現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 4モーターの4WDも簡単に実現可能! エンジン車の4WDではできないEV四駆の底知れぬ可能性

ここから本文です

4モーターの4WDも簡単に実現可能! エンジン車の4WDではできないEV四駆の底知れぬ可能性

掲載 112
4モーターの4WDも簡単に実現可能! エンジン車の4WDではできないEV四駆の底知れぬ可能性

EV は「四輪独立駆動」が可能!?

化石燃料(ガソリン、軽油など石油燃料)を使う内燃機関車に対して、電気モーターを動力とするEVの優れている点はなにか? 最大の違いは、燃料を燃焼しないことからEVは燃焼ガスを排出しない、簡単にいえば、排気ガスを出さないことが特徴として捉えられている。つまり、排出ガスがゼロだから大気に対して無公害、ということである。二酸化炭素も窒素酸化物も炭化水素も排出しない。だから、世界的な趨勢として、今後新たな内燃機関車は生産・販売をせず、その代わりにEVを普及させようという流れになったワケだ。

エンジン車と違ってEVはFFだのFRだのにあまり意味はなかった! 重要なのは「駆動輪」がどこかだけ

ところで、内燃機関車に対してEVの優れる点は、無公害車両ということだけなのだろうか。電気モーターを動力源とするEVの基本構造を考えてみると、自ずとその利点、特長が見えてくる。内燃機関(エンジン)は、小型・軽量といってもそれなりのサイズ、重量になってしまうが、それに対するEVの電気モーターは、かなり軽量コンパクトな仕様となっている。自動車の車体に搭載して使う動力源としての電気モーターは、スペースも含めた搭載性で相当に自由度が高くなる。

何をいいたいのかというと、内燃機関車の場合は、必然的にエンジンはひとつになってしまうが(例外的に競技車両でツインエンジンという形態も存在したが)、軽量コンパクトな電気モーターは、ひとつの車体に複数個を搭載することが可能、ということだ。極論すれば、自動車の標準的な形態を4輪車とした場合、4輪それぞれに専用の駆動モーターを装備することもできる、ということだ。

それはつまり4輪駆動? それなら現在の内燃機関車で数多く実用化されているではないか、となるのだが、4輪それぞれに駆動用の電気モーターを備えるということは、別の言葉で表現すれば「四輪独立駆動」ということである。それぞれのタイヤに伝える駆動力を、それぞれ独立して発生することができる、という点が大きな特長となる。

車体に発生するヨーの制御が可能になる

内燃機関車の場合は、センターデフをもつフルタイム式の場合で、前後独立した回転数(駆動力ではない)、左右個別の回転数(通常のデファレンシャルユニット)を作り出すことで、旋回時のギクシャクした動きを抑え込んでいるが、なぜこうした機構が必要になるのかといえば、大もととなる出力(エンジン)がひとつしかないためだ。ひとつの出力をメカニカルな機構を介して4輪に分配・調整しているといってよいだろう。

ところが、軽量・コンパクトな電気モーターの場合だと、4輪それぞれに独立した専用モーターを配置することができるようになる。この場合、4輪それぞれに任意の回転数、駆動力を与えることが可能となり、これは大きなメリットになる。どういうことかといえば、4輪に独立した駆動力を発生させることで車体に発生するヨーを自在に制御できるようになるからだ。

車両に発生するヨーをコントロールすることで、車体の挙動安定化を図るシステムは、すでに4輪独立の制動力制御(ブレーキ制御)でヨーを発生させる車両挙動安定装置が現存する。2012年以降の生産車に装着が義務付けられ(軽自動車を除く)、アクティブセーフティの革新的な装置として大きな注目を浴びた。システムはトラクションコントロールとABSを基本に構成されるが、4モーター方式のEVであれば、積極的な駆動力の制御によって挙動の安定化を図ることができるようになるのだ。

駆動力の制御による限界性能域の活用方法としては、かつて三菱がランサーエボリューション(エボIV以降)で採用したAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)があるが、独立した4系統の動力システムを可能とするEVは、よりスムースにより速くより安定した走行状態がデフォルトで得られることになる。

もちろん、4輪独立の制動系も必要となるが、容易に4輪独立の駆動系を備えることができるEVは、内燃機関車に比べて車両性能の活用度が上昇することは間違いない。なにしろEVは、出力制御はすべて電気系。制御コンピュータによって瞬時に的確な出力制御(モーター制御)ができる特性は大きな利点だ。そして、モーターが小型コンパクトで複数個の搭載が可能であるという点は、内燃機関にはない大きなアドバンテージだ。

一般的な用途でいうEVは、1モーター2輪駆動で十分以上の要求性能を果たすことはできるが、軽量コンパクトな電気モーターの特性に着目し、4輪独立駆動力制御が可能なことを考えれば、内燃機関車では困難だった運動性能の限界域をよりうまく活用できるようになり、たとえばモータースポーツのフィールドでは大きな武器になるだろう。また、軽量・大容量の充電池(全個体電池)の量産・実用化が可能になれば、EVの可能性はさらに高められることになる。

1エンジンによる4輪駆動か4モーターによる4輪駆動か。どちらが優れるかは、いわずもがな、自ずと明らかである。まだまだ発展途上の段階で大きな可能性を秘めたEVだが、そのぶんだけ大きな進化の余地が残されている。行く末が楽しみだ。

