F1にタイヤを供給するピレリが5月初旬から準備を進めてきた戦略的な実験が、今週末のF1ベルギーGPの天候によって危ぶまれる可能性がある。
最近、北西ヨーロッパを襲った熱波は、大西洋から雨を呼び込む低気圧に置き換わった。今後4日間でイギリス、フランス北部、ベルギーでは、激しい雷雨により最大50mmの雨が降る見込みだ。
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F1のシーズン序盤戦が比較的単調な展開となり、ほとんどのチームが1ストップ戦略を採用する中、ピレリは”枠組みを超えた発想”で、戦略の意思決定プロセスにリスクを導入する方法を模索した。
タイヤのコンパウンドはシーズン開始時にホモロゲーションされており変更できない。そのため、既存のコンパウンドを違った方法で活用するべく、ピレリはベルギーGPのハードタイヤのコンパウンドをC1に指定した。ミディアムタイヤとソフトタイヤは昨年同様C3とC4のままであり、ハードタイヤが1ステップ飛ばして硬くなったわけだ。
ピレリのモータースポーツマネージャーであるマリオ・イゾラは、「チームは常に1ストップ戦略を適用する方法を発見する」と当時語っていた。
「我々は2ストップ戦略を押し付けるつもりはない。よりアクションを生み、予測不能でより良いレースになるからなんだ。しかし、3つのコンパウンドが非常に近い性能のため、彼らは常にハードとミディアムを使用して1ストップ戦略を採用しようとするのだ」
チームは通常トラックポジションを維持し、ピットストップ時のトラブル発生のリスクを最小限に抑えるため、1ストップ戦略でレースを走り切ることを目指す。しかしハードタイヤとミディアムタイヤの性能差が拡大すれば、理論上1ストップ戦略が2ストップ戦略より速さの面で劣ることになる。
また昨年ピレリは、今季のタイヤに関する主要な要件を明記した”ターゲットレター”を受け取った。その要件のひとつは、サーマルデグラデーション(熱劣化)への感度を低減し、ドライバーがより長く、より激しくタイヤを酷使できるようにすることだった。
ピレリはこの目標を達成したが、その成功は予期せぬ結果を伴うものとなった。事実上の1ストップレースが可能になるよう後押しする形となり、車両性能の均一化によりオーバーテイクが困難になり、行列のようなレースが相次ぐようになった。
スプリント開催となるベルギーGPでタイヤコンパウンドに一足飛びのステップを導入することで、ピレリはタイヤ選択に関して複雑な要素を加えることを目指した。スパ・フランコルシャンの高速レイアウトは、それを評価する上で適していたが、スパの天候は常に不安定だ。
雨によってマイアミGPのように興味深いレースが展開される可能性はあるが、ピレリは他の場所で実験に再挑戦する必要がある。これはファンが考えるよりもはるかに複雑なプロセスであり、単にあるコンパウンドを別のコンパウンドにランダムに置き換えるだけの問題ではない。
コンパウンド間の差があまりにも大きい場合、差が小さい場合と同じ結果になる。結局、チームの戦略が似通ってしまうのだ。ベルギーは実験の理想的な場所と見られていたが、ここでそれが実現できない場合、選択肢はあまり残っていないと見られる。
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