2025年5月17日土曜日と18日に日曜日、フォーミュラEシーズン11 第8戦/第9戦東京e-Prixが東京・有明の市街地コース「東京ストリートサーキット」で行われ、第8戦は14番グリッドからスタートしたストフェル・バンドーン(マセラティ)が優勝、第9戦はニッサンのオリバー・ローランドが悲願の(ニッサンの)地元優勝を果たした。今回は2015年から継続して参戦しているDSオートモビルズの活躍を追った。
常に優勝候補にあげられる名門チーム「DSオートモビルズ」
ブラックのボディにゴールドのストライプのマシンが印象的なDSオートモビルズは、チームペンスキとコンビを組んで参戦。フォーミュラEはボディやフロントモーターこそ全車共通だが、リアモーターとインバーター、ギアボックスで構成されるパワートレーンは参戦マニュファクチュアラーが独自に開発することが可能で、勝敗を分けるのは、そのハードの部分とレースのエネルギーマネジメントのソフトの部分。ソフト面でレーシングチームのノウハウは非常に重要なポイントとなる。
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技術面でとくに重要なのはエネルギー回生技術で、約50%と言われる回生率をどれだけギリギリまで高めることができるか、それをいかにして使うかがポイントとなる。各車のエネルギー消費・回生はわずかな差しか生じないので、チームとしてこれまでの経験、積み重ねてきたノウハウがここでも重要となる。
DSオートモビルズはこれまで通算17勝、ポールポジション25回、表彰台52回、4度のチャンピオンシップタイトルを持つ名門チームである。ドライバーは2度ワールドチャンピオンに輝くジャン・エリック・ベルニュと、昨年の東京e-Prixのウイナーであり今年大きな注目を集めるマキシミリアン・ギュンターという強力なふたりを揃えて、常に優勝候補にあげられている。
エネルギーマネージメントが重要となる「東京ストリートサーキット」
各チームに大きなマシン差がないフォーミュラEでは、コースレイアウト、コンディション、ドライバーの腕も重要な要素。レース前日の土曜日、インタビューに答えてくれたベルニュは「路面のグリップはいいけど、このコースはギャップが多くて滑りやすい部分がある。昨年のジャンピングスポットは改善されているようだけど。このコースがとくに好きなわけではないけど、東京で走るのは好き、特別な経験だね」と語ってくれた。
第8戦ではレース中にピットインして30秒間の急速充電を行う「ピットブースト」が義務づけられることも大きなポイントと言われたが、これについては「いろいろ複雑な要素があるのは難しいけど、おもしろいし、技術的にも興味があるね。今シーズからアタックモード時などに4WDとして走行することが可能となったのもエキサイティングだよ」と評価する。
「とにかくできるだけ前方のポジションからできるだけ前につけて逃げるのが一番。空気抵抗は大きいけど、もっとも勝てる戦法だともう。(ひとつのラウンドで2戦行う)ダブルヘッダーは緊張感を持続させるのが難しい、1戦のみのが好きだね。勝って、東京e-Prixのウイナーはオレだって胸を張りたいからね」
一方、チームメイトのギュンターは「このコースはグリップはいいけど、アンジュレーションがあって、狭くてトリッキー。しかも白線が多いので気をつけないとね。でも好きだよ、このコースは、昨年勝っているからね」とコメント。「トップ4チームは誰が勝ってもおかしくない。雨が好きなドライバーはいないと思うけど、雨が降るとどうなるかわからないから、おもしろいね。タイヤは1種類だから、雨でも同じタイヤで走るし、考えなきゃいけないことがいっぱいあるんだ」
レースマネージメントについては「昨年は2番グリッドからスタートして、後半の勝負所でトップに立って優勝したけど、今年もそういうイメージ。2~3番手につけてエネルギーを貯めて後半に勝負して優勝したいね」とベルニュとは違ったイメージのよう。「とにかくエネルギーマネージメント、タイヤマネージメントだね」と付け加えてくれた。
雨の中、波乱に満ちた展開となった土曜日の第8戦
こうして行われた土曜日の第8戦は朝から雨。予選は2度のディレイの末にキャンセル。決勝も開催が危ぶまれる状況で、結局10分遅れでペースカー先導でスタートし、5周走行した後、スタンディングスタートでレースが開始された。
なにが起きるかわからない状況の中、アクシデントはあろうことかDSペンスキチームに降り掛かった。13周目、ギュンターのマシンにバッテリートラブルが発生しコース上でストップ、これで赤旗中断となってしまったのだ。
