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【フォルクスワーゲンに何が起きたのか?】#2 コースの種類も数もケタ違い!ドイツのプルービンググラウンドに潜入

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【フォルクスワーゲンに何が起きたのか?】#2 コースの種類も数もケタ違い!ドイツのプルービンググラウンドに潜入

ついにプルービンググラウンドへ

関係者の努力によりようやく実現したフォルクスワーゲンのプルービンググラウンド(テストコース)訪問では、彼らが『骨太なクルマ作り』に打ち込む理由が理解できたような気がした。

【画像】筆者が訪れた、エーラ=レッシエンと呼ばれるフォルクスワーゲンのプルービンググラウンド! 全23枚

エーラ=レッシエン(Ehra-Lessien)と呼ばれるプルービンググラウンドは、フォルクスワーゲン本社が建つウォルフスブルグからクルマで30分ほどの距離にある。

ドイツ北部の辺鄙(失礼!)な土地になぜ巨大なプルービンググラウンドを設けたかについては諸説あるが、そのうち、最も重要なのは、なんといっても本社から近いことにあったはず。

一方、ドイツが東西に分かれていた冷戦時代、両国の国境に近いこの地域は航空機の飛行が禁止されており、上空からスパイされる恐れが低かったために選ばれたという噂も真しやかに囁かれている。

ちなみに、エーラ=レッシエンの完成は、1989年にベルリンの壁が崩壊する約20年前の、1968年のことだった。

敷地面積の広さにも圧倒された。正確な数字は不明ながら、地図で確認すると南北に10km、東西に1kmほどの細長い長方形をしていることがわかる。私はこれまでにいくつかの自動車メーカーのプルービンググラウンドを取材したことがあるが、ここまで広い施設は見たことがない。おそらく、私が知っている施設の中で最も広いものの、3~4倍は優にありそうなスケールである。

それだけに、施設内に用意されたテストコースの種類と大きさにも、目を見張らされるばかりだった。

高速周回路は直線部分だけでも9km

例えば、一般的にもっとも広大なスペースを必要とする高速周回路は、直線部分だけで実に9kmに達する。同行したエンジニアは「ここから見渡すと、地球が丸いことがわかるよ」と私に教えてくれたが、まさにそれくらいの壮大さだった。

ちなみに、フォルクスワーゲン・グループの一員だったブガッティが、シロン・スーパースポーツ300+というモデルで490.484km/hという量産車史上最速記録をマークしたが、その舞台となったのが、このエーラ=レッシエンの高速周回路だった。恐らくは、エーラ=レッシエンでなければ、この記録も打ち立てられなかったことだろう。

こちらも自動車メーカーのプルービンググラウンドとしては定番の乗り心地評価路も、規模、バリエーションの豊富さで群を抜いていた。とりわけ、直径20cmほどの切り株状のものが並んだコースは、路面との段差が10cmに迫ろうかと思えるほど条件が厳しく、しかもそれがランダムに並んでいるというこだわりようだ。

ちなみに、間隔をバラバラにするのは様々な周波数の入力を試すことで、「どこかに潜んでいるかもしれない弱点」まであぶり出そうとした結果と推測される。言い換えれば、実に意地の悪い乗り心地評価路といえる。

フローリアン・ウンバッハの出迎え

話の順番が前後したが、この日、エーラ=レッシエンで私を出迎えてくれたのは、事前に行ったリモートセッションで私が「ゴルフ8」と名指しにした途端に態度が微妙に変化したエンジニアで、名前をフローリアン・ウンバッハという。

フローリアンは出迎えてくれただけでなく、ゴルフGTIの助手席に私を乗せて、様々なコースを激走してみせた。その腕前は実に確かなものだったが、それもそのはず、フローリアンはヘッド・オブ・フォルクスワーゲン・ビークルダイナミクスという要職に就いているのだ。つまり、フォルクスワーゲン・ブランドのビークルダイナミクスについて全面的な責任を負っているのが、このフローリアンだったのである。

彼は、ときおりコースの特徴を教えてくれたりするが、クドクドとした説明は一切なし。「そんなことしなくても、私と一緒に走っていれば、すべて理解できるよな?」と言わんばかりの様子だった。

確かに、彼がエーラ=レッシエンに招いてくれた理由は、彼に解説されなくても理解できた。それは「私たちはここまで条件が厳しいプルービンググラウンドで日々テストを重ねている。フォルクスワーゲンの製品(注:エーラ=レッシエンではフォルクスワーゲン・ブランドだけでなく、フォルクスワーゲン・グループのすべてのブランドがここで様々な試験を行っている)が優れているのは、当然のことなのだ」というものだろう。

彼の主張は、ゴルフ8以前のフォルクスワーゲン製品で私が経験してきたことと完璧に一致している。では、なぜゴルフ8は、フォルクスワーゲンらしからぬ微振動を残したまま発売されたのだろうか。

これについてフローリアンが腰を落ち着けて語り始めたのは、本社の広報担当と3人で夕食のテーブルを囲んだときのことであった。

(#3へとつづく/5月9日昼頃公開予定)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN

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