現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 待望の新人か? アルファ・ロメオ・トナーレ・ハイブリッドへ試乗 コンパスに近い組成 後編

ここから本文です

待望の新人か? アルファ・ロメオ・トナーレ・ハイブリッドへ試乗 コンパスに近い組成 後編

掲載
待望の新人か? アルファ・ロメオ・トナーレ・ハイブリッドへ試乗 コンパスに近い組成 後編

ライバルより運転を楽しめるシャシー

前編を読まれて、トナーレがアルファ・ロメオを本当に救うことができるのか、若干の疑問を抱いた方もいらっしゃるかもしれない。真のゲームチェンジャーになれるのか、実際の試乗で確かめてみたいと思う。

【画像】日本へも年内に上陸予定 アルファ・ロメオ・トナーレ 競合のクロスオーバーと比較 全118枚

アルファ・ロメオの技術者は、駆動用モーターとバッテリーは、コンパクト・クロスオーバーとして適正な大きさだと主張するはず。だが、最新のハイブリッド・モデルとして考えると、最小限に近い。

エンジンが休止している時間は短く、アクセルペダルを踏み込むと、比較的大きめのノイズも放つ。ホンダのハイブリッドと比べれば質感には優れるものの、ガソリンエンジンで走るBMW X1の方がより速く、洗練性も高いと感じる。

7速デュアルクラッチATも悪くはない。最上級グレードのトナーレ・ヴェローチェを選べば、大きなシフトパドルでマニュアル・モードを楽しめる。160psのクロスオーバーとしては、という制限が付くけれど。

ただし、BMWが採用する8速ATと比べると、滑らかさや変速スピード、変速タイミングなどで目立ったアドバンテージはないだろう。

シャシー側では、アルファ・ロメオらしさを高めるため、技術者はかなりの時間を割いたようだ。細部への設計変更によってタイトさを得ており、ライバルより運転は面白い。エグゾーストノートも聴き応えがあり、その印象を強めてくれる。

ステアリングは固定レシオでもクイックで、過度な緊張感はない。ドライビング体験はダイナミック。ステアリングホイールへは、攻め込まないと充分な感触が伝わってこないのが惜しい。

高速道路の長距離走行が得意分野

もう1つのストロングポイントが、乗り心地。20インチのアルミホイールを履いていた試乗車の場合は硬めながら、巧みに衝撃を吸収してくれていた。ボディロールは抑制され、ピレリPゼロタイヤが不足ないグリップやトラクションを生み出してもいた。

ヴェローチェのアダプティブダンパーは基本的な特性が通常のダンパーに近く、際立つオプションではないようだ。18インチ・ホイールを履く、トナーレTiがベストバランスかもしれない。

これらの特徴が融合し、高速道路を長距離走るようなシーンは、トナーレが最も得意とする分野。ロードノイズやサスペンションノイズも小さく、車内は静かに保たれている。比較的高めの着座姿勢は快適で、居心地もいい。

インテリア全体の仕立ては、もう少し手を掛けても良かっただろう。アルファ・ロメオがBMWと並ぶような人気を掴むには、避けては通れない部分だと思う。デザイン自体は悪くないが、もっと気持ちを刺激してくれる雰囲気の方が好ましい。

よりベーシックなライバルのなかには、高級感で上のモデルも存在する。イタリアン・ラグジュアリー・ブランドたらしめる、しっとりとしたレザーがないのは寂しい。

カウリングの付いた2眼メーターは、アルファ・ロメオの定番。現代的なモニター式を採用しつつ、レトロな風合いのあるグラフィックが用いられ、鮮明で見やすい。表示内容はカスタマイズも可能だ。

満塁ホームランが打てる新人になれるか

ダッシュボード上部にはタッチモニターが据えられ、インフォテインメントは最新のステランティス・グループに準じたシステムが実装される。もっとアルファ・ロメオ独自の変更が施されていれば、より印象は優れるだろう。

iドライブ・コントローラーを備えるBMWのシステムが、このクラスではベストの仕上り。論理的で、応答性も良い。

車内空間の広さや実用性では、クラスの平均点は超えている。後部座席側と荷室空間は、BMW X1と同等。だが、少々開放感は低い。太いAピラーとCピラーが、そう感じさせているようだ。

アルファ・ロメオらしくライバル以上の動的能力を備え、魅力的なスタイリングをまとった、クロスオーバーのトナーレ。装備も充実し、長距離クルージングを快適にこなせる。

英国価格は約3万5000ポンド(約584万円)からが見込まれており、価格価値にも優れるようだ。同等装備の日産キャシュカイ(デュアリス)より、若干高い程度。ただし、ハイブリッドのパワートレインとインテリアには、もう少しを求めたいところではある。

オプションやパッケージなどの設定は未定。最終的に、理想的なトナーレがお幾らになるのかは、まだはっきりわからない。

トナーレの内容は、充分といえる。ただし、かつてのモデルが放っていたような独特の誘惑を、読者は感じることができるだろうか。アルファ・ロメオを救うホームランを放つ待望の新人と呼ぶには、あと少しの実力が欲しいところだ。

アルファ・ロメオ・トナーレ・ハイブリッド160(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万5000ポンド(約584万円/予想)
全長:4530mm
全幅:1840mm
全高:1600mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:8.8秒
燃費:15.9-17.6km/L
CO2排出量:130-144g/km
車両重量:1525kg
パワートレイン:直列4気筒1469ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:160ps(エンジン)/20ps(電気モーター)
最大トルク:24.4kg-m(エンジン)/5.6kg-m(電気モーター)
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

