過去最多 366人が富士スピードウェイに
執筆:Remi Kohara(小原れみ)
【画像】歴代コルベット デザインをじっくり見る【ヘリテージ展示】 全295枚
撮影:Yoshihisa Miyazawa(宮澤佳久)
朝から真夏のような太陽が輝いた5月28日、富士スピードウェイのパドックにはコルベットやカマロなどのアメリカン・スポーツカーが続々と集まってきた。
この光景が見られるのは実に3年ぶり。
アメリカを代表する自動車ブランド、シボレーの愛好者を対象にした「シボレー・ファン・デイ2022」がついに開催されたのだ。
ゼネラルモーターズ・ジャパン株式会社(以下GMジャパン)がこのイベントを初めて実施したのが2018年。当日限りの贅沢な体験ができる内容で好評を博し、翌年2019年の開催も大盛況のうちに幕を閉じた。
2020年からコロナ禍で延期されてきたが、日常が戻りつつある今年の春ごろに実施についてアナウンスが流れ、ホームページなどで参加応募を受け付けた。
待ちに待った当日、会場を埋め尽くした車両は181台を数え、オーナーや同伴者、シボレー・ファンなど合わせた参加人数は366名、過去最多を記録。
この結果は、昨年日本に右ハンドルが導入された「C8」こと8代目コルベットの好調なセールスが影響しているようだ。会場を見渡すと実際にC8が圧倒的に多いと感じた。
コルベットは70周年へ 全世代揃い踏み
そんなC8オーナーたちを釘付けにしたのが歴代コルベットの展示である。
来年で70周年を迎える節目に際し、初代C1から現行モデルまでの8台がズラリと整列。1台ずつデザインを見比べたり、写真に収めるなど、ギャラリーの目を楽しませた。
そのほか盛りだくさんの企画で会場の熱気はヒートアップ! 実際にどんなプログラムが行われたのか、多くのファンを惹きつける理由を探るべくレポートしよう。
プログラムの目玉の1つ、コンクール・デレガンスは、参加車両の中から一般投票で美しさを競うコンテストだ。
本来コンクール・デレガンスはクラシックカーのコンペティションを指すが、ここでは年式やモデルを限定せず、どの車両にもチャンスがある公平なもの。
票を多く集めた1位から3位までの入賞者はステージで表彰され、GMジャパンの若松社長よりトロフィーが手渡された。
1位に輝いたのは、オレンジ・ボディにレーシングストライプが際立つAさんの愛車、2021年式C8だ。「このコルベットは2台目です、乗っていて本当に良かった!」と喜びの声を聞くことができた。
MAX 180km/h 走行プログラムに歓喜
レーシングコースで繰り広げられたのは、自分の愛車のハンドルを握って走行できる体験プログラム。先導者が付いた3グループが同時にスタートし、20分間の走行が楽しめる。
最高速度140km/hを上限とするエンジョイ走行は、カマロが多い印象だ。そのほかC7やC8、新型Z06なども参加していた。
ヘルメットとグローブを着用したドライバーが駆るアクティブ走行は、最高速度180km/hまで可能に。参加車両はC8が一番多く、そのほかV8サウンドを奏でるカマロSSの姿も。
富士スピードウェイの1周は4563m。最大の特徴でもある全長1475m のホームストレートを駆け抜けることができる本格的サーキット走行は、参加者にとって愛車のポテンシャルが確認できる貴重な体験となる。
「カーブは難しいけれど、アクセルを踏みつけて走ったホームストレートの爽快感は格別。マイカーで運転することがより楽しいと感じることができました」
体験者のひとりが語ってくれたように、走り終えたあとはみな一様に心地よい興奮と満足感に包まれていた。
プロのドライビングで本コースを周回
開催場所である富士スピードウェイの魅力を堪能できるサーキットタクシーは、イベントの中でも大人気のプログラムだ。
プロのレーシングドライバーが運転する助手席に乗って体験走行ができるというもの。ここで使用される車両はもちろん新型コルベットC8である。
シボレーブランドの代名詞と呼べるコルベットは、アメリカの多くの人々に愛されるアイコニックな1台で、その魅力を日本にも届けたいという思いから、C8の右ハンドル設定に繋がった。
また、日本でも活用できる装備を充実させたこともGMジャパンの思い入れの表れでもある。
そして、ミドシップへの転換は世界中に大きな衝撃を与えたが、多くの人を魅了している。伝統は守るものでなく進化させるもの、そういった強いメッセージを確信することができた。
現行型が好調のワケ やはりハンドル位置か
この日、GMジャパン広報の安部氏に話をうかがうと「C8の反響ぶりは、右ハンドル仕様の導入が大きく関係していますね。このファンイベントの参加者の中にもC8がきっかけで興味を持ったという方が大勢いらっしゃいます」とのこと。
なるほど、サーキットタクシーの希望者が多いのも納得だ。応募者の中から当選したラッキーな体験者の感想は「トップレーサーの気分を存分に味わった」「C8は面白いクルマ、欲しくなっちゃいました」「コーナーの食いつきがいい」等々。
一方、プロのドライバーは「ミドシップ化により重量バランスが変わり、限界性能が上がった」「従来のコルベットは馬力を上げてレーシングタイヤを履くなどパワー競争の道を辿ったが、C8はノーマルでもポテンシャルを十分発揮できるのが魅力」といった意見を聞かせてくれた。
このイベントの醍醐味は、ズバリ車両の魅力を伝える充実した体験プログラムにあり。シボレー・オーナーはもちろん、憧れを持つファンも有意義な1日を過ごすことができた。
毎年行われる予定なので、興味ある方はぜひ来年参加してみてはいかがだろう。
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