F1ハンガリーGPの決勝レースが行なわれ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝した。フェルスタッペンはこれで今季9勝目。レッドブルは12連勝と、最多連勝記録を更新した。
ハンガリーGPの決勝レースは、完全なドライコンディションでのレースとなった。ハンガロリンクの上空は晴れ渡り、気温29度、路面温度は50度と、非常に暑いコンディションでスタートを迎えた。
うまくスタートを決めたのは、2番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)で、一気に首位を奪った。対してポールポジションからのスタートとなったルイス・ハミルトン(メルセデス)は出遅れ、マクラーレン勢2台が先行。2番手にオスカー・ピアストリ、3番手にランド・ノリス、4番手にハミルトンという隊列になった。
後方では混乱もあった。5番グリッドの周冠宇(アルファタウリ)がスタートで出遅れ、各車に先行を許してしまう。なんとかレーシングスピードに乗せ、ターン1に突入したが、ここでブレーキングミス。前を行くダニエル・リカルド(アルファタウリ)に追突してしまったのだ。しかもこのリカルドがさらに前を行くエステバン・オコン(アルピーヌ)を玉突きのような格好で押してしまい、そのオコンはアウト側にいたチームメイトのピエール・ガスリーに接触。アルピーヌの2台はここで大ダメージを負い、ピットに戻ってリタイアすることになった。
なおこの混乱の原因を作ったとして、周には5秒のタイム加算ペナルティが科された。
マクラーレン勢のペースはよく、ピアストリはフェルスタッペンとの差を1秒強でキープし、レース序盤を踏ん張った。しかし底力はフェルスタッペンの方が上。次第にペースの差が顕著となり、2台の差は徐々に拡大していった。そのピアストリの後方2秒にノリス、さらに2秒後方にはハミルトンが続き、それをフェラーリ勢2台とレッドブルのセルジオ・ペレスが追いかける展開となった。
当初このレースでは、路面温度が高くなるため、ソフトタイヤの出番はないものと見られていた。しかし、4台のマシンがソフトタイヤでのスタートを選択。そのうちの1台は角田裕毅(アルファタウリ)で、これを活かしてスタートの混乱を潜り抜け、17番グリッドから11番手へとポジションを上げてレース序盤を戦った。しかしタイヤのデグラデーションが大きいのか、9周を走り切ったところでピットストップ。このタイミングでは、他にもひとつ前を走るランス・ストロール(アストンマーチン)らもピットに飛び込み、ハードタイヤに履き替えた。
この時、アルファタウリは角田の左フロントタイヤの交換に手間取り、大きくタイムをロス。バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)や、先にピットストップしていたアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)らに先行されてしまった。
上位勢で最初にピットインしたのはカルロス・サインツJr.(フェラーリ)。予選Q2落ちを喫し、11番グリッドからのスタートとなったサインツJr.は、上位勢の多くがミディアムタイヤでスタートした中、角田らと同じソフトタイヤを履いて決勝に臨んだのだった。これが功を奏してポジションを上げたが、デグラデーションは大きく、たまらずここでピットインしたのだ。続く16周終了時点で、4番手を走っていたハミルトンもピットストップ。さらにピアストリやノリス、そしてシャルル・ルクレール(フェラーリ)らも、続々とピットインを行なった。
マクラーレンは、先にノリスをピットストップさせたことで、ピアストリをアンダーカット。実質的な2番手と3番手が入れ替わることになった。また左リヤの交換に時間がかかったルクレールは、順位を落とした。
■フェルスタッペン孤高の走り。他の戦略に我関せず
フェルスタッペンは後続がピットストップを行なっても、我関せず。淡々と自らのペースをキープしていった。しかもそのペースが落ちる兆候は見えなかった。それでも、23周を走ったところでピットインし、ミディアムからハードへとタイヤを交換した。
チームメイトのペレスは、25周を走り切ったところでハードタイヤからミディアムへと履き替えた。ペレスはコースに復帰した後、サインツJr.とラッセルを立て続けに攻略し、5番手となった。
ペレスの勢いは止まらず、ハミルトンとの差を徐々に削り取っていき、真後ろへ。ただなかなかオーバーテイクすることはできなかった。
コース上でオーバーテイクするのは難しいと判断したレッドブルは、42周を走り切ったところでペレスをピットに呼び込んだ。このタイミングで、3番手を走っていたピアストリもピットイン。ペレスはピストリの1.5秒後方でコースに戻り、表彰台獲得の可能性をグッと手繰り寄せた。
ノリスも44周を走り切った段階でピットへ。ただペレスとポジションを争っていたハミルトンは、ペレスの動きには反応せず、自らの戦略に固執した。
ペレスは前を行くピアストリを追いかけ、47周目のターン1でオーバーテイク完了。4番手となった。
ハミルトンが2回目のピットストップを行なったのは49周終了時点。フェラーリ勢の前でコースに復帰することはできたが、それでも5番手。スタート時からは4つ順位を下げた格好だ。
先頭のフェルスタッペンは、51周を走り切ったところで2回目のピットイン。ミディアムタイヤを履いた。後続とは十分な差を築いていたため、首位を譲ることなくコースに復帰。まさに盤石の体制だ。しかもピットアウト直後に1分20秒504のファステストラップを記録。他より2秒も速いペースで走ってみせた。しかもその後はペースを落とし、クルージングの態勢に入った。
後方ではハミルトンがピアストリに急接近。57周目のターン1のブレーキングでピアストリのイン側に入り、オーバーテイク完了。これで4番手となった。
■レッドブル、1988年のマクラーレン・ホンダの記録に並ぶ開幕11連勝
結局フェルスタッペンは、後続の33秒の差をつけてトップチェッカー。今季9勝目を挙げると共に、マイアミGPからの連勝を7に伸ばした。また、レッドブルとしては昨年最終戦アブダビGPからの連勝を12に伸ばし、連続勝利の新記録を樹立。開幕からの連勝も11とし、16戦15勝を記録した1988年マクラーレン・ホンダの記録に並ぶことになった。
2位はノリスが入り、これで2戦連続の2位表彰台。今回のハンガリーGPの舞台であるハンガロリンクは低速サーキットであり、マクラーレンには向かないとも言われていたが、そんな懸念はどこ吹く風。そのパフォーマンスはどうも本物のようだ。
ペレスもレース終盤にペースを上げ、ノリスに急接近したが、3.8秒届かず3位だった。ハミルトンも終盤ペレスとの差を詰めたが、1.5秒届かなかった。ピアストリが5位。ジョージ・ラッセル(メルセデス)がQ1敗退の悪夢から12ポジションアップの快走を見せ、6位に入った。フェラーリ勢は7位と8位が精一杯。アストンマーチン勢が9位と10位に入り、5チームが入賞を分け合う形となった。
予選で好調だったアルファロメオ勢は無得点。今回がF1復帰レースとなったダニエル・リカルドは、ミディアムタイヤでの40周という最後の厳しいスティントをうまくマネジメントして13位フィニッシュ。角田はピットでのタイムロス、そして戦略がうまくいなかなかったことが影響し、結局15位でのフィニッシュとなった。
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みんなのコメント
ツノダーがいつもの15位
周はなかなか上手い混乱作ったな
期待裏切られまくり