こんな記事も読まれています

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第3回】温かい歓迎を受けた春の鈴鹿。悔やみきれないミスと、1ストップ戦略で得た自信
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第3回】温かい歓迎を受けた春の鈴鹿。悔やみきれないミスと、1ストップ戦略で得た自信
AUTOSPORT web
レッドブルF1は2025年も現在のコンビを継続か。パフォーマンスを改善したペレスがシート争いをリード
レッドブルF1は2025年も現在のコンビを継続か。パフォーマンスを改善したペレスがシート争いをリード
AUTOSPORT web
初の中国GPに臨む角田裕毅。手強い週末を予想も「自信はある。Q3進出と入賞を狙いたい」/F1第5戦
初の中国GPに臨む角田裕毅。手強い週末を予想も「自信はある。Q3進出と入賞を狙いたい」/F1第5戦
AUTOSPORT web
ゴツすぎる新型「“軽”SUV」実車公開! ワイド化&オシャグレーがカッコイイ! まるで装甲車なスズキ「ハスラー」に反響も
ゴツすぎる新型「“軽”SUV」実車公開! ワイド化&オシャグレーがカッコイイ! まるで装甲車なスズキ「ハスラー」に反響も
くるまのニュース
日産 "武士の甲冑" デザインの新SUV公開 「キャシュカイ」改良新型、欧州で今夏発売へ
日産 "武士の甲冑" デザインの新SUV公開 「キャシュカイ」改良新型、欧州で今夏発売へ
AUTOCAR JAPAN
スズキ「カプチーノ」や「アルトワークス」が激走! 軽自動車だけで争う200分の戦い「東北660耐久レース」が開幕
スズキ「カプチーノ」や「アルトワークス」が激走! 軽自動車だけで争う200分の戦い「東北660耐久レース」が開幕
Auto Messe Web
「ガンディーニ追悼」に初の「アメリカンヘリテージ」の企画など大人が楽しむ「オートモビルカウンシル2024」閉幕。過去最高の3万9807人が来場しました
「ガンディーニ追悼」に初の「アメリカンヘリテージ」の企画など大人が楽しむ「オートモビルカウンシル2024」閉幕。過去最高の3万9807人が来場しました
Auto Messe Web
【殺人チャイルドシート】 違法チャイルドシート買った人に返金はある? アマゾンと楽天の対応は?
【殺人チャイルドシート】 違法チャイルドシート買った人に返金はある? アマゾンと楽天の対応は?
AUTOCAR JAPAN
高速SA・PAのNo.1「ハイウェイめし」決定! 「高級志向にしたくない」担当者の思い  1位のメニューは“ごはんノンストップ”!?
高速SA・PAのNo.1「ハイウェイめし」決定! 「高級志向にしたくない」担当者の思い 1位のメニューは“ごはんノンストップ”!?
乗りものニュース
海外ライターF1コラム:24戦の理不尽なカレンダーが招く問題。人材不足が深刻化、“根無し草感”で疲弊するドライバー
海外ライターF1コラム:24戦の理不尽なカレンダーが招く問題。人材不足が深刻化、“根無し草感”で疲弊するドライバー
AUTOSPORT web
スズキが「謎のクルマ」実車公開! めちゃゴツい“骨組み”に「Sマーク」装着! “強靭な構造”で未来を支える「新型ユニット」に期待!
スズキが「謎のクルマ」実車公開! めちゃゴツい“骨組み”に「Sマーク」装着! “強靭な構造”で未来を支える「新型ユニット」に期待!
くるまのニュース
マツダ、2024年スーパー耐久シリーズに3台で参戦
マツダ、2024年スーパー耐久シリーズに3台で参戦
レスポンス
マイチェンしたいすゞ・ギガが2024年問題の救世主に! 低床3軸でドライバーの負担も軽い
マイチェンしたいすゞ・ギガが2024年問題の救世主に! 低床3軸でドライバーの負担も軽い
WEB CARTOP
ポルシェ963最新ファクトリーの利点を語るロッテラー「ピット作業のスピードと精度が上がった」
ポルシェ963最新ファクトリーの利点を語るロッテラー「ピット作業のスピードと精度が上がった」
AUTOSPORT web
SPKがシミュレーター機材の研究施設「シミュレーターラボ」を開設 企業や行政、eスポーツイベントに場所提供も
SPKがシミュレーター機材の研究施設「シミュレーターラボ」を開設 企業や行政、eスポーツイベントに場所提供も
くるまのニュース
トヨタ ランドクルーザー250 をモデリスタがカスタム…都会派もアウトドア派も
トヨタ ランドクルーザー250 をモデリスタがカスタム…都会派もアウトドア派も
レスポンス
なんで芝生が燃え広がったんだ?? FIA、F1中国GPの火災再発防止のため詳細な調査を実施へ
なんで芝生が燃え広がったんだ?? FIA、F1中国GPの火災再発防止のため詳細な調査を実施へ
motorsport.com 日本版
レクサスが考えるアウトドアライフは上質だった──新型NX350“OVERTRAIL”試乗記
レクサスが考えるアウトドアライフは上質だった──新型NX350“OVERTRAIL”試乗記
GQ JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

586.0786.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

30.0798.0万円

中古車を検索
X1の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

586.0786.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

30.0798.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村