【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

2.7L水平対向搭載!アルシオーネVXの心臓部を探る【GT memories14 アルシオーネ/アルシオーネSVXダイジェスト(4)】
2.7L水平対向搭載!アルシオーネVXの心臓部を探る【GT memories14 アルシオーネ/アルシオーネSVXダイジェスト(4)】
Webモーターマガジン
性能の象徴だったエンジンはなぜ隠れた? エンジンルームが物語る時代の変化とは
性能の象徴だったエンジンはなぜ隠れた? エンジンルームが物語る時代の変化とは
Auto Messe Web
2026年春あたり登場か!? ランドクルーザーFJに期待しかない件
2026年春あたり登場か!? ランドクルーザーFJに期待しかない件
ベストカーWeb
日産新型「リーフ」はデザイン力と空気力学を両立!静粛性と振動を抑えた新開発駆動用モーターを採用<3>
日産新型「リーフ」はデザイン力と空気力学を両立!静粛性と振動を抑えた新開発駆動用モーターを採用<3>
Auto Messe Web
アウディ 2026年発売の次期型『RS6』でセダン復活へ 740psのPHEVも登場
アウディ 2026年発売の次期型『RS6』でセダン復活へ 740psのPHEVも登場
AUTOCAR JAPAN
燃費は20.6km/Lを達成!初のマイルドハイブリッドを搭載したプジョーのコンパクトモデル「308 GT Hybrid」
燃費は20.6km/Lを達成!初のマイルドハイブリッドを搭載したプジョーのコンパクトモデル「308 GT Hybrid」
@DIME
【10年ひと昔の新車】4代目のスバル フォレスターは、スバルらしさ、SUVらしさを極めていた
【10年ひと昔の新車】4代目のスバル フォレスターは、スバルらしさ、SUVらしさを極めていた
Webモーターマガジン
両社とも少数精鋭で活路を見出し業績絶好調! カテゴリー別マツダvsスバル6番勝負【ベストカーアーカイブス2014】
両社とも少数精鋭で活路を見出し業績絶好調! カテゴリー別マツダvsスバル6番勝負【ベストカーアーカイブス2014】
ベストカーWeb
「マツダのクルマだけじゃないの!?」 1970年代に存在した幻のロータリーバイク3選
「マツダのクルマだけじゃないの!?」 1970年代に存在した幻のロータリーバイク3選
WEBヤングマシン
レプリカブームの火付け役 “2ストのヤマハ”が送り出した大人気軽量スポーツ「RZ250」ってどんなバイクだった?【昭和の名車】
レプリカブームの火付け役 “2ストのヤマハ”が送り出した大人気軽量スポーツ「RZ250」ってどんなバイクだった?【昭和の名車】
VAGUE
ガソリン車とEVのイイトコ取り Mk8.5 フォルクスワーゲン・ゴルフ eハイブリッド(2) 無理なく変化の波へ
ガソリン車とEVのイイトコ取り Mk8.5 フォルクスワーゲン・ゴルフ eハイブリッド(2) 無理なく変化の波へ
AUTOCAR JAPAN
日産新型「リーフ」は急速充電15分で最大250kmの走行が可能!熱の制御を徹底化してEVの弱点を克服<2>
日産新型「リーフ」は急速充電15分で最大250kmの走行が可能!熱の制御を徹底化してEVの弱点を克服<2>
Auto Messe Web
価値の高い888万9000円──新型フォルクスワーゲンID. Buzz試乗記
価値の高い888万9000円──新型フォルクスワーゲンID. Buzz試乗記
GQ JAPAN
新開発3.3Lフラット6DOHCを搭載した斬新クーペ【GT memories14 アルシオーネ/アルシオーネSVXダイジェスト(3)】
新開発3.3Lフラット6DOHCを搭載した斬新クーペ【GT memories14 アルシオーネ/アルシオーネSVXダイジェスト(3)】
Webモーターマガジン
【フルテスト】BMWのフラッグシップスポーツモデル「BMW M5」はファンを魅了することができるのか?
【フルテスト】BMWのフラッグシップスポーツモデル「BMW M5」はファンを魅了することができるのか?
AutoBild Japan
個人で楽しむ贅沢クーペ ポンティアック・グランプリ(1) 馬力が削がれた時代の希望の光
個人で楽しむ贅沢クーペ ポンティアック・グランプリ(1) 馬力が削がれた時代の希望の光
AUTOCAR JAPAN
中国の勢いが止まらない! シャオペンが超最先端ADASを搭載したのに200万円台の激安EVが登場
中国の勢いが止まらない! シャオペンが超最先端ADASを搭載したのに200万円台の激安EVが登場
THE EV TIMES
スバル新「BRZ」登場! ワイドな精悍グリルがカッコイイ! 水平対向エンジン×MT設定もある「4人乗り“FR”スポーツカー」に設定された「STIコンプリートキット」とは
スバル新「BRZ」登場! ワイドな精悍グリルがカッコイイ! 水平対向エンジン×MT設定もある「4人乗り“FR”スポーツカー」に設定された「STIコンプリートキット」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

112件
  • dec********
    技術的に困難なインホイールモーターにこだわらなければ
    今すぐにでも出来るよね?
    なのになぜやらないの?
    やらないのには理由が有るんだよね。
    記事書くならそこを書いてもらわないと。
  • kor********503
    無公害などではない。
    EVはもろ公害だろ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

324 . 5万円 540 . 5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

98 . 0万円 950 . 0万円

中古車を検索
三菱 ランサーエボリューションの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

324 . 5万円 540 . 5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

98 . 0万円 950 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村