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ミシュランのサステナビリティ戦略と新製品をタイヤの達人が解説(後編) 社会的要請に対するふたつの答え

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ミシュランのサステナビリティ戦略と新製品をタイヤの達人が解説(後編) 社会的要請に対するふたつの答え

スローガン=両タイヤの特徴に

ミシュランの『サスティナビリティ戦略アップデートセミナー&新製品試乗会』と銘打った、タイヤを取り巻く環境のワークショップと、新製品試乗会を組みあわわせたユニークなタイヤ試乗会が行われた。

【画像】ミシュランのサスティナビリティ戦略アップデートセミナー&新製品試乗会 全70枚

前編では、タイヤを取り巻く社会的要請と、それに対するミシュランの取り組みを紹介。今回は、実際のタイヤのハナシとなる。

試乗が行われた『パイロットスポーツ5エナジー』と『プライマシー5エナジー』は、タイヤ粉塵規制を含めた耐摩耗性向上や、燃料消費低減のための転がり抵抗低減などを踏まえて生まれたタイヤだ。

こうした規制の中から生み出されたタイヤであっても、ミシュランは『環境も、走りも、妥協しない』というスローガンを掲げており、これが両タイヤの特長にもなっている。

また、いずれもパイロットスポーツ5、プライマシー5の後継タイヤではなく、パイロットスポーツ5エナジーはパイロットスポーツEVの、プライマシー5エナジーはeプライマシーの後継モデルとなっている。

では、それぞれのタイヤの印象をレポートしてみよう。

マイルドだが鈍さがないパイロットスポーツ5エナジー

まずは『パイロットスポーツ5エナジー』から。

このタイヤは、『環境性能に優れたハイグリップスポーツタイヤ』をコンセプトに、スポーツ走行に求められる卓越したハンドリング性能に加え、低燃費性能、耐摩耗性能、ウエットグリップ性能の向上が図られた。

タイヤ転がり抵抗は、全17サイズ中6サイズでAAA、11サイズがAAを取得。ウエットグリップは全サイズbを獲得している。

試乗車はトヨタbz4xに235/50R20 104Y XLの組み合わせ。

まずはパイロットスポーツシリーズを俯瞰した印象でいうと、パイロットスポーツのテイストを残しながら、5よりもマイルドな味付けになっている印象がある。

だからと言って鈍さや緩さがないのが美点。

例えば、スラローム(60km/h設定)でステアリングを切り返した時の、直進付近の手応えが締まっており不感帯が極めて少なく、いつもタイヤがコントロール下にあるという安心感や手応えがある。これは高速道路でのレーンチェンジの修正舵でも、安心感として感じ取れる。

また、ステアリング操作に対する応答もシャープで、少なめの舵角ですいすいとスラロームを走り抜けることができた。

ウエット路面でのグリップ感

驚かされたのは、ウエットハンドリング路。路面をトレッド面がビタッ! と捉えている強いグリップ感があり、ウエット路面だからと言って無暗に舵角が増えることもなく、最小限の舵角で、気持ちよく走ることができた。

強引にペースを上げていってもだらしなく滑り出すようなことがなく、グリップを伴いながら徐々に舵角が増していく。

もっとも、この状況はかなりペースアップしてからの事。その意味でも、安心感がある。

試乗車は車重ほぼ2tある。それでいながら、タイヤがヨレるようなこともなく、その重量を感じさせないくらい、気持ちよくコーナリングできる。

ついでに書き加えておくと、減速時の車速の落ち方が驚くほど少なく、特に低速になってからはいつまでもタイヤが転がっている感覚で、転がり抵抗の少なさを実感できた。

走り終えて、改めて転がり抵抗の少なさとパフォーマンスの高さからくるトータルパフォーマンスの不思議な感覚に見舞われた。

しんなり・しっとりが増したプライマシー5エナジー

一方、『プライマシー5エナジー』は、トヨタ・プリウスに195/60R17 94H XLという組み合わせ。

こちらは『環境性能と上質さを磨き上げた、プレミアムコンフォートタイヤ』をコンセプトに、eプライマシーから進化。優れた低燃費性能、耐摩耗性能とウエット性能を兼ね備えたプレミアムコンフォートタイヤだ。

プライマシー5は、カチッとした乗り味の中にしんなり・しっとりした柔軟な感触があるが、プライマシー5エナジーは、そのしんなり・しっとりした成分が多くなっている。

よりコンフォート性に特化した感触があり、これはこれで割り切っていて潔いし、実際の乗り心地もマイルドで快適。静粛性も高く、空力のいいプリウスとの組み合わせだと、高速巡航でもしんと静かな空間に居るような感覚になる。

予想を裏切るウエット性能の良さ

経験的に、この手のクルマでウエット性能の良い印象はないのだが、この点に関してもプライマシー5エナジーは良い意味で予想を大きく裏切ってくれた。

80-0km/hのウエットブレーキは31m台で、じつはこれ、試乗車は違うがプライマシー5の試乗会時のデータと変わらなかったのだ。

水深は深めだったがハイドロプレーニングの兆候はほとんどなく、ブレーキを踏んだ瞬間から路面にコンタクト感があり、同時に強い制動力が出てくる。排水性、ウエットグリップともに優秀だ。

また、残溝2mmまで削った摩耗タイヤのテストでは、ブレーキ直後に水に乗った感覚が10~15mほどあり、路面とタイヤがコンタクトしてからは、新品と変わらない強い制動力を発揮してくれた。

ちなみに、制動距離は42mほどだった。これは残溝2mmまで摩耗したタイヤとしてはかなり優秀なデータといえる。

縦溝4本のトレッドデザイン、溝形状もスクエアで、摩耗しても溝幅が狭くならない形状にすることで、摩耗限界時でも考え得る最上のウエット性能を確保しているということだ。

ウエット路面だけではなかった

ドライ路面でのスラロームも、印象は良かった。

スポーツ性を期待すると、応答はステアリング操作に対して鈍くはないがややスローで、タイヤの変形感も感じられる。だが、コンフォートタイヤとして考えれば、微小舵領域からきちんと応答が出ており、心地よさに軸足を置きながらも、快適性と操縦性を上手にバランスさせている。

転がり抵抗AAAは、たぶんどの純正タイヤから履き替えても、燃費性能の向上が期待できる。それでこのウエット性能まで備わっていることに、改めて感心させられた。

『環境も、走りも、妥協しない』を再認識

今回の試乗会は、ワークショップを含むユニークなものだった。

現在のタイヤを取り巻く環境や要請を知り、その状況の中で、ミシュランが作り出したパイロットスポーツ5エナジーとプライマシー5エナジーを試乗して、改めてミシュランが掲げる『環境も、走りも、妥協しない』というタイヤに対する考え方を感じ取ることができた。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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