フランスを代表する最新スポーツカー
わずか数%の生息数といわれるスポーツカー。しかし現代のそれらには大きく分けて2種類のタイプが存在する。1つは700~800馬力もしくはそれ以上という高出力エンジンを搭載するモデル。スペックを眺めているだけでうっとりするもよし、めくるめくスピード感を味わうもよしというタイプだ。
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もう1つは、エンジン出力こそ300馬力前後ながら軽量かつコンパクトなボディーの全身を駆使して走る、人車のシンクロ感をより身近に味わえるタイプだ。今回、紹介するアルピーヌ「A110」は後車(者)にして、今のフランスを代表するスポーツカーとして覚えておきたいモデルと言っても過言ではない。
ところで、アルピーヌ「110」には、先代が在る。60年代から70年代にかけて、ラリーで成功を収め、当時のアルピーヌ社が手がけたモデルの中でも、今でも根強い人気を誇る。アルピーヌ社は1956年に設立され、1973年にルノーの傘下に入り、そこでオリジナルモデルの製造は途絶えていたが、2012年にブランドが復活した。
2015年のル・マン24時間レースでコンセプトカーが、そして2017年のジュネーブショーで新世代のアルピーヌ「A110」がデビューを果たした。同年のル・マン24時間レースに取材に行った際、会場にはイメージカラーのブルーとアルピーヌの“A”(ブランドロゴ)が鮮やかに映えるブースが仕立てられ、そこに多くの人が吸い込まれていったのを今でも鮮明に覚えている。
アルピーヌという名前を聞いて、ピンときた方はかなりのクルマ通かもしれないが、そうでなくても、スポーツカー好きが注目するモデルであることに変わりないことを会場で実感した。日本では2018年の秋に発表され、その時は50台の限定のファーストエディションに1000台以上の申し込みがあったという。
現在は、ベースモデルの2仕様(ベーシックな「ピュア」とより装備が充実した「リネージ」)に加え先日、よりスポーティーな走りとスタイルを持つ「S」モデルがラインアップに加わった。今回は「リネージ」と「S」モデルを中心に「A110」を紹介したいと思う。
軽さと質実の高バランス
新型のアルピーヌ「A110」は、かつてのモデルへの敬意や尊敬というオマージュを込めつつ、デザインや性能/機能においては現代のテクノロジーとともに魅力的な復活を遂げたと言えるだろう。リバイバルという言葉が頭に浮かぶ方もいるはずだ。これまでも「ビートル」や「MINI」「FIAT500」などがデザインに現代流のアレンジを加えつつ登場、今なお人気がある。
ただ、それらと「A110」が大きく異なるのは、名前や姿形に当時に思いを馳せることができるだけでなく、スポーツカーであるアルピーヌ「110」は“こうあるべき”的な資質にまでこだわる技術を集結し、フィーリング(感性)に至るまで追求されているという点だ。そこで走らせても「A110」らしい豊かなエモーションが得られるのは想像通り。一方で、新型がかつてのモデルと異なるのは、毎日、快適で使いやすく、ドライバーを選ばないモデルとして生まれている。
ボディーサイズは全長4205mm×全幅1800mm×全高1250mmで、ホイールベースは2420mm。車重は仕様により若干異なるが1100kgくらい。ちなみに、ボディーの96%がアルミ製であり、さらにSabelt製バケットシートや鍛造アルミホイールなど軽量=ライトウェイトスポーツカーとしてのこだわりは重量に見事に反映されている。初代モデルはもっと小ぶりで背も低いが、ライバルとされる例えば、ポルシェ「ケイマン」(718型)より全長は20cmほど短く全高も低く、軽い。
また、新型「A110」の1.8L直4ターボエンジンは、シートの後ろに搭載するミッドシップレイアウトで、駆動方式は後輪で駆動するMRだ。トランスミッションは7速AT(7DCT)。今やF1だって、MTではない時代。ロードスポーツカーであるアルピーヌ「A110」は万人がオートモードでゆる~くクルーズすることも、パドル操作でよりキビキビと走らせることができる。
ちなみに、トランスミッションのセレクトは、P、D、Rのプッシュボタン式。おかげでインテリアに突起物もデザインには新世代感が生まれている。サスペンションは前後にダブルウイッシュボーンを採用しており、ブレーキはBrenbo製。フロントにはアルミものブロック対抗式4ピストン、リヤにアルミシングルピストン(電動パーキングブレーキ内蔵)。タイヤはミシュランと共同で開発した「パイロットスポーツ4」を履いている。スペックに不足はない。ちなみに、前後重量配分はフロント44:リヤ56だ。
