【試乗】初代 日産 リーフの走り味は、まさに未体験ゾーンのものだった【10年ひと昔の新車】
2021/01/16 12:05 Webモーターマガジン 13
2021/01/16 12:05 Webモーターマガジン 13
「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、日産 リーフ(プロトタイプ)だ。
日産 リーフ(2010年:プロトタイプ)
日産が満を持して市販化する電気自動車、リーフ。クルマとしての魅力は、果たしてどれぐらいあるのか。だが今回はテストコースでの短時間の試乗。まずはリアシートに乗せてもらって1ラップ、そのあと実際に運転して1ラップ。これだけでは物足りないので、同乗していた開発者のお言葉に甘えて、もう1ラップと、ジックリというほどではないがリーフの走りを堪能することができた。
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運転席に座ってみると、Cセグメントに属するコンパクトカーとしては、室内の広さはわりと標準的だ。Aピラー部に三角窓がありインパネがスッキリとしているので、視界には開放感がある。ホワイトとベージュ系のインテリアカラーは、明るくスタイリッシュな印象だ。
メーターは2段式で、インパネ上側にスピードメーター、下側の大きな画面にパワーメーターやバッテリー残量計、またユーザーのエコドライブを助けるエコインジケーターなどがグラフィカルに表示されており、ちょっと未来的だ。カーナビの画面やエアコンなどを含むセンタークラスターは、どことなくiPhoneを彷彿とさせるデザインだ。丸いシフトノブを軽く手前に引いて、ノーマルモードやエコモードを選択するようになっている。
今回の試乗車は左ハンドルで、ステアリング右側にあるボタンをプッシュすると、システムが立ち上がる。爽やかな起動音が流れ、メーターが色づく。当然ながらアイドリング音も振動もなく、聴こえるのはエアコンの作動音のみという静けさ。「家の中に入れられるクルマです」と開発者に言われたが、まさにそんな感じだ。
エンジン搭載車とは異なる、今までにない運転感覚
アクセルペダルに力を込めていくと、スーッと乱れのない加速感。自分で運転する電動車はゴルフ場のカートくらいしか乗ったことはないけれど、滑らかでけっこう力強い加速感は、もちろんその比ではない。最高出力は80kW(109ps)と、けっしてパワフルなスペックではないが、それでもスピードメーターの表示はあっという間に100km/hを超えた。これが、発進から最大トルクが生み出せるEVの強みだろう。
エンジン車のような音がない分、加速の実感はタイヤやステアリングから伝わる手応えが大半を占める。このダイレクト感が、新しくて面白い。
リーフならではの個性をもっとも感じたのは、中速から高速で曲がるコーナリングだ。重量のあるバッテリーをボディのほぼ中央の低い位置に搭載しているため、重心が安定している。ノーズからリアが一体となって向きを変えるような、そんな印象を受けた。
ドライビングポジションはティーダと同じ設定になっているという話だったが、実際にはもっとスポーティで大きなクルマを操っている感じがする。何に近いのか考えてみたが、思い浮かばない。リーフ開発陣は、その走りをエンジン車に近づけるのではなく「今までにない運転感覚」を狙ったからなのかもしれない。
ひとつ気になったのは、ブレーキのフィーリングがスイッチ的というか、あまりストロークがない感覚だったこと。タイヤは専用チューンのブリヂストン エコピアで、転がり抵抗の低さは抜群だ。できれば、ウエット時の挙動も試してみたかったところだ。
短時間の試乗だったので、もっと走ってみたかったというのが本音。それでも、クルマとしての魅力は十分に感じられた。
■日産 リーフ(プロトタイプ) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4450×1770×1550mm
●ホイールベース:2700mm
●パワートレーン種類:交流同期モーター
●バッテリー容量/出力:24kWh/90kW以上
●最高出力:80kW<109ps>
●最大トルク:280Nm<28.6kgm>
●駆動方式:横置きFF
●航続距離:160km以上(米国LA4モード)
●タイヤ:205/55R16
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