ハイスペックではないけれど、街なかでキビキビと走れる小さなクルマたち。日本やヨーロッパのクルマに多く、走りの楽しさで絶大な人気を誇った。近年ではめっきり数を減らしたが、絶滅はしていない。その刺激を今こそ味わおう!!
※本稿は2026年4月のものです
【画像ギャラリー】N-ONE RSにオーラNSIMO、GRヤリス、そしてプジョー 208GT……街中でキビキビ動く令和のホットハッチをイッキ見!(27枚)
文:嶋田智之/写真:中島仁菜、トヨタ ほか
初出:『ベストカー』2026年5月26日号
限られたパワーを一般道で思う存分
パワーの大きなクルマは確かに楽しいし、めくるめくスピードの世界へと運んでくれるクルマには興奮させられる。パフォーマンスの高さというのは、多くのクルマ好きの本能の部分を揺さぶる魔力のひとつだ。
けれどその裏側には、持ち前のパフォーマンスを発揮できる場面がかなり限られる現実がある。日常領域、つまり普段の街乗りなどでは最も美味しい部分を味わえない。それはちょっとしたストレスだったりする。
だから日々の相棒として選ぶなら小さなスポーツモデルがいいな、と思う。パワーやスピードに依存しない楽しさや気持ちよさが用意されていることが多いからだ。どんなシーンでもキビキビ走ってくれる小気味よさなど、その筆頭だろう。
集められた4台は、そうしたクルマたちの代表格と目されるモデルたちだ。都内の一般道で走らせてみたら、それぞれしっかりとした個性が感じられて、思わずニヤニヤさせられた。
軽自動車枠を超えた総合バランスの高さ……ホンダ N-ONE RS
●評価
・キビキビ度:★★★★☆
・魅力度:★★★★★
・ユーティリティ:★★★☆☆
・コスパ:★★★★★
今回いちばん楽しく感じられたのは、意外やホンダ N-ONE RSだった。
気づかい最小限で済むもっとも小さな車体。右足に力を込めてもそうたいしたことにはならないのに、必要充分にして回すのが楽しいエンジン。カチカチと気持ちよく決まる、絶賛したいくらい心地よい6MTのシフトフィール。
1速から5速までが絶妙にクロースして、楽しさを繋いでいけるギアレシオ。リアをしっかりと安定させつつも、荷重移動の自由度の高さを武器に気持ちよく曲がってくれるシャシー。
キビキビ感が濃いというより、ドライバーの操作に正確な反応で応えてくれるという印象が強いのだが、いかなる道もスイスイ行ける気持ちよさは格別。ミニマムなスポーツモデルとしてはピカイチの出来。ちょっと欲しくなった。
レース屋が仕立てた電動スポーツの真骨頂……日産 ノートオーラNISMO 4WD
●評価
・キビキビ度:★★★★★
・魅力度:★★★☆☆
・ユーティリティ:★★★★☆
・コスパ:★★★★☆
キビキビ感という点での一番を選ぶとしたら、日産 オーラNISMO 4WDか。誤解を恐れずに言うなら、乗り味が最もレーシングカーライクにも感じられた。
というのも、バネもダンパーも車体の一部もハッキリと引き締められていて、硬い印象が強いからだ。調律が行き届いていて、脚は滑らかに伸び縮みするし底突き感もないから不快さはないのだが、その古典的と言えそうなテイストと正確にして鋭いクルマの動きには胸が躍らされる。
駆動力配分が緻密に制御されているモーター駆動4WDの働きも大きい。実用域では充分に元気を感じさせてくれるパワートレーンの味付けは、街中でも楽しい。日常領域での楽しさを重視した乗り味は、今の時代、正解だと思う。
スペックの高さは一番! 街なかではややウズウズ……トヨタ GRヤリス RZ
●評価
・キビキビ度:★★★★☆
・魅力度:★★★★★
・ユーティリティ:★★★☆☆
・コスパ:★★★☆☆
スポーツモデルとして段違いに素晴らしかったのは、GRヤリス RZだ。
スポーツカーとしての純度は高く、モータースポーツとの親和性も高い。何よりパフォーマンスがピカイチだ。鋭い。伸びる。文句なしに速い。街中なんぞでは言いがかりすらつけられないくらいよく曲がる。
キビキビしてると表現するには腰が据わった感が強いけど、楽しく優れたハンドリングの持ち主であることは保証できる。
ただし、である。さすがに今回の企画趣旨には合ってない。街なかで走らせる限りでは、ここから先がめちゃめちゃいいところなのに! と思わされることばかりなのだ。その先に楽しく気持ちいい世界が待ってることを知っているのに、味わうことのできないジレンマ。申し訳ないけど完全にステージ違いだ。
【限界域への挑戦】GRヤリス2026年モデル
GRヤリスは進化を止めない。2026年3月に発表された2026年モデルは、プロ選定の新開発GRステアリングを初採用。小径化とスイッチ配置の最適化で、ドライブ時の操作性を一層向上させた。
さらに、ブリヂストン製ポテンザRACEを標準装備化。これに対応するべく足回りや電動パワステも再開発している。
厳しい路面で鍛えたフランス車の本気……プジョー 208GT ハイブリッド
●評価
・キビキビ度:★★★★★
・魅力度:★★★★★
・ユーティリティ:★★★★☆
・コスパ:★★★★☆
そして小型スポーツモデルとしてのトータルバランスがいちばん高いと感じられたのが、プジョー 208GT ハイブリッドだった。
しっとり感と度の過ぎないキビキビ感のハーモニーが、まずは気持ちいい。都市部から外に出た丘陵地帯では嫌というほどカーブが続くフランスで鍛えられてきた、特有の足腰。必ずしもヴィヴィッドじゃなくてごく自然な部類なのだけど、気づけば楽しさと気持ちよさを満喫している自分がいる。
MHEVの小さなモーターも街乗りレベルではしっかり効き目を感じさせてくれて、加速も充分に心地よい。配点とは別に今回の中から個人的な一台を選ぶなら、N-ONE RSと悩んだ末、僕はこれを選ぶ。
いや、実際街中で走らせて楽しさを堪能できるクルマはたくさん。アバルト500eなんて、すべてを引っくるめた中のお気に入りベスト5に入っているほど。
もはや完全に“飛ばせない時代”。パワーやスピードに依存しない楽しさを持つクルマ、もっと見直されていいんじゃないかと思う。
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みんなのコメント
スイフトスポーツでも街乗りでは
全く使い切れない動力性能だし、
足グルマ兼オモチャとしてアルト
やミラのMTが無くなってしまった
のは残念です。