ドイツ・VWのエントリーモデルとして、多くの人たちに愛されているポロが、マイナーチェンジを実施した。その内容は、デザイン変更のフェイスリフトを始めに、搭載エンジンの変更や新機能の追加など多岐にわたる。
末っ子のワーゲンとなるup!が失われた今、再び最も身近なVWとなった新型ポロの最新版となるマイナーチェンジの改良点について、お伝えしよう。
文/大音安弘、写真/VWグループジャパン
■VWエントリーであるポロの最新仕様が日本上陸
VWジャパンは2022年6月23日、コンパクトハッチバック「フォルクスワーゲン ポロ」のマイナーチェンジを行い、同日より販売を開始した。新価格は、257万2000~329万9000円だ。
現行型となる第6世代のポロは、2018年3月にフルモデルチェンジを行い、日本に導入された。これまでの主なトピックスとしては、2018年7月のホットハッチ「GTI」と、2019年1月の1.5Lエンジン車の新グレード「R-Line」の追加が挙げられるが、モデルライン全体の改良は今回が初となる。なお、GTIのマイナーチェンジについては、現時点では実施されていない。
現行型初のマイナーチェンジを行ったVWポロは、再びVW入門車の役目を担う
■ゴルフ風味が加わったエクステリア
マイナーチェンジモデルでは、前後バンパーを含むエクステリアの変更も行い、全長のみを拡大。具体的には、標準デザイン車で+25mm、R-Lineで+10mmとなり、新ボディサイズは、全長4085×全幅1750×全高1450mmとなった。全幅と全高は従来のままなので、扱いやすいサイズ感はしっかりとキープされている。
フロントグリルとライトデザインも変更され、ポロ初となるフロントマスクを横断するLEDクロスバーを搭載。新世代VWが採用する未来的な顔付きと共通性が高められている。
さらに上位グレードに採用するLEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」では、LEDクロスバーとLEDデイタイムランニングライトが重なることで、ポロ独自のライティングが新たなアイコンとして演出されているのも特徴的なデザインのひとつだ。
リアテールランプもサイズアップされ、最新ゴルフ風のデザインに
リアスタイルにも、手を加えており、リアバンパー及びLEDテールランプデザインを刷新。モデルエンブレムも、最新VWで採用するテールゲート中央の配置に変更されている。これにより大きく印象を変えた後方からのスタイルを見ても、最新版ポロであることがひと目でわかるようになっている。
■最新の1L TSIエンジンにアップデート
メカニズムの最大のトピックは、エンジンが換装されたことだ。新エンジンは、1L直列3気筒DOHCターボで、最高出力95ps/5000~5500rpm、最大トルク175Nm/1600~3500rpmを発揮する。
この新エンジン、排気量や性能面のスペックに変更はないが、ミラーサイクル燃焼プロセスやバリアブルターボジオメトリー機構、ガソリンエンジンPMフィルターの採用により、環境性能を高めているのが特徴。細かな部分では、最大トルクの発生回転数が抑えられ、エンジン圧縮比も高められているなどの数字上の違いがある。
燃費消費率については、WLTCモードで17.1km/Lと公表されている。この高効率化を図ったエンジンは、R-Lineを含む全モデルに搭載される。このため、パワフルさが自慢で、プチGTI的な存在だった1.5Lエンジンの「R-Line」は前期のみの稀少車となるようだ。
1.5L TSIエンジンが廃止され、効率を高めた新1Lエンジンに換装されたのも大きなトピックだ
■先進機能も最新仕様にアップデート
VWのエントリーモデルながら、積極的に先進機能を採用してきたポロだが、その点もマイナーチェンジでは強化。ロングドライブでの心強いサポートとなる「Travel Assist」を採用。
8インチだったナビゲーション内蔵のインフォメーションシステム「Discover Pro」は、9.2インチにモニターサイズを拡大。さらにデジタルメータークラスターの全車採用などにより、運転席周りのデジタル感を強めているのも進化のポイントとなっている。
デジタルメーターと大型モニターのインフォメーションシステムの搭載でデジタル感を強化。パーキングブレーキは、サイドブレーキタイプが引き続き、採用されている
■グレード構成も刷新へ
グレード構成も改められ、新モデルは全4タイプを設定。エントリーとなる「TSIアクティブベーシック」、高機能型デジタルメータークラスター「Digital Coockpit Pro」や15インチアルミホイールなど装備をアップデートした「TSIアクティブ」、同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」や後退時警告機能及び衝突被害軽減ブレーキ機能付の「リアトラフィックアラート」、LEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」などを標準装備する上級グレードの「TSIスタイル」。
そして、TSIスタイル同様の装備に加え、スポーティな専用エクステリアと専用シート、電子制御式ディファレンシャルロック「XDS」を備える「TSI R-Line」が選択できる。
新型では、上位モデルの「TSIスタイル」と「TSI R-Line」には、レーンチェンジアシストシステム「Side Assist Plus」とリアトラフィックアラートを非装着とするレスオプションが用意されている。
安全装備のレスオプション化は、先進機能の充実化を図ってきたVWとしては意外なところだが、これは今も多くのメーカーが抱える半導体不足の影響によるものだ。上級グレードでもこのレスオプションを選ぶことで、納期が短縮できる場合があるという。このため、装備内容にこだわりたい人は、早めにディーラーに足を運んだほうがよさそうだ。
欧州の物価上昇や輸送費の高騰などの影響を受け、ポロもエントリーモデルでも、257万2000円と、発売時に比べ約47万円高となった新型ポロ。ただ、ライバルたちも軒並み価格が上昇していることも忘れてはならない。
現状の価格は、装備のアップデートや現行型デビュー後に施行された消費税増税などの要因もあることを考慮すれば、エントリーグレードを、なんとか250万円台に抑えるべきかもしれない。
スマートフォンワイヤレスチャージングを全車標準するなど装備はアップデートされている
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