2020年1月そして2月の軽自動車と輸入車を除いた新車登録台数で、連続1位に輝いたのは、2019年1月にデビューしたコンパクトSUVのトヨタ「ライズ」となった。
ご存じのとおり、トヨタ「ライズ」はダイハツ「ロッキー」のOEM供給車で、本家ロッキーも1月は3153台で21位、2月は3411台で24位とランクインしているが、ライズはその約3倍の販売台数を記録している。
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軽自動車を中心にOEM供給は盛んに行われているが、ライズ/ロッキーのようなOEM車がベース車の販売台数を上回るのは稀だ。しかし、販売台数ランキングのトップにはならないものの、昔懐かしい音楽番組のベストテンで常に10位付近にいて、ベスト圏外に落ちても再びランクインする、まるで演歌のような息の長いモデルがある。それが、今回中古車事情を紹介するトヨタ「ルーミー/タンク」だ。
元々、スズキ「ソリオ」が開拓したリッタカーのハイトワゴン市場に、後発モデルとして参入。あっという間に年間20万台に迫るビッグマーケットを築き上げたのだ。2019年の年間販売台数を見てもルーミーは9万1650台で7位、タンクは7万4518台で11位と年間を通じて安定した販売台数を記録しているハイトワゴンのリッターカーだ。
このルーミー/タンクはダイハツ「トール」のOEM供給車で、このトールも2万6736台で年間32位となっている。さらに、トールはスバルにもOEM供給され「ジャスティ」として販売されているのだ。ここでは、ルーミー/タンクをはじめ、トールそしてジャスティの最新事情に迫ってみる。
文/萩原文博
写真/TOYOTA、DAIHATSU、SUBARU
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■軽自動車を卒業した子育てファミリーをターゲットに開発
トヨタ「ルーミー/タンク」は、2016年11月に広々とした空間“Living”と余裕の走り“Driving”を掛け合わせた、「1LD-CAR(ワン・エル・ディーカー)」をコンセプトとして、開発されたハイトワゴン。
リアには両側スライドドアを採用し、広い室内空間は多彩なシートアレンジが可能で、子育てファミリーをはじめとした幅広いユーザーのニーズに応えるモデルとなっている。ルーミーはメッキを多用した大きなグリルが特徴で、重厚感のある力強さを表現。
タンクは、トヨタのキーンルックをモチーフとした切れ長のヘッドライトと、大開口アンダーグリルの組み合わせによって躍動感を強調。そしてルーミー、タンクそれぞれにメッキ加飾や専用バンパー、そしてツートーンのボディカラーを採用したカスタムグレードを設定している。
クセの少ないフロントマスクを採用するルーミー。トヨタ店とカローラ店扱いの車種となる
ルーミーとは異なるキーンルックを採用したタンク。タンクはトヨペット店とネッツ店扱いの車種となる
搭載されているエンジンは、最高出力98psを発生する1L直列3気筒ターボと、最高出力69psを発生する1L直列3気筒自然吸気の2種類で、両エンジンともにCVTが組み合わされる。
駆動方式はFFを中心に、自然吸気車だけに4WDを設定。燃費性能は、JC08モード燃費で21.8~24.6km/Lを実現している。
運転支援システムは、デビュー当初衝突回避支援システム「スマートアシストII」を搭載。対車両の衝突被害軽減ブレーキ機能に加えて、誤発進抑制制御機能(前方・後方)など5つの機能がパッケージング化され、ドライバーをサポート。当時のトヨタ車のコンパクトカーのなかでは随一の安全装備を装着したモデルだった。
ファミリー層が使うために十分なスペースを確保。歩行者も検知対象とする「衝突回避支援ブレーキ機能」や、夜間走行時に歩行者の早期発見に貢献する「オートハイビーム」などを採用する
2018年11月に一部改良を行い、運転支援システムを先進の衝突回避支援システム「スマートアシストIII」へとアップデート。衝突回避支援ブレーキ機能は歩行者も検知対象となったうえ、夜間での歩行者の早期発見に役立つオートハイビームを装備。
さらに、前後方のセンサーで障害物を検知して警告音で知らせる、コーナーセンサーを標準装備するなど安全性が向上している。また。この2018年11月以降のルーミー/タンクはサポカーSワイドに該当しているため、65歳以上の高齢者が購入する際には4万円の補助を受けることができる。それでは、ルーミー/タンクそしてトール、ジャスティの中古車相場を見てみよう。
■狙い目は本家「トール」だが タンク/ルーミーも値落ち傾向で買い時
まずは「ルーミー」。現在、ルーミーの中古車は約1540台流通している。3カ月前は約1150台だったが、右肩上がりで増加中だ。中古車の平均走行距離は3カ月前が約1.5万kmで、今月もほぼ同じ水準をキープしているが、平均価格は3カ月前の約155万円から現在は約149万円へと3カ月で約6万円の値落ち。この価格帯としては大きめの値落ち幅を記録した。
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続いては「タンク」。タンクの中古車の流通台数は約1450台とルーミーに肉薄している。こちらも3カ月前の時点は約1100台で、その後右肩上がりで増えている。流通台数の増加に合わせて、中古車の平均走行距離も3カ月前の約1.4万kmから約1.6万kmまで延びている。
この結果、平均価格も約149万円から約146万円とこの3カ月で約3万円の値落ちとなっている。値落ち幅は異なるが、両モデルとも値落ち傾向となっているので、買い時を迎えているのは確実だ。
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OEM車のルーミー/タンクをチェックしたので、続いては本家の「トール」を見てみる。トールの中古車の流通台数は約1185台。こちらも3カ月前の約930台から緩やかな増加傾向となっている。中古車の平均走行距離は3カ月前が約5000kmで、現在は7000kmまで延びており、その動きにリンクして平均価格も3カ月前の約157万円から今月は約152万円まで5万円の値落ちを記録。平均走行距離がルーミー/タンクに比べて、少ないにもかかわらず、平均価格はほぼ同じ水準というのは注目のポイントだ。
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そして、最後はスバル「ジャスティ」。なんと現行型ジャスティの中古車の流通台数はわずか28台。年待つまでは50台を超えていたが、減少の一途を辿っている。中古車の平均走行距離も3カ月前が約1.4万kmだったが、今月は約1kmまで減少。そして平均価格は3カ月前の約138万円から現在は約140万円とやや値上がり傾向と荒れ気味の相場だ。
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トヨタ「ルーミー/タンク」、ダイハツ「トール」、スバル「ジャスティ」、販売しているメーカーは異なるものの、同じ性能のクルマなのにも関わらず中古車相場は異なっている。
特に注目はトールで、中古車相場はルーミーやタンクと変わらないものの、中古車の平均走行距離はほぼ半分。これは価格のわりに走行距離の少ない中古車が多いということを示しているのだ。
なぜ、こういった現象が起きるのかというと中古車は人気という要素が価格に影響を及ぼすからだ。同じ性能、機能でもダイハツ「トール」よりトヨタ「ルーミー/タンク」のほうが認知されていて、人気が高いということで、走行距離が多くても価格が高くなるのである。
裏を返せば、安くて良い中古車が欲しい場合は、トールを狙ったほうがよいといえる。これは現在人気のライズ、ロッキーにもいえる関係性だ。さらに一般的にはベース車のほうが人気で、OEM供給車のほうが人気薄となるので、軽自動車はOEM供給車を狙ったほうが割安にイイクルマを手に入れられるということになる。
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