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水素エンジンのORC ROOKIE Corolla H2 Conceptは2022年も進化続ける。充填時間は1分半へ

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水素エンジンのORC ROOKIE Corolla H2 Conceptは2022年も進化続ける。充填時間は1分半へ

 3月19日、トヨタ自動車はENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第1戦『SUZUKA 5時間耐久レース』の会場内で記者会見を開き、ST-Qクラスに2021年から参戦するORC ROOKIE Corolla H2 Conceptについての取り組みについて発表した。2021年第6戦から比較して、航続距離は1回の水素充填で20%向上。さらに水素充填時間も短縮され、前回の2分弱から、1分半まで短縮された。

 スーパー耐久では2021年第3戦富士以降、毎戦行われている記者会見。この日はトヨタ自動車豊田章男社長、スバル中村知美社長、マツダ丸本明社長兼CEO、また、山梨県の長崎幸太郎知事も訪れた。冒頭、豊田社長は「東北・関東地区の地震で被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。一日も早い復旧を迎えられるよう、我々メーカーも全力を尽くしてまいります。また先日、長年日本のモータースポーツを支えてこられた、高橋国光さんが亡くなられました。これまでの数々の功績に対しまして、ひとりのモータースポーツファンとして、心より御冥福をお祈り申し上げます」」と会見をスタートさせた。

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 2021年のスーパー耐久富士SUPER TEC 24時間レースから参戦を開始し、水素を燃料としたレーシングカーとして世界的に大きな注目を集めたORC ROOKIE Corolla H2 Concept。トヨタ自動車の豊田章男社長が、ドライバー『モリゾウ』として自らステアリングを握り、『意志ある情熱と行動』、そしてスーパー耐久を舞台に、モータースポーツの現場でアジャイルに鍛え課題を解決し、『モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり』を進め、カーボンニュートラルへの取り組みとして参戦が続けられている。

 富士での初参戦以降、ORC ROOKIE Corolla H2 Conceptについては豊田社長が言うところの『つくる』『はこぶ』『つかう』という3つのプロセスについて、仲間たちを増やしながら活動が進められ、モータースポーツを舞台とすることで、5月の初戦から11月の最終戦までの約半年で、出力は24%、トルクは33%向上、異常燃焼の制御も実現するなど、エンジン性能をガソリンエンジン並みまで鍛え上げてくるなど劇的な改善が進められている。2022年はカラーリングも改められ第1戦から参戦することになったが、今回も大きな改善がなされた。

 まず『つくる』については、福島県浪江町(FH2R)の太陽光由来水素に加え、今回は新たに山梨県、東京電力ホールディングス、東レが連携して製造する、太陽光由来水素の供給を受け水素エンジンカローラに使用する。

 山梨県、東京電力HD、東レが連携して製造する水素は、山梨県甲府市の米倉山電力貯蔵技術研究サイト内に建設したP2G(パワー・ツー・ガス)システムにより、太陽光由来の電力で水を電気分解することで1時間あたり最大370Nm3製造され、山梨県内の工場などで利用されている。

 また山梨県は、このP2Gシステムを国内外へ展開し、水素エネルギー社会の構築を進めるため、東京電力ホールディングス、東レとパワー・ツー・ガスを専業とする国内初の企業『株式会社やまなしハイドロジェンカンパニー』を2月に設立し、P2Gシステムの技術開発だけでなく、営業活動にも力を入れる。

 その作られた水素を『はこぶ』プロセスについては、トヨタ輸送のバイオ燃料トレーラーや、CJPTのFC小型トラックなどで鈴鹿サーキットまで運ばれる。これまで、水素を運搬するために金属製タンクを使用していたが、3月15日に発表されたとおり、FCEVのMIRAIの開発で培った軽量かつ高圧で水素運搬可能な樹脂ライナー製タンクを搭載したカードルを使用する。

 そして『つかう』については、スーパー耐久第1戦鈴鹿でこれまでの課題である『航続距離の改善』、『水素充填時間の短縮』が行われた。

 まず航続距離の改善については燃料噴射を緻密にコントロールすることで異常燃焼を制御し、効率的にタンク内の水素を使うことが可能に。結果として1回の水素充填で走行可能な距離は、前回大会から約20%向上した。

 また、さらなる航続距離の改善を目指し、使用する水素を今回使用している気体水素から液体水素に変更する新技術への挑戦を開始したという。今後実現すれば、体積あたりのエネルギー密度向上により航続距離を大きく伸ばすことが可能になることに加え、使用できる水素の状態の選択肢も広がるとしている。

 水素充填については、2021年途中から車両の両側からの充填を可能にするなどの改良を行い、レースを重ねるごとに水素充填時間が短縮されてきたが、今回は将来の水素利用拡大を見据え、充填時の昇圧率をさらに高くする『大流量充填』に挑戦する。

 通常、一気に充填を行うとタンク内の温度が急上昇してしまうというが、上限温度に達しないよう安全を担保するとともに、大流量に対応できるよう充填口と配管を変更した。車両の両側から行う充填方式は変えずに大流量充填にすることで、水素充填時間は前回大会の2分弱から、1分半まで短縮された。

「富士のときは約5分かかっていた水素充填が現在約1分30秒、ラップライムも富士ではST-5同等であったものが、昨年の岡山ではST-4と同等になりました。6ヶ月で、これほどアジャイルな開発が可能になりましたが、今季は開幕が鈴鹿、最終戦も鈴鹿ということで、同じ道で同じクルマがどんな進化を示すのか、ぜひともご期待いただければと思います」と豊田社長。

「今季唯一ネガティブなのが、井口卓人選手がスバルさんに引き抜かれてしまいまして(笑)、非常にシニアなドライバーラインアップとなりました。なんと石浦宏明選手が最年少なので、そういった意味でも、世の中のシニアの皆さんには、32号車の走りで元気になっていただければと思います」

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