スタイリングは「ワンモーションフォルム」と呼ばれる、ボンネットからルーフ後端まで伸びやかでエレガントなラインを採用したもの。ちょっと日本車離れした、どことなくフランス車っぽい雰囲気もあり、全体としてひとクラス上の上質な感じを醸し出している。
インテリアでは、フロントシートはベンチタイプとセパレートタイプが設定され、ベンチタイプでも意外とホールド性は悪くない。ミッションにはコラムシフトを採用しているので、コンソールもあまり張り出しておらず、フットスペースは十分広い。シンプルにまとめられたメーターやスイッチ類も、視認性や操作性は良く、機能的でムダがない。
搭載されるエンジンは新開発の直4DOHCで、1.3Lと1.5Lを設定。いずれもMIVEC(マイベック)と呼ばれる吸気バルブタイミング可変コントロールシステム(ホンダのVTECのようなもの)を採用し、高出力と低燃費を実現している。組み合わされるミッションも、新開発のCVTだ。
今回は1.5Lモデルを中心に試乗した。コラムシフトレバーをDレンジに入れ、アイドリングからスルスルと走り出すときの感触は、クリーブがあるので普通のトルコンATと変わらない。そのままスロットルを軽く踏んで加速していくと、2500rpmくらいをキープして車速は上がっていく。
全開加速も試してみたが、まず低いギアで6000rpmくらいまで回転を上げて初速を伸ばす。そこから回転数を保ったまま無段階に変速を続けていき、速度の伸びはクラストップレベルだ。普通に走っていればエンジンとミッションを緻密に制御して効率の良い走りを見せながら、ここぞというときは即座に最大パワー領域にシフトして加速する。このあたりのメリハリは、なかなか気持ちが良い。
1.3Lエンジンでも、普通に走っているときは1.5Lとのパワー差はあまり感じられないが、やはり1.5Lのほうが8psと1.2kgmのアドバンテージがある分、車速の伸びや到達速度が違う。
コーナリングではロールが少し大きめだが、ロールが深くなってもリアサスはしっかり粘ってくれ、しかも接地性は高い。サスペンションのストロークが大きいので、高速でも乗り味は悪くない。ステアリングはニュートラル付近が少し軽いが、直進安定性は保たれており、このクラスとしては十分なレベルにある。
コルトはライバルに対し後発となるだけに、走りも質感も満足できるものだった。だが、「これだけはライバルに負けない!」というサムシングに欠けるところが、残念なポイントといえるだろう。
■三菱 コルト 1.5スポーツX 主要諸元
●全長×全幅×全高:3870×1680×1550mm
●ホイールベース:2500mm
●車重:1030kg
●エンジン形式:直4・DOHC・横置きFF
●排気量:1468cc
●最高出力:72kw(98ps)/6000rpm
●最大トルク:132Nm(13.5kgm)/4250rpm
●ミッション:CVT
●タイヤ:185/55R15
●当時の価格:149万5000円
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