■スタイリッシュなフォルムが魅力の2ドアクーペを振り返る
現在、国内市場のラインナップから激減してしまったクルマといえば、2ドアクーペです。とくに比較的手が届きやすいモデルは絶滅寸前の状況となってしまいました。
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一方で、1980年代から1990年代には、2ドアクーペは3ドアハッチバックと並んで隆盛を誇り、若者を中心に絶大な人気を誇っていました。
そこで、かつて一世を風靡するほどヒットした2ドアクーペを、5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「ソアラ」
トヨタ初代「ソアラ」は1981年に発売され、ハイソカーブームをけん引し、若者だけでなく幅広い層から人気となりました。
ボディはロングノーズのエレガントなフォルムで、全グレードで直列6気筒エンジンを搭載。デザインの美しさだけでなく先進的な装備も注目されました。
1986年に2代目が登場すると、デザインは初代からキープコンセプトとされ、好景気に湧いていた時代背景もあって初代以上のヒット作になります。
なかでも大学生や若い社会人の憧れの的だったのが、2リッター直列6気筒ツインターボエンジンを搭載した「2.0GT-TWIN TURBO」でした。
当時の新車価格は320万6000円とバブル期とはいえ高価で、長期のローンを組んで手に入れたという人も数多く存在したほどです。
●ホンダ「プレリュード」
1987年に発売された3代目「プレリュード」は、外観は2代目からのキープコンセプトとしながら、より洗練されデートカーとして若者から支持されました。
外観の特徴はエンジンを後傾して搭載することで実現した低いボンネットで、そのボンネットのラインがそのままトランクまで続く、美しいウエストラインを描いています。
ちなみにボンネットの高さは、当時販売されていたフェラーリ「328」に匹敵するといわれていました。
エンジンは全グレードとも2リッター直列4気筒で、トップグレードの「2.0Si」には145馬力を発揮するDOHCエンジンが搭載され、見た目にふさわしい走りの良さを披露。
また、3代目プレリュードには量産車世界初の4輪操舵が設定されことも大いに話題となり、高速走行時のレーンチェンジや、市街地の取り回しで威力を発揮しました。
●日産「シルビア」
1988年に衝撃的なデビューを飾った日産5代目「シルビア」は、新世代のFRスポーツカーとして発売と同時にヒット。
さらに、シルビアのデザインは斬新かつスタイリッシュで、若い女性からも人気となり、前述のプレリュードとともにデートカーとしても名を残しています。
また、内装も曲線を多用することで、4代目までの無骨なイメージを払拭したことも印象的でした。
グレード構成は「K’s」「Q’s」「J’s」があり、エンジンはK’sが1.8リッター直列4気筒ターボで最高出力175馬力を誇り、Q’sとJ’sは自然吸気で135馬力を発揮。
当時は、手頃な価格で購入できる高出力なFR車が少なくなったこともあり、走りを重視するユーザーからも支持を得ました。
姉妹車として1989年に3ドアハッチバックの「180SX」が追加され、1991年には2リッターエンジンに換装される大幅なアップデートをおこない、人気を不動のものとします。
■まさにバブル景気を象徴する「外車」とは!?
●トヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」
トヨタを代表する大衆車の「カローラ」には、2代目から「カローラレビン」、姉妹車の「スプリンタートレノ」というスポーツグレードが存在。
そして、バブル景気が始まっていた1987年に発売されたのが、シリーズ初のFFとなった5代目カローラレビン/スプリンタートレノ(以下、レビン/トレノ)です。
レビンは固定式ヘッドライト、トレノはリトラクタブルヘッドライトと、フロントフェイスが異なるのは先代のAE86型を踏襲。
なかでもレビンのスタイルはソアラを小型化したイメージで、高価なソアラは買えないというユーザーから人気となりました。
トップグレードには、120馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒DOHCの「4A-GELU型」エンジンを搭載し、高回転まで淀みなく回るフィーリングが高く評価されます。
レビン/トレノはレースの世界でホンダ「シビックSi」の後塵を拝しましたが、クルマとしての品質はさすがトヨタ車というべきレベルで、あらゆる面でシビックを凌駕していました。
●BMW「3シリーズ」
1982年に欧州で発売されたBMW2代目「3シリーズ」は、BMWのエントリーモデルとして日本で大ヒットを記録しました。
日本には1983年から正規輸入されると、当時ドイツ車のステータスは国産車よりもはるかに高く、車格が上の国産車よりも3シリーズを選ぶというユーザーが増えたことも、ヒットにつながったといえます。
また、好景気を背景に円高も進んでいたため、正規輸入だけではなく並行輸入も盛んで、当時の雑誌には並行輸入の3シリーズの広告が数多く掲載されたほどです。
ボディサイズは全長4325mm×全幅1645mm×全高1380mmと、いまの水準からするとかなりコンパクトで、2リッター以下のエンジンならば5ナンバー登録ということもあり、輸入車でも維持は比較的楽でした。
もっとも人気があったのは2ドアクーペでした、4ドアセダンやステーションワゴン、カブリオレがラインナップされ、エンジンも1.8リッターから2.5リッターまで選べるなど、幅広いニーズに応えていたことも人気の理由です。
※ ※ ※
日本において2ドアクーペの需要は1990年代がピークで、2000年代になるとスポーツカー需要の低迷もあって台数が激減してしまいました。
1人か2人で乗るならば2ドアクーペで十分なはずですが、せっかくなら使い勝手の良い5ドア車やミニバンを選ぶという心理は当然のことでしょう。
これは海外も同様で比較的安価な2ドアクーペはだいぶ減ってしまい、おそらくこの先も復活は難しいでしょう。
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日本車のデザインはどうなっちゃったのかね。