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泥にまみれず、都市を滑走する!──新型ディフェンダー110 X-Dynamic SE P300e試乗記

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泥にまみれず、都市を滑走する!──新型ディフェンダー110 X-Dynamic SE P300e試乗記

ディフェンダー110に追加されたプラグインハイブリッド(PHEV)モデル、「X-Dynamic SE P300e」に乗った! 『GQ JAPAN』ライフスタイルエディターのイナガキがリポートする。

新型ディフェンダー110 X-Dynamic SE P300eの特徴

新感覚──新型ディフェンダー110 X-Dynamic SE P300e試乗記

1.ブリティッシュ・デザイン2.ヘリテージの継承3.無音の世界1.ブリティッシュ・デザイン

東京都心部は、巨大SUVに対して優しくはない。

入り組んだ路地、規格の古いタワーパーキング、そして常に余裕のないコインパーキングの枠……都市生活者にとって、車幅はそのまま精神的なストレスの大きさに直結する。

かつて、堅牢なスクエアボディに惹かれて愛用していたゲレンデを自分が手放したのも、引越し先の駐車場における“サイズの壁”といった極めて現実的な理由からだった。どんなにそのクルマを愛していても、インフラの限界は時に残酷な決断を強いる。

しかし、目の前に鎮座するブリティッシュデザインの粋を集めた四角い巨獣を前にすると、かつての苦労など忘れてしまいそうになる。

今回ステアリングを握ったのは、新型ディフェンダー110のプラグインハイブリッド(PHEV)モデル、「X-Dynamic SE P300e」だ。

ディフェンダーの全幅は1995mm。全高も1970mmに達し、堂々たる体躯を誇る。それでもなお、街中には新型ディフェンダーが溢れている。なぜ我々は、都市のインフラに逆行するようなディフェンダーに魅了されるのか。

その答えの一端が、現代が求めた最適解とも言える“PHEV”の新たな心臓部にあるのではないか。期待を胸に、タスマンブルーの深い青が美しいクルマに乗り込んだ。

2.ヘリテージの継承

試乗車の新型ディフェンダー110 X-Dynamic SE P300eの車両本体価格は¥10,490,000だが、多彩なオプションが用意されており、その総額は¥2,369,394にのぼる。

タスマンブルーのソリッドな輝きに、エクステンデッドブラックエクステリアパック(¥181,000)が引き締まった印象を与えている。

足元には20インチの”スタイル5095”(ダイヤモンドターンド、グロスダークグレイコントラスト)ホイールが装着され、255/60 R20のタイヤが巨体を支える。オフローダーとしてのタフネスと、ロンドンの市街地にも似合うモダンな洗練が見事に同居しているデザインだ。

外観においてPHEVモデルであることを主張する要素は少ない。左側のリヤフェンダーに普通充電用の充電口が追加されている程度だ。

ドアを開け、高いシートに腰を下ろす。インテリアはエボニー(黒)を基調とし、オプションのウィンザーレザーシート(¥71,000)が配置された上質な空間が広がる。

ダッシュボード周りのデザインは、堅牢なマグネシウム合金のビームを露出させたディフェンダーならではのラギッドな意匠。最新のインフォテインメントシステムを搭載しながらも、エアコンの温度調整やシートヒーターの操作には物理ダイヤルが残された。

昨今、物理スイッチを廃止してすべてを巨大なタッチスクリーンに集約するケースも増えているが、グローブをしたままでも直感的に操作できるこのインターフェースは、過酷な環境を想定したディフェンダーの“ギヤ”としての本質を物語っている。オフロード走破時、揺れる車内でタッチパネルを正確に操作するのは至難の業だ。物理スイッチの残存は、単なる懐古主義ではなく、実用的な理由によるものだろう。

ただし、PHEV化に伴うパッケージングの代償も存在する。床下にリチウムイオンバッテリーを搭載した影響で、荷室の床面がガソリンモデルやディーゼルモデルと比較して若干高くなっているのだ。そのため、ディフェンダー110の魅力のひとつである3列目シートのオプションが選べず、2列5人乗りのみの設定となる。また、床面が少し張り出しているため、重量物を積載する際には少し気を遣うかもしれない。

しかし、実用上は十分に広大なラゲッジスペースが確保されており、日常の買い物からキャンプ道具の積載まで、不満を感じるシーンは少ないだろう。3列目シートを必須としないユーザーであれば、ネガティブな要素は十分に許容できる範囲だ。

3.無音の世界

ブレーキペダルを踏み込み、スタートボタンを押す。エンジン搭載車であれば、ここでセルモーターが回り、エンジンの産声が響き渡るはずだ。しかし、P300eは完全な沈黙を保ったまま。

シフトレバーをDレンジに入れ、アクセルペダルに軽く足を乗せる。

ディフェンダーは、無音のまま、そしてまったくの無振動で滑るように前進を始めた。この瞬間、脳内で小さな認知不協和が起こる。視界の高さ、角張ったボンネット、重厚なドア。これらすべてが“屈強なオフローダー”を主張しているのに、振る舞いはまるで最新の高級サルーンか、未来のモビリティのそれなのだ。

純粋な電気自動車(BEV)モデルをラインナップに持たない現在のディフェンダーにとって、PHEVモデルは、電気のみで走行できる唯一の選択肢であり、異次元のドライブフィールである。

市街地へと繰り出す。搭載されるモーターは105kW(約143ps)、最大トルク278Nmを発揮。数値だけを見れば、2610kg(パノラミックルーフ非装着時)の車両重量に対して心許なく感じるかもしれない。

しかし、実際に走らせてみるとその懸念は一瞬で吹き飛んだ。モーター特有の、踏み込んだ瞬間から最大トルクが立ち上がる特性により、出足は驚くほど軽快なのだ。信号待ちからの発進や、流れに乗るための緩やかな加速において、重さを意識させられる場面は皆無である。

むしろ、街中でのレスポンスや俊敏性という点においては、ラインナップの頂点に君臨するV8ツインターボモデル「OCTA」をも凌駕しているのではないか、とすら感じさせる。

内燃機関は、いかにハイパワーであっても、アクセルを踏んでからスロットルが開き、吸気、圧縮、爆発を経てトルクが生み出されるまでにコンマ数秒のタイムラグが生じる。

しかしモーターにはそれがない。足の動きと車体の動きが直結しているかのようなリニアな加速感は、ストップ&ゴーを繰り返す都市部において、この上ない武器となる。

静粛性の高さも特筆すべき点だ。モーター走行時は当然として、ロードノイズや風切り音の遮断も徹底されている。静寂なキャビンは、オプションで装着されたMERIDIANサラウンドサウンドシステム(¥123,000)の性能を十分に引き出す。

お気に入りの音楽を流しながら、タワーマンションが林立する湾岸エリアをモーターのみでクルージングする体験は、ディフェンダーの新たな一面を見せてくれた。泥にまみれる荒野だけでなく、無機質な都市の夜景にも、このクルマは驚くほど馴染む。

▲試乗記の続き:「新感覚」

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文:GQ JAPAN 稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント

1件
  • kmq********
    ディフェンダーは、先代のリベット丸見えの方が断然いい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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