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個人で楽しむ贅沢クーペ ポンティアック・グランプリ(1) 馬力が削がれた時代の希望の光

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個人で楽しむ贅沢クーペ ポンティアック・グランプリ(1) 馬力が削がれた時代の希望の光

個人で楽しむ高級クーペが数少ない希望の光

苦境に立たされていた1970年代のアメリカの自動車市場で、数少ない希望の光となったのが、パーソナル・ラグジュアリークーペだ。大らかなパッケージングを、巨大なボディと華やかなスタイリングで包んだ、至極アメリカらしいモデルといえた。

【画像】馬力が削がれた時代の希望の光 ポンティアック・グランプリ 同時期の欧州製クーペたち 全135枚

製造コストは、ファミリーサルーンと同等だったかもしれない。しかし、巧みに演出された特別感のおかげで、遥かに高い価格で売ることができた。

1970年代初頭まで、フルサイズクラスを席巻していたのが、全長が6.0mへ迫るリンカーン・コンチネンタルやキャデラック・エルドラド。その時すでに、より安価でひと回り小さい上級クーペにも、需要があることへマーケティング担当者は気付いていた。

読みは正解だった。最盛期には、アメリカの新車販売の1割を占めたほど。

馬車の優雅さを意識したデザイン

パーソナル・ラグジュアリークーペは、上流階級が乗ったような、馬車の優雅さを意識したデザインを得ていた。フェイクレザーのルーフや、太いリアピラー部分に開けられたオペラウインドウなどが、その特徴といえた。

1971年まで、圧倒的な加速力は当然の期待項目といって良かった。充分な排気量を与え、大きなキャブレターを載せれば、簡単に達成できた。

しかしマスキー法が施行されると、二次空気導入システムや排気ガス再循環バルブ、触媒の装備、低圧縮比化に点火タイミングの遅延など、排気ガスを浄化する技術が欠かせなくなった。その結果、最高出力は50馬力以上減ることも珍しくなかった。

無鉛ガソリンへの切り替えや、企業平均での燃費規制、衝突安全性の強化なども迫っていた。アメリカ・デトロイトを取り巻く環境は、厳しさを増す一方。ボディは重くなり、デザインの制約は大きくなり、走りへプラスに働く側面はなかった。

非力になるエンジン 人気を保った高級クーペ

同時期に、最高出力はエンジン単体のグロス表示から、車両へ搭載された状態でのネット表示へ変更。減少幅は曖昧になったとはいえ、5.0LのV8エンジンで136ps、6.5Lでも182psは、ありえないほど非力といえた。

これへ対応するため、ボディのコンパクト化は不可避だった。1980年代が始まる前には、アメリカン・ビッグ3は小さく軽いクルマの開発へ着手していた。そんな激動の1970年代にあって、パーソナル・ラグジュアリークーペは堅調な人気を維持した。

今回ご紹介するポンティアック・グランプリも、その1台。1973年に登場した4代目は、1977年までに合計85万台という過去最高の販売を記録している。ユーザーの関心を保つ要素として、エレガントなイメージは効果的に働いた。

1962年から1964年に提供された初代は、開発をジョン・デロリアン氏が牽引。ラグジュアリークーペでありつつ、パワフルなマッスルカーでもあった。そして1965年にバトンタッチした2代目で、スポーツ・ラグジュアリー路線へ舵を切っている。

モーターボートを彷彿とさせるリア回り

4代目グランプリでは、ゼネラル・モーターズのAスペシャル・プラットフォームが基礎骨格。例によって長大なボディのドアには、フレームレス・ガラスが与えられた。

8km/h以下の衝突に耐える、通称5マイルバンパーは、大胆なスタイリングへ溶け込んでいた。リアの滑らかなラインは、カーデザイナーのビル・ミッチェル氏が好んだ、モーターボートを彷彿とさせる処理だった。

当時のアメリカ車らしく、グランプリのスタイリングには毎年のように手が加えられた。その中心はフロント周りで、ヘッドライトは当初丸目2灯だったが、1976年式から角目4灯へ切り替えられている。

ワイドトレッドで、前後ともコイルスプリングが組まれたサスペンションは、ポンティアックが強みだと主張した部分。可変式パワーステアリングや、フロントのディスクブレーキなどは、欧州車の流れへ沿った技術といえた。

この続きは、ポンティアック・グランプリ(2)にて。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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