これで大きなアドバンテージを得たのが優勝したマセラティのストフェル・バンドーンだった。バンドーンはできるだけ早く「ピットブースト」を使うためエネルギーをできるだけ多く消費して、バッテリー残量が60%を切るとすぐにピットに入っていた。この時にちょうど赤旗中断となり、「ピットブースト」を終えるとコースインして、すでにピットに入っていた全車の最後尾についた。これでピットストップでロスしたタイムは即座に帳消しとなったのだ。
レースが再開され、全車が「ピットブースト」を行うと、バンドーンは2番手のローランドに20秒の差をつけて(終盤あやうくウォールにヒットしそうな場面もあったが)、最後は余裕でフィニッシュした。
ギュンターのトラブルは全車共通のコンポーネント部分で不運としか言いようがないもの。一方でベルニュは8位で完走して4ポイントを獲得した。
■ジャン-エリック・ベルニュのレース後のコメント
「本当に大変な一日でした。雨の中、クルマの調子は良かったため、予選がキャンセルされたのは残念でしたが、8番手スタートで8位フィニッシュ。十分なポイントが取れなかったので、明日のレースで巻き返しを狙います」
■マキシミリアン・ギュンターのレース後のコメント
「多くのチャンスが得られた可能性があったレースだったため、特に悔しいです。クルマはとても快適で、ペースも良かったですが、残念ながらバッテリートラブルが起きてリタイアを余儀なくされました。これもレースです。今日のポジティブな点を持ち帰って、明日に備えます」
フォーミュラEシーズン11 第8戦東京e-Prix リザルト
1位 4 S.ヴァンドーン(マセラティ)38周
2位 23 O.ローランド(ニッサン)+8.140s
3位 5 T.バーナード(NEOMマクラーレン)+8.695s
4位 10 S.ブエミ(エンビジョン)+9.047s
5位 33 D.ティクトゥム(クプラ キロ)+14.499s
6位 48 E.モルタラ(マヒンドラ)+15.974
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8位 25 J-E.ベルニュ(DSペンスキ)+22.529s
リタイア 7 M.ギュンター(DSペンスキ)
土曜日とまったく異なるバトル満載となった日曜日の第9戦
日曜日の第9戦は雨もやみ、ドライコンディションで行われた。前日の第8戦でも2位に入り、優勝候補にあげられるニッサンのオリバー・ローランドは、予選でポールポジションを獲得する。序盤からアタックモードを使って先行するライバルたちにも惑わされず、終盤までライバルよりも多いアタックモード時間を残し、最終盤でトップに浮上すると、ライバルたちからの激しいアタックを凌ぎ切って優勝を果たした。
。第9戦は前日とは異なり、多くのバトルやオーバーテイク、接触が見られる、本来あるべき「ピュア・モータースポーツ」そのものという展開となった。DSペンスキチームもアグレッシブなレースを見せ、ベルニュは6位に入賞、ギュンターはアタックモードの大半がセーフティカー中に費やされてしまったが、それでも10位でフィニッシュした。
■ジャン-エリック・ベルニュのレース後のコメント
「スタートは複雑な展開で、最初のアタックモードもうまく機能せず、序盤に後方に沈んだのが痛かった。6位は望んでいた結果とは言えませんが、チャンピオンシップにとっては価値のあるポイントです」
■マキシミリアン・ギュンターのレース後のコメント
「日曜日はパフォーマンスがあまり出せず、予選では13番手に沈んでしまいました。レース序盤は厳しい展開でしたが、そこから挽回してトップ10に食い込むことができました。ただ、アタックモードを発動した直後にセーフティカーが入ってしまい、約2分間もその後ろを走らされたのは本当に残念でした」
フォーミュラEシーズン11第8戦東京e-Prix リザルト
1位 23 O.ローランド(ニッサン) 32周
2位 1 P.ウェレーン(ポルシェ)+0.377s
3位 33 D.ティクトゥム(クプラ キロ )+0.901s
4位 27 J.デニス(アンドレッティ)+1.156s
5位 11 L.ディグラッシ(ローラ ヤマハ ABT)+2.917s
6位 25 J-E.ベルニュ(DSペンスキ)+3.968s
────────────
10位 7 M.ギュンター(DSペンスキ)+5.186s
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みんなのコメント
それでもつまらんと思うならばそれはもう仕方ない。
ただ何事も進化はしている。
ほんの一時の知見だけで知識をアップデートしない人間にはなりたくないものだ。