シンプルかつ効果的な3モデルの差別化も魅力
「A110」は、走り一辺倒のスポーツカーではない。フランスの粋を身に纏うように、個性的なドライピングを楽しむことができるクルマだ。スポ根系の汗やオイルのにおいは極めて薄く、むしろフレグランスが漂っていても不思議ではないくらい雰囲気はたっぷり。エクステリアデザインは、かつての「A110」の特徴を捉えつつ、ほどよく洗練されたボディーが現代のビル群やよく整備された郊外のワインディングロードのどちらにも映える。
低く構えられた、丸みを帯びた固まり感のあるフォルム。ボンネット前端に配置された4灯のライトはアルピーヌの象徴的なアイコンだ。シンプルでありながら、当時のモデルを彷彿とさせる佇まいが感じられる。現代の多種多様なスポーツカーに囲まれてもその個性が埋もれることはない。
ブルーの「A110」がアルピーヌの存在を今も色濃く残しており、新型でもそれを彷彿とさせるブルーが用意されている。選択肢は少ないが、他のカラーで新しさを纏うというアイデアもおすすめだ。実用性を保つラゲージの収納力も特筆すべきポイントだ。エンジンがリヤに搭載されているおかげで、フロントフードの下にかなり深い100L分のスペースがあり、さらにリヤにも96Lのスペースが担保されている。何かと荷物の多い女性とのドライブ旅行では、多少荷物を減らす必要が生じるかもしれないが、実用性は十分保たれているのは間違いなし。
インテリアは目の肥えた大人が2シーターのどちらに身を沈めても心地よく、質と美を楽しめる空間に仕上がっている。ベーシックなピュアモデルのインテリアでさえ、レザーやマイクロファイバーで表皮が構成されるSabelt製のバケットシート、カーボンやアルミ、レザーをあしらったインテリアを採用し、ブルーのステッチが絶妙なアクセントとなっている。
新型は、ボタン式のシフトセレクトをはじめ、スイッチ類が圧倒的に少ないおかげで、コクピットまわりは非常にシンプル。オーディオ操作のほか、Gセンサーやトルク/パワーなど様々な車両情報の呼び出しや設定はダッシュセンター上の7インチマルチファンクションタッチスクリーンで行なう。ちなみに、運転席前のフルカラーのTFTメーターも走行モードごとにグラフィックが変わる。USB、Bluetooth機能は、もちろん完備。スピーカーはフランスのFOCAL社製だ。
快適装備の増す「リネージ」は、シートがブラウンのオールレザー張りで、シートの高さ調整、シートヒーター、パーキングセンサーなどが追加される。性能面は変わらず、装備がちょっと良くなって価格は30万円アップ。ただし、高さ調整の有無だけはオーナーになる人はこだわったほうがいい。身長162cmの私には必要だった。アルミ製のペダルやフットレストをより効果的に活用するためにもドライビングポジションはとても重要。「S」モデルは内外装や性能のスポーティーさが増す。エクステリアはより軽量と低重心にこだわったカーボンルーフの採用をはじめ、オレンジ色のブレーキキャリパー(ピュアはブルー、リネージはブラック)、ALIPINEをブラックに変更して装備。
インテリアはオレンジステッチがアクセントカラーとなり、Sabelt製シートにはレザーとディナミカ素材(スエード調人工皮革@旭化成の欧州向け製品)を採用、内装にもブラックのディナミカを多様し、ベースモデルに対してよりスポーティーで上質な雰囲気へと差別化を図っている。厳ついエアロやバンパーなどの武装を施さず、スポーツを体現しているおかげで、品が良い。性能面ではエンジンが「ピュア」や「リネージ」より40馬力ほどハイパワー化(292馬力)され、ブレーキ性能もアップ、シャシーも専用チューニングされ、専用開発されたミシュランのタイヤのサイズもフロント215mm、リア245mmとなりグリップ力アップが図られている。
フランスのブランドらしいデザインセンスが感じられるアルピーヌ「A110」はデザインや走行性能にはシンプルながら効果的な差別化が行なわれている。そこでどういう使い方、過ごし方をするかが明確であればモデル選びはそれほど苦労しないのでは……と、私なら友人に言うだろうな。
■関連情報
https://www.alpinecars.jp/model/a110/
文/飯田裕子(モータージャーナリスト) 撮影/雪岡直樹
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みんなのコメント
過去の名車をリバイバルするの
日本は?名前だけのが多いね
トヨペットのアレくらい?
ルノー車は選択肢にはない!
向こうの部品が軟弱なことをZが教えてくれた!
日産はルノーと方向背うが違う!
フランス以外ルノー車を購入する国はない!
だからルノーは独立して独り立ちを勉強しないといけない!